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第一章

第32話 ためしにヤッてみよう

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「うぅ、ううう~……」

 かける言葉が見つからないよね。
 十年来の付き合いとはいえ、それでも自分がオナニーしているところも、ぱっくりオマンコもばっちりとを人に見られちゃって、しかも気になってるクラスの男の子にも見られちゃったんだから。
 アネストちゃんが枕に顔を埋めて泣きじゃくるのは当然だった。
 しかも……

「セカイ……あ、あんたはあんたで……」
「ああ。大丈夫だ……何とか吐き気も収まった」
「いや、あんたその言い方!」
 
 呼吸を整えて落ち着こうとしているセカイくん。
 アネストちゃんのオマンコを見たことで気持ち悪くなるという事態に。
 いや~、女の子の一番大事な所を見られるだけじゃなく、気持ち悪くて吐かれそうになるとか、そりゃショックでしょ。


「い、いや、アネスト、ちげぇ! 別に気持ち悪いってのはお前のアレが変だったとかじゃなくて俺の体質的なものであって、別にお前のは……そこまでジックリ見たわけじゃねえけど、全然変とかじゃなくて……綺麗……だったと……」

「うううううううううううううううう!!!??」

「「セカイ(くん)!!??」」


 なんもフォローにもなってないし……アネストちゃんは余計に泣いちゃうし……これは……

「こりゃ~もう、セカイくんが責任取るしかないね……」
「あ?」
「ほら~、えっと……アネストちゃんのお婿さんになるとか♪」

 空気を和ませるついでに、セカイくんの反応を伺う感じで私は言ってみた。
 枕に顔を埋めてたアネストちゃんの肩が「ピクッ」と動いたのがよく分かった。
 でも、セカイくんは……

「そりゃ余計に不幸になるだけだから、なおさらやめた方がいいな」
「えっ?!」

 いや、そこでアネストちゃん、顔をいきなり起こしてマジなトーンで聞き返すと、色々勘違いというか、勘違いじゃなかったとしても誤魔化せないよ!?

「セ、セカイ……その……そんなに私は……魅力が……気持ち悪いと思うくらい……やはり……私の体は変で……」

 いや、誤魔化す気もないよね、アネストちゃん。普通に悲しそうにウルウルしてるし。
 でも……


「あっ、いや、それはちげーよ。魅力云々じゃなくて問題は俺にというか……ま、そこは自信持てよ。お前は普通に上玉の部類だろ」

「ふぁっ!?」

「もしお前と『最初』に出会って、俺がもしこんな体になってなくてトラウマも無けりゃ、十分抱いてたと思うぜ」


 おおっと……こういうことを平然と言うあたりがまさに三ゆる世代の草食系男子たちと違うところ。
 つーか、アネストちゃんもチョロいね。顔真っ赤にさせてパクパクあうあう。
 
「でも、見ての通り俺はこんなだし……はは……ほんっと……野望を達成しない限り治らないのかもな」

 とはいえ、そこにはまた私たちの知らないセカイくんの重たい過去やらが色々とのしかかっているみたい。
 
「まっ、そんなことはもうどうでもいいだろ。さっさと合成魔法について―――」
「セカイッ!」
「……あ?」

 そしてそんなセカイくんに対し、何かを決意したアネストちゃんは……


「もちろんそれも大事ですが、やはり気にすべきはあなたが寸止め戦争ゲームで負けないことです! だって、それであなたが負けたら何もかもが台無しになります!」

「……あ~、いや、まぁそうだけど……ま、大丈夫さ。俺は負けね―――」

「昨日のような……そして今のような体たらくで信用できるはずがありません!」

「うっ……」


 うん、それはその通り。っていうか、昨日の勝負で誰もセカイくんが勝ったと思ってないしね。
 つか、たぶんあのままやってたら負けただろうし、それに弱点のこともそう。


「恐らくですが休み明けには……その……男子はともかくとして、女子たちが羞恥を捨てて、あなたの弱点を突いてくると予想できます。ええ、できますとも! 逆セクハラだとか、逆レ……レイ……ぷ……という……」

「……ま、まぁ、そうだろうけど……」


 それもそう。特に裸になることにもはやダメージないどころか、メリットがあるなら誰とでもエッチしちゃうという噂のヤリィマンヌちゃんを中心とし、色々と開き直った女の子たちも一斉に。
 昨日の放課後にも襲われたみたいで、その時は何とか逃げ切れたみたいだけど、今後はどんどん厳しくなるはず。
 そのためには……


「そのためには、あ、あなたには……じょ、女性とのハレンチに慣れて頂く必要がありまして……」


 ……ん?

「は?」
「へ? アネスト?」

 私もディーちゃんもセカイくんも同時に、段々と話の流れが妙な方向になる空気を察し、そしてアネストちゃんが明らかに興奮で正常を失っている状態だと分かり……


「ま、待って、アネストちゃん! それ以上は――――」

「で、ですから、セカイ! わ、私の身体で、ハ……ハレンチに慣れる特訓をしましょう! こ、今月耐え切るために、み、みっちりハレンチ特訓です!」


 合成魔法発表会のための特訓のはずが、暴走したアネストちゃんの提案による……

「……なんで……だよ」

 うん、セカイくんの反応正しい! 何でだよ、だよ!


「アネスト、あんたバカなこと言ってんじゃないわよ! なによ、その特訓は!」

「だって、ディー。もしここでセカイが皆に負けたら……私とセカイの約束……クラスの意識改革がダメになります。それを防ぐためにも……セカイには……わ、私と……その……は、ハレンチな勉強会と特訓を……」

「だからー! それがもう……あ~~、もう! バカバカしい! なんなのよそれは!」


 ディーちゃんもこれには顔を赤くして大声を……って、また執事さんが来るから、あんま騒がない方がいいよ。
 でも……私……ちょっと興味津々なんだけど。
 そして、これにセカイくんは何て返すか……
 

「まっ、そんな余計なお世話や冗談は置いといて……」

「よ、余計な!? 私は、べ、別に……」

「まずお前らは自分の心配をしろっての……つっても、実際俺はお前らのことはあんままだ分かってないしな……昨日の寸止め戦争ゲームもお前らは参加してねぇし」


 頭を抱えて溜息吐いて……ふむ……アネストちゃんの勇気あるエッチ特訓は冷静に流したか……で……


「ちょっとお前らがどんなもんか知りたいし……ちょっとヤッてみるか」

「「「えッッ!!??」」」

「……ちょっと組手みないなもんだよ。魔法やら体術やら剣術やらで、アッチのヤルじゃねえからな?」

「わ、分かっていますよ!」

「あた、当たり前でしょ! 別に変な勘違いしてないわよ!」

「あははは……」

 
 ゴメン。びっくりしたし、一瞬マジで勘違いしちゃったよ。

「とにかく、人の心配するぐらいなら、まずはお前らが自分の実力を示せよ。そういうのは、それからだよ」

 でも、真面目なトーンで好戦的な笑みを浮かべるちょっとドキッとしちゃうセカイくんの顔に……
 
「はぅ……し、しめす……し、示すことが出来たら……その……ハレンチ特訓をすると……」
「……おま……」

 あぁ、アネストちゃんはもう手遅れだわ。
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