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第83話 【閑話】フリオニール国王陛下の憂鬱【第3章完結】
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「フリオニール国王陛下ばんざーい!!」
今日は、父上が大陸政府の大統領になった為に空位になる、ギルノア王国の国王としての戴冠式だ。
今回は、急な事でもあった為に、王妃となるキャサリンお姉様との結婚式も同時に行われる。
王都でのパレードが行われ、苦楽を共にしてきた、セーバー、ブルック、ゲイルの3人も側に付き添ってくれている。
皆が私を讃える。
帝国との争いを収めた英雄だと……
しかし、私が最初からマリアンヌを野放しにしなければ、こんな事はそもそも起らなかったのかもしれない。
父上やパトリオット宰相と言う、本物の英雄と呼ばれる存在に、アスカと言う類まれな才能が協力したお陰で、結果として大陸全体を纏め新たなる秩序を生み出す事にはなった。
そして私は国王となった。
これから私は王妃キャサリン姉様と共に、ギルノアの繁栄の為に尽くす事になるだろう。
しかし、あれだけなりたいと思っていた、国王と言う地位だが、なって見て初めて気づいた。
「自由が…… 無いだと……」
「当り前じゃ無いですか? 国王陛下がホイホイ外に出歩ける訳無いでしょ?」
「それならフリオニールでは無く、フリルであればよいと言う事か?」
「あのね、陛下。今までと違って側近の3人も国の要職についてるのよ? フリルちゃん一人で出歩くとか危険すぎて、私は許可できないわよ」
「キャサリン姉様。そこを何とか」
「大体王妃に王様が姉様とか呼ぶのが気持ち悪いでしょ?」
「駄目ですか?」
「まぁそれはそのうち直して貰えればいいですけど、お世継ぎが産まれる頃には父親らしく振舞って下さいよ?」
「カトリーヌ姉様の所に伺ってきてもいいか?」
「陛下? そのまま姿消したりしないでしょうね?」
「そ、そんな事はある筈無いであろう。私はこの国の国王だぞ?」
「まぁ、実務面では殆どオリオン様がやって下さるから大丈夫ですけど、余りカトリーヌさんに迷惑を掛けない様にして下さいよ?」
「あ、ああ」
◇◆◇◆
「ブルック君、陛下は恐らく勝手に出歩いちゃうと思うんですよね。一応何かあると関わった人たちに迷惑が掛かりそうだから、側に付いていてもらって良いですか?」
「キャサリン王妃、ご迷惑をおかけします。即位すれば少しは大人しくなると思ったんですが、本質が変わって無い様で」
「うーん。私もちょっと無茶な条件出しちゃったしねぇ。私との子供だとハーフエルフだから、いくら大陸政府は差別がない社会だと言っても、ギルノアの国民からしてみれば、やはり異民族だからね。他のお嫁さんも迎え入れて上げないといけないとは思うんだけど、あなた達男の娘じゃない? 中々すべてを受け入れてくれる人を探すのって大変でしょ?」
「そうですね、世継ぎは私などは養子を迎えるとかでも構いませんが、陛下はそう言う訳にもいきませんので」
「陛下が新しい女性と親密になる事があったら、私には教えてね。マリアンヌの様な娘じゃない限りは、ちゃんと迎え入れて上げたいと思うから」
「何かすいません」
◇◆◇◆
「カトリーヌ姉様! 私は冒険をしたいのです。まだ見ぬ大陸。まだ見ぬ人種。様々な出会いを体験したいのです」
「あーら、フリルちゃん? 貴女国王様なんだから、そんなわがままばかり言ってたら駄目よ? キャサリンちゃんも心配するから、ちゃんと王様してなさいよ? 貴女が出歩くから、ブルックちゃんもあなたの護衛でずっと一緒に出歩かなくちゃならないでしょ?」
「どうしても駄目でしょうか?」
「どうしても冒険がしたいのなら、アスカちゃんと一緒に行けばどうかしら? 魔国に魔法陣魔法の事を調べに行くとか言ってたから、昔迷惑をかけたんだから護衛くらいしてあげてもバチは当たらないわよ?」
「あ、アスカですか? 私はアスカには嫌われてるくらいの事は、解っていますけど……」
「でもね、あなた達は国内でウロウロされると、迷惑掛かる人多いから。大丈夫よアスカちゃんの護衛であれば、私も一緒に付いてって上げるから。ほら、ジャンガードを襲ったダニエル将軍の部下たちが居たじゃない? あの子達が結構な数私の下を訪れて来たから、今は宿の人手は足りているからね。こうなれば私もこの大陸の外にも愛と美の伝道師として、冒険者の宿「薔薇の誓い」を世界規模のチェーン店にするわよ」
「陛下、当然私もお供させて頂きます」
「ブルック…… ありがとう、では3人でアスカの元を訪れよう」
◇◆◇◆
「フリオニール国王…… 正気ですか?」
「アスカ、私はこの姿の時は、フリルだわ。アスカに迷惑が掛からぬようにするから、冒険に連れて行って欲しいのだ」
「アスカちゃん。ほら、経験不足のまま閉じ込めちゃうと、どこかで拗らしちゃうじゃない? 私も国王が2人も出歩くと流石に心配だから、一緒に行動して貰えれば守る事くらいは出来るから、安心なのよ」
「えー、でも私にはシルバも居るし、心配の必要は無いですから」
「ほら、国に何かあったりしたら、アスカちゃんと一緒なら転移で戻って来れるでしょ? だからお願い!」
「カトリーヌさんのお願いならしょうが無いですね…… 問題があればすぐに強制送還ですよ?」
「わ、解った。それではよろしく頼むわ」
俺は、なんとかアスカを納得させて魔国への冒険について行ける事になった。
私達の、愛と美を求める大冒険の始まりよ。
キャサリン姉様…… 許してくれるかな……
今日は、父上が大陸政府の大統領になった為に空位になる、ギルノア王国の国王としての戴冠式だ。
今回は、急な事でもあった為に、王妃となるキャサリンお姉様との結婚式も同時に行われる。
王都でのパレードが行われ、苦楽を共にしてきた、セーバー、ブルック、ゲイルの3人も側に付き添ってくれている。
皆が私を讃える。
帝国との争いを収めた英雄だと……
しかし、私が最初からマリアンヌを野放しにしなければ、こんな事はそもそも起らなかったのかもしれない。
父上やパトリオット宰相と言う、本物の英雄と呼ばれる存在に、アスカと言う類まれな才能が協力したお陰で、結果として大陸全体を纏め新たなる秩序を生み出す事にはなった。
そして私は国王となった。
これから私は王妃キャサリン姉様と共に、ギルノアの繁栄の為に尽くす事になるだろう。
しかし、あれだけなりたいと思っていた、国王と言う地位だが、なって見て初めて気づいた。
「自由が…… 無いだと……」
「当り前じゃ無いですか? 国王陛下がホイホイ外に出歩ける訳無いでしょ?」
「それならフリオニールでは無く、フリルであればよいと言う事か?」
「あのね、陛下。今までと違って側近の3人も国の要職についてるのよ? フリルちゃん一人で出歩くとか危険すぎて、私は許可できないわよ」
「キャサリン姉様。そこを何とか」
「大体王妃に王様が姉様とか呼ぶのが気持ち悪いでしょ?」
「駄目ですか?」
「まぁそれはそのうち直して貰えればいいですけど、お世継ぎが産まれる頃には父親らしく振舞って下さいよ?」
「カトリーヌ姉様の所に伺ってきてもいいか?」
「陛下? そのまま姿消したりしないでしょうね?」
「そ、そんな事はある筈無いであろう。私はこの国の国王だぞ?」
「まぁ、実務面では殆どオリオン様がやって下さるから大丈夫ですけど、余りカトリーヌさんに迷惑を掛けない様にして下さいよ?」
「あ、ああ」
◇◆◇◆
「ブルック君、陛下は恐らく勝手に出歩いちゃうと思うんですよね。一応何かあると関わった人たちに迷惑が掛かりそうだから、側に付いていてもらって良いですか?」
「キャサリン王妃、ご迷惑をおかけします。即位すれば少しは大人しくなると思ったんですが、本質が変わって無い様で」
「うーん。私もちょっと無茶な条件出しちゃったしねぇ。私との子供だとハーフエルフだから、いくら大陸政府は差別がない社会だと言っても、ギルノアの国民からしてみれば、やはり異民族だからね。他のお嫁さんも迎え入れて上げないといけないとは思うんだけど、あなた達男の娘じゃない? 中々すべてを受け入れてくれる人を探すのって大変でしょ?」
「そうですね、世継ぎは私などは養子を迎えるとかでも構いませんが、陛下はそう言う訳にもいきませんので」
「陛下が新しい女性と親密になる事があったら、私には教えてね。マリアンヌの様な娘じゃない限りは、ちゃんと迎え入れて上げたいと思うから」
「何かすいません」
◇◆◇◆
「カトリーヌ姉様! 私は冒険をしたいのです。まだ見ぬ大陸。まだ見ぬ人種。様々な出会いを体験したいのです」
「あーら、フリルちゃん? 貴女国王様なんだから、そんなわがままばかり言ってたら駄目よ? キャサリンちゃんも心配するから、ちゃんと王様してなさいよ? 貴女が出歩くから、ブルックちゃんもあなたの護衛でずっと一緒に出歩かなくちゃならないでしょ?」
「どうしても駄目でしょうか?」
「どうしても冒険がしたいのなら、アスカちゃんと一緒に行けばどうかしら? 魔国に魔法陣魔法の事を調べに行くとか言ってたから、昔迷惑をかけたんだから護衛くらいしてあげてもバチは当たらないわよ?」
「あ、アスカですか? 私はアスカには嫌われてるくらいの事は、解っていますけど……」
「でもね、あなた達は国内でウロウロされると、迷惑掛かる人多いから。大丈夫よアスカちゃんの護衛であれば、私も一緒に付いてって上げるから。ほら、ジャンガードを襲ったダニエル将軍の部下たちが居たじゃない? あの子達が結構な数私の下を訪れて来たから、今は宿の人手は足りているからね。こうなれば私もこの大陸の外にも愛と美の伝道師として、冒険者の宿「薔薇の誓い」を世界規模のチェーン店にするわよ」
「陛下、当然私もお供させて頂きます」
「ブルック…… ありがとう、では3人でアスカの元を訪れよう」
◇◆◇◆
「フリオニール国王…… 正気ですか?」
「アスカ、私はこの姿の時は、フリルだわ。アスカに迷惑が掛からぬようにするから、冒険に連れて行って欲しいのだ」
「アスカちゃん。ほら、経験不足のまま閉じ込めちゃうと、どこかで拗らしちゃうじゃない? 私も国王が2人も出歩くと流石に心配だから、一緒に行動して貰えれば守る事くらいは出来るから、安心なのよ」
「えー、でも私にはシルバも居るし、心配の必要は無いですから」
「ほら、国に何かあったりしたら、アスカちゃんと一緒なら転移で戻って来れるでしょ? だからお願い!」
「カトリーヌさんのお願いならしょうが無いですね…… 問題があればすぐに強制送還ですよ?」
「わ、解った。それではよろしく頼むわ」
俺は、なんとかアスカを納得させて魔国への冒険について行ける事になった。
私達の、愛と美を求める大冒険の始まりよ。
キャサリン姉様…… 許してくれるかな……
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