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5章 イズナバール迷宮編
193話 頓挫
「ウェーイ、たっだいま~♪」
夕暮れ時の探索者ギルドに陽気な声が響き渡る。
変声期前のボーイソプラノがフロア内に響くと、そこかしこから、
「おう、帰ってきたか!」
「守備はどうよ?」
など、探索者達の声が聞こえてくる。
そんな言葉に声の主──ルディは、
「そりゃもうバッチリ!」
サムズアップで返すと、クルリと背を向け大きな背嚢を見せ付ける。
「ハイハイ、嬉しいのは判りましたから扉の前ではしゃがないでくだせえな、若さん」
「ジン、若様を子猫か何かの様に扱うのはヤメなさい」
ルディを片手でヒョイと摘み上げたジンがそのまま受付へ向かうのを、背中と両手、合計3つの背嚢を持ったリオンが小言を挿みながら追いかける。
「──あらみなさん、おかえりなさい。その様子だと期待してよろしいですか?」
「ええラフィニア、アーミーバットの翼膜の追加依頼、合計180枚です。確認をお願いします」
オオオ────!!
周囲から歓声が上がる。しかしその中でただ一角、フロアの隅で卓を囲んでいた4人組の探索者だけはその波に乗らず、拳をテーブルに叩きつける衝動を抑えながらギリリと歯軋り、もしくは臍を噛む。
追加依頼、忌々しいその言葉を反芻しながら──
………………………………………………
………………………………………………
──5日前──
3人を落とし穴の罠に嵌めたジンたちはそのまま一気に18層を踏破し、下へ続く通路を見下ろし、
「──”紅炎”」
ゴウッ──!!
ジンが発動させた魔法はたちまち通路全体に広がり周囲を熱気で焦がす。
その様子を2人は感心しながら見やり、
「周囲の魔素を常時取り込みながら燃え続ける、消えない炎ですか……」
「魔素の供給を完全に断つか、それとも魔力で押さえ込まないと止まらない魔法なんて、何を考えて開発したのやら……」
「……アイツは水属性のうえ魔素が実体化したような存在だからな、有効な攻撃手段だと思ったんだが」
「「…………………………」」
開発目的にドン引きする2人だった。
「お前がこの前話してた”灸”ってヤツか、これ?──そう言われて心が折れたな……」
しみじみ呟くジンだった──。
──そして今朝──
バササッ──シュン!!
「おお、”紅炎”があんなに簡単に消える、それが魔法封じってヤツ!?」
「魔素が魔力に変換されるのを阻害する粉ですか……開けた空間では使い勝手が悪いとのことですが、それ以外の場所ならかなり便利なアイテムですね」
先日に続き感心する2人。
しかし、
「これもなあ、攻撃が効かないならいっそ存在自体に干渉してやろうとしたのにあのヤロウ、服だけ器用に消して「イヤ~ン、まいっちんぐ♪」とかぬかしやがった。本気で殺意が芽生えたぜ……」
「「ジン……………………」」
殺伐とした師弟関係を聞かされ、なんとも言えない2人だった──。
「次はどんな方法で……」
「「もういいから──!!」」
──────────────
──────────────
ズルリ──ズルリ──
なにやら重い物を引きずる音と共に、20層から上がってくる人影がある。
「戻りましたぜ……よっと!」
ドザッ──!!
「ギィ! ギイィ──!!」
「ハイハイ、サクッと絞めてやるから成仏しろよ」
投網に捕まった軍隊コウモリが喚く中、ジン達3人はそれらを迷宮内で拾ったレイピアで次々と仕留める。
投網に絡まったままの彼等はその攻撃を避ける事すら叶わず、網の中にいた30匹のアーミーバットは5分と経たず全滅する。
そして、網から外した彼等の死体を解体し、素材となる翼膜と魔晶石を取り出す役目はリオンとルディ、チクチクと投網の手入れをするのは漁師歴のあるジンだ。
「それにしても、こうも簡単に高級素材が手に入るのでは確かに、下を目指す気力も失せますね。彼等が「狩り場」で安穏とするのを責められません」
「まあ、投網の得意な冒険者や探索者がそんなにいるとは思えないけどな。閉鎖空間の迷宮ならではの方法だし」
「だね。もう飽きたからアーミーバットを狩るのは今回の追加依頼で打ち切ろうよ」
──初めて20層に来たジンが、また「検証したい」と言いだし、60匹いるアーミーバットを30匹捕獲、その後19層に上がってその場で30匹を倒すと、1時間ほどで20層の中は60匹に戻っていた。
それを都合4度繰り返し、今度は全て捕らえて19層に上がると、再度20層に降りた時点で突破判定をされた。フロアに魔物が消えた時点で突破条件のようで、先へ進む通路を発見した時点で、19層へ戻る通路が消えた。
その時点でジン達が所持していたアーミーバットの翼幕は都合170枚弱、その時点で最初の依頼の150枚は既に持っていた計算になる。
当然ジンは自分の手の内など晒さず、結果、「森羅万象」はコミュニティの半数近くを動員し、金と人員、そして時間を浪費しながら無益な1週間を過ごす事になった。
3日目にポーターと19層の連中相手に罠を仕掛け、その日のうちにギルドに戻ったジン達は、
「ああ、そういえばまだ手元に翼膜の在庫あったわ」
依頼分の残り90枚を取り出し、奥のラウンジでジン達の様子を伺っている「森羅万象」の見張りに聞こえるように話す。
「はああああ──!?」
頓狂な声を張り上げる男に視線が集まる中、依頼を完遂したジンは「若さんからの奢り」と言う事でフロア全員に一杯振る舞いその場を後に。
彼等はそのはからいに歓声を上げながら、深刻な顔をして出て行く男の後姿をニヤニヤと見つめ、ここぞとばかりに森羅万象の悪口で盛り上がる。
一方、森羅万象のメンバーはそれどころでは無い。
計画自体が意味の無い物になった今、仲間を引き上げさせる為に伝令を送るも、彼等が見たものは、12層の入り口付近に全裸で放置された3人の探索者と、19層へと降りる通路で燃え盛る消えない炎だった。
直通通路から20層へ戻る事は出来ない、事実上19層は外から分断され、彼等が脱出するには20層を突破しなければならない。
しかし取り残された彼等の役目は依頼失敗の期日までその場にとどまる事、外のメンバーは早く出て来る事だけを願っていた。その間、そこかしこでこれ見よがしに町中でエンジョイするジン達の姿を見せ付けられながら
しかし、彼等の固い結束力が災いし、彼等はボロボロになりながらも当初の目的どおり、飢えに耐えながらも期間いっぱい足止めを果たして20層を出てくる。
満身創痍の仲間をコミュニティの本部で看病しながらも、見張り役の男がギルドで見たものは、朝から迷宮にもぐり、しかも1日でどうやって集める事が出来たのか、アーミーバット180匹分の翼膜を手に入れてきたジン達の姿だった。
………………………………………………
………………………………………………
「……そうか、わかった。今日はもういいぞ」
悔しさに顔を歪ませる4人を下がらせると、会議室に残った6人の探索者達が悔しそうに俯き、食い込む爪が皮膚を突き破らんばかりに拳を強く握る。
「クソが……!!」
「団長! こうなったら全員で仕掛けましょう!!」
「ここまでコケにされて引き下がる事なんざ出来ねえ! もう損得の問題じゃねえ、面子の問題だ!!」
「そうだ、それにこっちは既に3人殺られてんだ!!」
「仲間に手を出されても黙ってる、それじゃあアイツらにも、19層で頑張ってくれたやつ等にも顔向けが出来ねえ!!」
「──お前達の気持ちは良くわかった、俺も同じ気持ちだ。だが、今の俺達は頭に血が上りきっている。今の状態のまま闇雲に仕掛け、最終的に勝利できるとしても被害が大きくなるのは避けたい。確実にアイツらを消すため、今日一日、頭を冷やしてからもう一度、今度はアイツへの対処を話し合おう」
激昂する5人に対し、団長と呼ばれた男──コミュニティ「森羅万象」の代表──は、自身も他の5人同様に猛り狂った内心を押し込め、彼等のため、あえて冷静を装う。
「……わかった」
彼等5人──こちらも森羅万象の創設メンバー──も、そんな団長の人となりを知っている為、この場は引き下がる。
そして、明日もう一度ヤツらの処分の為の話し合いをする事で決着はつき、各々自室へ戻り、そして翌日──。
「…………すまない、俺は降りる」
「俺も……お前達がどうしてもと言うのなら止めはしない。だが俺は無関係を通す」
「……………………」
その場の6人全員が一様に青ざめた顔をして計画の中止を求める。
ある者は顔を覆い、またある者は歯をカチカチと鳴らしながら。
その後、「森羅万象」はジン達3人に対して一切の手を出さない、完全不干渉をとるという事が通達され、反発するメンバーが彼等の元に詰め寄るも、
「頼む、わかってくれ!!」
「俺達はお前らの事を思って言ってるんだ──!!」
なかば狂気とも言える剣幕に、彼等もただならぬ物を感じ、結局、人的被害は最小限だったものの、かなりの出費を強いられた彼等は勢いを失う。少なくとも、彼等が他のコミュニティにちょっかいをかける頻度は非常に少なくなった──。
しかし、ジン達3人にはそんなコミュニティ間の勢力図など関係も興味も無く、
「ねえジン、最近ここの食べ物にも飽きてきたと思わない?」
「……藪から棒に何ですかい、若さん?」
「だからホラ、パパッと内政チートで料理かくめ──!!」
「しませんよ、アホらしい」
ジンの拳がルディの脳天に刺さる。
リオンはそんな2人を見やりながら、
「……ジン、革命というほど劇的なものは望みませんから、なにか変わった食べ物はあってもいいのではないでしょうか?」
「リオンもかよ……」
2人分の視線にさらされたジンはやがて白旗を揚げ、
「そういや24層には甘葛や砂糖楓の樹人がいたっけな……マドレーヌとか酒まんじゅうでも作るか」
ジンの呟きを聞いた2人の耳がピクンと動き、特に酒の単語に反応したリオンに至っては目が爛々としている。
そんな2人を見ながらジンはそっとため息をつく。
そんなのどかな風景だった──。
夕暮れ時の探索者ギルドに陽気な声が響き渡る。
変声期前のボーイソプラノがフロア内に響くと、そこかしこから、
「おう、帰ってきたか!」
「守備はどうよ?」
など、探索者達の声が聞こえてくる。
そんな言葉に声の主──ルディは、
「そりゃもうバッチリ!」
サムズアップで返すと、クルリと背を向け大きな背嚢を見せ付ける。
「ハイハイ、嬉しいのは判りましたから扉の前ではしゃがないでくだせえな、若さん」
「ジン、若様を子猫か何かの様に扱うのはヤメなさい」
ルディを片手でヒョイと摘み上げたジンがそのまま受付へ向かうのを、背中と両手、合計3つの背嚢を持ったリオンが小言を挿みながら追いかける。
「──あらみなさん、おかえりなさい。その様子だと期待してよろしいですか?」
「ええラフィニア、アーミーバットの翼膜の追加依頼、合計180枚です。確認をお願いします」
オオオ────!!
周囲から歓声が上がる。しかしその中でただ一角、フロアの隅で卓を囲んでいた4人組の探索者だけはその波に乗らず、拳をテーブルに叩きつける衝動を抑えながらギリリと歯軋り、もしくは臍を噛む。
追加依頼、忌々しいその言葉を反芻しながら──
………………………………………………
………………………………………………
──5日前──
3人を落とし穴の罠に嵌めたジンたちはそのまま一気に18層を踏破し、下へ続く通路を見下ろし、
「──”紅炎”」
ゴウッ──!!
ジンが発動させた魔法はたちまち通路全体に広がり周囲を熱気で焦がす。
その様子を2人は感心しながら見やり、
「周囲の魔素を常時取り込みながら燃え続ける、消えない炎ですか……」
「魔素の供給を完全に断つか、それとも魔力で押さえ込まないと止まらない魔法なんて、何を考えて開発したのやら……」
「……アイツは水属性のうえ魔素が実体化したような存在だからな、有効な攻撃手段だと思ったんだが」
「「…………………………」」
開発目的にドン引きする2人だった。
「お前がこの前話してた”灸”ってヤツか、これ?──そう言われて心が折れたな……」
しみじみ呟くジンだった──。
──そして今朝──
バササッ──シュン!!
「おお、”紅炎”があんなに簡単に消える、それが魔法封じってヤツ!?」
「魔素が魔力に変換されるのを阻害する粉ですか……開けた空間では使い勝手が悪いとのことですが、それ以外の場所ならかなり便利なアイテムですね」
先日に続き感心する2人。
しかし、
「これもなあ、攻撃が効かないならいっそ存在自体に干渉してやろうとしたのにあのヤロウ、服だけ器用に消して「イヤ~ン、まいっちんぐ♪」とかぬかしやがった。本気で殺意が芽生えたぜ……」
「「ジン……………………」」
殺伐とした師弟関係を聞かされ、なんとも言えない2人だった──。
「次はどんな方法で……」
「「もういいから──!!」」
──────────────
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ズルリ──ズルリ──
なにやら重い物を引きずる音と共に、20層から上がってくる人影がある。
「戻りましたぜ……よっと!」
ドザッ──!!
「ギィ! ギイィ──!!」
「ハイハイ、サクッと絞めてやるから成仏しろよ」
投網に捕まった軍隊コウモリが喚く中、ジン達3人はそれらを迷宮内で拾ったレイピアで次々と仕留める。
投網に絡まったままの彼等はその攻撃を避ける事すら叶わず、網の中にいた30匹のアーミーバットは5分と経たず全滅する。
そして、網から外した彼等の死体を解体し、素材となる翼膜と魔晶石を取り出す役目はリオンとルディ、チクチクと投網の手入れをするのは漁師歴のあるジンだ。
「それにしても、こうも簡単に高級素材が手に入るのでは確かに、下を目指す気力も失せますね。彼等が「狩り場」で安穏とするのを責められません」
「まあ、投網の得意な冒険者や探索者がそんなにいるとは思えないけどな。閉鎖空間の迷宮ならではの方法だし」
「だね。もう飽きたからアーミーバットを狩るのは今回の追加依頼で打ち切ろうよ」
──初めて20層に来たジンが、また「検証したい」と言いだし、60匹いるアーミーバットを30匹捕獲、その後19層に上がってその場で30匹を倒すと、1時間ほどで20層の中は60匹に戻っていた。
それを都合4度繰り返し、今度は全て捕らえて19層に上がると、再度20層に降りた時点で突破判定をされた。フロアに魔物が消えた時点で突破条件のようで、先へ進む通路を発見した時点で、19層へ戻る通路が消えた。
その時点でジン達が所持していたアーミーバットの翼幕は都合170枚弱、その時点で最初の依頼の150枚は既に持っていた計算になる。
当然ジンは自分の手の内など晒さず、結果、「森羅万象」はコミュニティの半数近くを動員し、金と人員、そして時間を浪費しながら無益な1週間を過ごす事になった。
3日目にポーターと19層の連中相手に罠を仕掛け、その日のうちにギルドに戻ったジン達は、
「ああ、そういえばまだ手元に翼膜の在庫あったわ」
依頼分の残り90枚を取り出し、奥のラウンジでジン達の様子を伺っている「森羅万象」の見張りに聞こえるように話す。
「はああああ──!?」
頓狂な声を張り上げる男に視線が集まる中、依頼を完遂したジンは「若さんからの奢り」と言う事でフロア全員に一杯振る舞いその場を後に。
彼等はそのはからいに歓声を上げながら、深刻な顔をして出て行く男の後姿をニヤニヤと見つめ、ここぞとばかりに森羅万象の悪口で盛り上がる。
一方、森羅万象のメンバーはそれどころでは無い。
計画自体が意味の無い物になった今、仲間を引き上げさせる為に伝令を送るも、彼等が見たものは、12層の入り口付近に全裸で放置された3人の探索者と、19層へと降りる通路で燃え盛る消えない炎だった。
直通通路から20層へ戻る事は出来ない、事実上19層は外から分断され、彼等が脱出するには20層を突破しなければならない。
しかし取り残された彼等の役目は依頼失敗の期日までその場にとどまる事、外のメンバーは早く出て来る事だけを願っていた。その間、そこかしこでこれ見よがしに町中でエンジョイするジン達の姿を見せ付けられながら
しかし、彼等の固い結束力が災いし、彼等はボロボロになりながらも当初の目的どおり、飢えに耐えながらも期間いっぱい足止めを果たして20層を出てくる。
満身創痍の仲間をコミュニティの本部で看病しながらも、見張り役の男がギルドで見たものは、朝から迷宮にもぐり、しかも1日でどうやって集める事が出来たのか、アーミーバット180匹分の翼膜を手に入れてきたジン達の姿だった。
………………………………………………
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「……そうか、わかった。今日はもういいぞ」
悔しさに顔を歪ませる4人を下がらせると、会議室に残った6人の探索者達が悔しそうに俯き、食い込む爪が皮膚を突き破らんばかりに拳を強く握る。
「クソが……!!」
「団長! こうなったら全員で仕掛けましょう!!」
「ここまでコケにされて引き下がる事なんざ出来ねえ! もう損得の問題じゃねえ、面子の問題だ!!」
「そうだ、それにこっちは既に3人殺られてんだ!!」
「仲間に手を出されても黙ってる、それじゃあアイツらにも、19層で頑張ってくれたやつ等にも顔向けが出来ねえ!!」
「──お前達の気持ちは良くわかった、俺も同じ気持ちだ。だが、今の俺達は頭に血が上りきっている。今の状態のまま闇雲に仕掛け、最終的に勝利できるとしても被害が大きくなるのは避けたい。確実にアイツらを消すため、今日一日、頭を冷やしてからもう一度、今度はアイツへの対処を話し合おう」
激昂する5人に対し、団長と呼ばれた男──コミュニティ「森羅万象」の代表──は、自身も他の5人同様に猛り狂った内心を押し込め、彼等のため、あえて冷静を装う。
「……わかった」
彼等5人──こちらも森羅万象の創設メンバー──も、そんな団長の人となりを知っている為、この場は引き下がる。
そして、明日もう一度ヤツらの処分の為の話し合いをする事で決着はつき、各々自室へ戻り、そして翌日──。
「…………すまない、俺は降りる」
「俺も……お前達がどうしてもと言うのなら止めはしない。だが俺は無関係を通す」
「……………………」
その場の6人全員が一様に青ざめた顔をして計画の中止を求める。
ある者は顔を覆い、またある者は歯をカチカチと鳴らしながら。
その後、「森羅万象」はジン達3人に対して一切の手を出さない、完全不干渉をとるという事が通達され、反発するメンバーが彼等の元に詰め寄るも、
「頼む、わかってくれ!!」
「俺達はお前らの事を思って言ってるんだ──!!」
なかば狂気とも言える剣幕に、彼等もただならぬ物を感じ、結局、人的被害は最小限だったものの、かなりの出費を強いられた彼等は勢いを失う。少なくとも、彼等が他のコミュニティにちょっかいをかける頻度は非常に少なくなった──。
しかし、ジン達3人にはそんなコミュニティ間の勢力図など関係も興味も無く、
「ねえジン、最近ここの食べ物にも飽きてきたと思わない?」
「……藪から棒に何ですかい、若さん?」
「だからホラ、パパッと内政チートで料理かくめ──!!」
「しませんよ、アホらしい」
ジンの拳がルディの脳天に刺さる。
リオンはそんな2人を見やりながら、
「……ジン、革命というほど劇的なものは望みませんから、なにか変わった食べ物はあってもいいのではないでしょうか?」
「リオンもかよ……」
2人分の視線にさらされたジンはやがて白旗を揚げ、
「そういや24層には甘葛や砂糖楓の樹人がいたっけな……マドレーヌとか酒まんじゅうでも作るか」
ジンの呟きを聞いた2人の耳がピクンと動き、特に酒の単語に反応したリオンに至っては目が爛々としている。
そんな2人を見ながらジンはそっとため息をつく。
そんなのどかな風景だった──。
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