【完】甘い、一夜の残り香


『俺は品のある吸血鬼でな。食い散らかしたりしないし、最高にいい状態で味わいたいタイプなんだ』

夜のネオン街で出会ったのは、どこか人間離れした雰囲気を持つ男。
甘い香りをまといながら、煙をくゆらせるその姿に、普通なら誰もが一歩引くはずなのに──…

その夜、死ぬつもりだった。

「……お前、変な奴だな」

そう問われても、なぜか否定できなかった。
彼の隣は、不思議と居心地がよくて。
少しだけ近すぎる距離も、甘い匂いも、全部…嫌じゃなかった。

その“普通じゃない関係”は、長く続くものではなかった。

ネオンの夜にだけ許された、ほんの一瞬のやさしい錯覚。
忘れてしまう、残り香───……

───────**

※ 本作はフィクションです。登場する人物・団体等はすべて架空のものです。

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