【完結】優しくしないで

にゃーつ

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【第一部】 6章

6 嵐side

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「ねえ、嵐、あそこ見て。」


空にそう言われて見た先には俺たちの母親とおそらく牧野由良と思わしき人物が走っていっていた。


「急いで父さんたちに知らせよう。」

そう言って空が電話をかけるが繋がらないみたいだ。

「あの女がちーに会ってしまったらどうしよう。ちーは会っちゃダメなんだ。せっかく通院して少しずつ安定してきているのに。ちーを失いたくない。



ねえ嵐、2人は別宅の方面に向かっていったよね。なにか証拠になりそうなものを回収しに来たんじゃない?」

空のその顔は今すぐ行こうという顔だった。
俺が止めたって1人で行く。


「はぁ、仕方ねえな。あとで怒られる時はお前が言ったってちゃんと言えよな。」

そう言って空と2人別宅は向かう。


「ちーのくつがある。」

その靴を見た瞬間、空の顔が変わった。

だがこいつはいつまでも冷静だ。

静かに声のする方へ向かう。

「~~~~


私たちのもう一つの目的知らないでしょ?」

声がはっきり聞こえ始めた。
すぐにボイスレコーダーの録音を開始する。

そう思ってから聞こえる会話が胸糞悪い内容だった。

ちーを傷つけるようなことばかり。
空の顔を見れねえ。向こうは銃持ってるかもしれねえからな。こんなときでも慎重にだ。

少しずつ進んでいる間にも聞こえてくる会話。

俺はどんだけ恵まれて育ってきたんだろうな。
空とちーが依存し合っていることに疑問を抱いていたが、納得してしまった。ちーは空からの愛情しか知らねえんだ。俺たちみたいに親からの愛情を知らねえんだ。その分空が与える愛情をスポンジみてえに吸い取るから空もそれがいいんだろうな。


「お、かあ、さん、」


震えた声でそう言ったちーの言葉は最悪な形で返された。

「だから、私はお母さんじゃないんだってば。母親が思うようにお前のこと可愛いとか、愛しいとか思ったことすらない。小さい頃育ててもらったとでも思ってんの?あんたの面倒見たことなんてない。私が家に連れ込んでた奴らが面倒見てただけ。あんたのことなんて生きてとか死んでとかすら考えたことない。」

笑ってそう言った牧野由良。それを笑う俺たちの母親。なんで、俺たちの母親はこんなんなんだろうな。
父さんとは政略結婚だったらしいが、見る目ねえよ、父さんもじいちゃんも。どうやったらこんな女引き当てられるんだよ。

その頃には俺たちは3人の姿を死角から確認していた。

その言葉を発した後、2人はちーに銃を向けた。
あいつ、なんで銃下ろしてんだよ!!

撃たれちまうだろうが!!!

2人が引き金を引いた。

発砲する直前、目の前を人が通り過ぎた。

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