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5章 イズナバール迷宮編
240話 罠
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「あああああああああああああ──!!」
総勢60人ほどの大合唱が響く中、
「────あああああああ!?」
数十人からなる合唱は、眼下に広がるものを目にとらえると悲鳴は驚愕に変わる。
ジンの設定した破壊エリアは自身の前方数ブロックを破壊、石畳と岩盤を塵芥に変えたが、勢い余ってどうやら階層の壁まで破壊したようだった。
崩落圏の中心部付近には直径5メートルほどの穴が開き、そこへ向かって砂塵と化した、かつて地面だった物が穴の淵からサラサラと砂時計の砂のように流れ落ち、真ん中にぽっかりと空いた穴からは下の階層の様子が伺える。
下の階層──溶岩だまりの点在する灼熱エリアたる第46層の姿が。
穴の真下は冷めて固まる前、半固形の溶岩が赤味を残したままシューシューと蒸気を上げており、着地すれば当然火傷は免れないだろうが、数十メートルの高さから自由落下の後に硬い岩盤にたたきつけられる事と比べれば、むしろダメージは少ないかもしれない。当然着地姿勢を考えなければ、溶岩に突き刺さった上に粘つく溶岩に抱かれて焼死という未来も充分にありうる。
──ガッ!!
数人がなす術もなく穴に落ちる中、更に数人は零れ落ちる砂塵に流されながらも穴の淵に当たるであろう階層の境界でふんばり、足をブラブラさせながら落ちないようにと必死にもがく。
そんな中、
「──なんだ?」
ズズ──
地響きがする中、階層に空いた穴が見る間に小さくなってゆく。
「穴が塞がってる? みんな、落ちたくなければ堪えろ!!」
その声を聞いた数人は、穴の淵からこれ以上落ちまいとなんとかその状態を維持し、また別の者は安全圏にいる仲間の手や足を握ったりする。
しかし──、
ズ──ズズズ──
「あ? ……あああ!?」
縮小を続ける穴はやがて踏ん張っている探索者の身体を圧迫しだし……
「あぐ……あがぁ」
「痛い痛いイタイイタイイイイ──!!」
バツン──
古代迷宮の修正力は無慈悲な音を伴って再生を続ける。
「──ふーん、上の階層で落とし穴を作ったときは戻るのに3日以上かかってたんだが……境界が破壊された時は即座に修復が行われる訳か」
すり鉢状の崩落で再び一つ所に集められたユアン達は、迷宮生物の修復能力でせり上がる床に這い蹲りながら、理解の範疇を超えた出来事の連続に困惑しどおしである。
────ズゥン──
やがて何事も無かったかのように元の石畳の通路が出来上がると、
「──うああああああ!?」
ジンの攻撃で10人以上仲間を失った彼等から、さらなる悲鳴が上がる。
「ハンス!? お前、胸から下が……」
「しっかりしろアミラ、大丈夫、こんなキズすぐに……すぐに……」
「……おい、この手首、誰のだ?」
階層の狭間で堪えていた探索者はその修正力に巻き込まれて悲惨な末路を辿り、無残にも45層に残った成れの果てに向かって、仲間だった者達が半ば狂乱状態で声を発する。
「……だから敵を前に注意を逸らすんじゃねえって、土精よ──」
ジンはそう毒づきながら呪文の詠唱を行う。
ジンの言い分は尤もだが、さすがに彼等にも同情の余地はある。彼等にしてみればこれからユアンとジンの一騎打ちが始まるのかと思いきや、足元を破壊され、ともすればそのまま下の階層に叩きつけられるかもと思ったところを不思議な事に、まるで時が撒き戻るかのように元の姿に戻ってゆき、再び元の状態に戻った。
──かと思った矢先、今まで隣に立っていた者が骸と成り果てていれば脳が恐慌を引き起こし、いかに高レベルの猛者達とはいえ正常な立ち回りは出来まい。
まあ、だからといってそれを黙って待つような殊勝な心をジンが持ち合わるはずもなく、
「──砂塵化、そんでおまけの……風爆」
ドシャアアア──!!
ユアン達の足元で幾つも爆発する圧縮空気の塊は砂を巻き上げ、視界を塞ぐ。
「うあっ? 目、目があっ!!」
「落ち着け、ただの砂だ。だれか魔道士、風の魔法を!」
「応──!」
砂嵐の内側からそんな声が聞こえる中、ジンは左手を振り上げ合図をすると大声を張り上げる。
「走れ!! 後ろは気にするな、とにかく走ってここを離れるんだ!!」
「──!! チッ、逃がすかよ!!」
未だ続く風爆によって視界を遮られた彼等が、砂地に足をとられながらもようやく通常空間に戻る頃には目の前にジン達の姿は無く、先導の為であろうか、前方彼方に小さな明かりが前後左右に揺れ動くのが見えた。
「くそっ……とにかく追うぞ、低レベルのお荷物を抱えてるやつ等ならまだ追いつける!!」
本国から派遣された内の1人であろうか、紋章入りの鎧に身を包んだ男のかけ声で一同は先を急ぐ。しかし、
「くっ、またヤツの小細工か?」
通路の床はまるで水風船の上を歩いているようにフニャフニャとしており、力強く踏むとたちまち足をとられそうになる、そのため若干小走りになりながら走る彼等だが、
「──ぬ?」
今度は視界の先に白く塗られた床を発見する。
──トラップか?
そう判断した男はジャンプしてかわそうとして──
キラン──
丁度ジャンプする高さに張られた1本の糸を偶然見つける。
「小賢しい真似ばかり! トラップだ、身体を低くして飛びぬけろ!!」
そう言って、既に勢いが付いた状態の自分はその糸を更に超える高さを跳躍、念には念を入れ、色付けされた床のさらに向こうの床に着地する。
ズン!!
────カチ。
「ん? ────がはあっ!?」
男は立ち上がりざま、左右の壁に空いた穴から突き出される槍に次々と貫かれる!
「あ……ああぁ……」
ズゥン────ジャッ!!
男が倒れた直後、再度左右から槍が飛び出すところを見ると、そうやら床の下にスイッチは仕掛けられているらしく、彼等はその場に立ち止まって慎重に足元を探ろうとするが……
──ズバババッ!!
「ぐああああああ──!!」
トラップのスイッチは柔らかい床そのものであり、彼等の重みで床が沈み込み、その足の裏が固い地面に届いた時点で罠が発動する仕組みになってた。
立ち止まる事自体が罠の発動条件である事に気付く事も無く、傷付いた彼等はその場に横たわると、地上40センチという飛び出す槍の安全圏で、瀕死で動けないながらも命を繋いでいた。
──そんな連中の背後から、
「これで元気なのは20人弱、といった所ですかねえ」
「容赦が無いな、ジン」
「ジェリクさん、容赦も何も、俺はわざわざ罠の存在を教えてあげるくらいのお人好しですよ?」
「……まあ、罠の中央に変な目印を作るのが親切なのかどうかは疑問が残るが」
彼等も床が柔らかい時点で不信に思い、慎重な行動さえとっていれば被害は最小で食い止められたかも知れない。
通路の先でフワフワと浮かぶ不自然な明かりに気を取られずに左右の穴に気付いていれば……不自然に塗られた床を飛び越えて柔らかい床の下に体重をかけなければ……その場で立ち止まって足元が沈んでいくのをそのままにしなければ……すべて後の祭りであった。
「調査もしてない迷宮内にむかって、ズカズカと不用意に足を踏み入れるもんじゃあありませんねえ。だいいち──」
「あの短時間でこの人数が見えなくなるはずは無いのだから、まずは風でこの砂塵を吹き飛ばすのが先、か?」
「焦って手間を惜しんじゃいけませんよねえ」
そう締めくくるとジンは再度呪文の詠唱をはじめ、ルフトは魔弓に鉄杭をつがえる。
狙いは足が遅かったおかげで罠の圏外から逃れられた魔道士と重装備の集団。
「風精よ、集いて縮み、縮みて忍べ、我が号令にてその身解き放て、”風爆”」
──ブォン!!
ジンの魔法とルフトの射出が同時になされ、後ろに意識を持っていなかった魔道士の数人が爆発の勢いで首を折られ、重装備の戦士は2人まとめて鉄杭に串刺しにされる。
「────? ────!!」
残りの生き残りはそこで初めて、ジン達は逃げたのではなく、身を隠していただけと気付き慌てて戦闘体制をとろうとするが、その場に崩れ落ちる魔道士、そして胸元に拳大の穴を空けて倒れる戦士の死体を見て、手にした武器を放り投げて降伏の意思を示す。
「──ああ、やっとまともな判断の出来るヤツを見た♪」
嬉しそうにカラカラと笑いながらジンは、罠の床に横たわるユアンとその仲間達をその視界におさめながら、2人足りない事に気づく。
(マーニーとリーゼ……探知網にもかからないとなると、下に落ちたか)
若干の計算外に片眉を上げながらジンは、鎧の隙間から槍を受け、血を流しながら憎々しげに自分を睨みつけるユアンに対し、感情の無い冷たい目で見つめ返す──。
総勢60人ほどの大合唱が響く中、
「────あああああああ!?」
数十人からなる合唱は、眼下に広がるものを目にとらえると悲鳴は驚愕に変わる。
ジンの設定した破壊エリアは自身の前方数ブロックを破壊、石畳と岩盤を塵芥に変えたが、勢い余ってどうやら階層の壁まで破壊したようだった。
崩落圏の中心部付近には直径5メートルほどの穴が開き、そこへ向かって砂塵と化した、かつて地面だった物が穴の淵からサラサラと砂時計の砂のように流れ落ち、真ん中にぽっかりと空いた穴からは下の階層の様子が伺える。
下の階層──溶岩だまりの点在する灼熱エリアたる第46層の姿が。
穴の真下は冷めて固まる前、半固形の溶岩が赤味を残したままシューシューと蒸気を上げており、着地すれば当然火傷は免れないだろうが、数十メートルの高さから自由落下の後に硬い岩盤にたたきつけられる事と比べれば、むしろダメージは少ないかもしれない。当然着地姿勢を考えなければ、溶岩に突き刺さった上に粘つく溶岩に抱かれて焼死という未来も充分にありうる。
──ガッ!!
数人がなす術もなく穴に落ちる中、更に数人は零れ落ちる砂塵に流されながらも穴の淵に当たるであろう階層の境界でふんばり、足をブラブラさせながら落ちないようにと必死にもがく。
そんな中、
「──なんだ?」
ズズ──
地響きがする中、階層に空いた穴が見る間に小さくなってゆく。
「穴が塞がってる? みんな、落ちたくなければ堪えろ!!」
その声を聞いた数人は、穴の淵からこれ以上落ちまいとなんとかその状態を維持し、また別の者は安全圏にいる仲間の手や足を握ったりする。
しかし──、
ズ──ズズズ──
「あ? ……あああ!?」
縮小を続ける穴はやがて踏ん張っている探索者の身体を圧迫しだし……
「あぐ……あがぁ」
「痛い痛いイタイイタイイイイ──!!」
バツン──
古代迷宮の修正力は無慈悲な音を伴って再生を続ける。
「──ふーん、上の階層で落とし穴を作ったときは戻るのに3日以上かかってたんだが……境界が破壊された時は即座に修復が行われる訳か」
すり鉢状の崩落で再び一つ所に集められたユアン達は、迷宮生物の修復能力でせり上がる床に這い蹲りながら、理解の範疇を超えた出来事の連続に困惑しどおしである。
────ズゥン──
やがて何事も無かったかのように元の石畳の通路が出来上がると、
「──うああああああ!?」
ジンの攻撃で10人以上仲間を失った彼等から、さらなる悲鳴が上がる。
「ハンス!? お前、胸から下が……」
「しっかりしろアミラ、大丈夫、こんなキズすぐに……すぐに……」
「……おい、この手首、誰のだ?」
階層の狭間で堪えていた探索者はその修正力に巻き込まれて悲惨な末路を辿り、無残にも45層に残った成れの果てに向かって、仲間だった者達が半ば狂乱状態で声を発する。
「……だから敵を前に注意を逸らすんじゃねえって、土精よ──」
ジンはそう毒づきながら呪文の詠唱を行う。
ジンの言い分は尤もだが、さすがに彼等にも同情の余地はある。彼等にしてみればこれからユアンとジンの一騎打ちが始まるのかと思いきや、足元を破壊され、ともすればそのまま下の階層に叩きつけられるかもと思ったところを不思議な事に、まるで時が撒き戻るかのように元の姿に戻ってゆき、再び元の状態に戻った。
──かと思った矢先、今まで隣に立っていた者が骸と成り果てていれば脳が恐慌を引き起こし、いかに高レベルの猛者達とはいえ正常な立ち回りは出来まい。
まあ、だからといってそれを黙って待つような殊勝な心をジンが持ち合わるはずもなく、
「──砂塵化、そんでおまけの……風爆」
ドシャアアア──!!
ユアン達の足元で幾つも爆発する圧縮空気の塊は砂を巻き上げ、視界を塞ぐ。
「うあっ? 目、目があっ!!」
「落ち着け、ただの砂だ。だれか魔道士、風の魔法を!」
「応──!」
砂嵐の内側からそんな声が聞こえる中、ジンは左手を振り上げ合図をすると大声を張り上げる。
「走れ!! 後ろは気にするな、とにかく走ってここを離れるんだ!!」
「──!! チッ、逃がすかよ!!」
未だ続く風爆によって視界を遮られた彼等が、砂地に足をとられながらもようやく通常空間に戻る頃には目の前にジン達の姿は無く、先導の為であろうか、前方彼方に小さな明かりが前後左右に揺れ動くのが見えた。
「くそっ……とにかく追うぞ、低レベルのお荷物を抱えてるやつ等ならまだ追いつける!!」
本国から派遣された内の1人であろうか、紋章入りの鎧に身を包んだ男のかけ声で一同は先を急ぐ。しかし、
「くっ、またヤツの小細工か?」
通路の床はまるで水風船の上を歩いているようにフニャフニャとしており、力強く踏むとたちまち足をとられそうになる、そのため若干小走りになりながら走る彼等だが、
「──ぬ?」
今度は視界の先に白く塗られた床を発見する。
──トラップか?
そう判断した男はジャンプしてかわそうとして──
キラン──
丁度ジャンプする高さに張られた1本の糸を偶然見つける。
「小賢しい真似ばかり! トラップだ、身体を低くして飛びぬけろ!!」
そう言って、既に勢いが付いた状態の自分はその糸を更に超える高さを跳躍、念には念を入れ、色付けされた床のさらに向こうの床に着地する。
ズン!!
────カチ。
「ん? ────がはあっ!?」
男は立ち上がりざま、左右の壁に空いた穴から突き出される槍に次々と貫かれる!
「あ……ああぁ……」
ズゥン────ジャッ!!
男が倒れた直後、再度左右から槍が飛び出すところを見ると、そうやら床の下にスイッチは仕掛けられているらしく、彼等はその場に立ち止まって慎重に足元を探ろうとするが……
──ズバババッ!!
「ぐああああああ──!!」
トラップのスイッチは柔らかい床そのものであり、彼等の重みで床が沈み込み、その足の裏が固い地面に届いた時点で罠が発動する仕組みになってた。
立ち止まる事自体が罠の発動条件である事に気付く事も無く、傷付いた彼等はその場に横たわると、地上40センチという飛び出す槍の安全圏で、瀕死で動けないながらも命を繋いでいた。
──そんな連中の背後から、
「これで元気なのは20人弱、といった所ですかねえ」
「容赦が無いな、ジン」
「ジェリクさん、容赦も何も、俺はわざわざ罠の存在を教えてあげるくらいのお人好しですよ?」
「……まあ、罠の中央に変な目印を作るのが親切なのかどうかは疑問が残るが」
彼等も床が柔らかい時点で不信に思い、慎重な行動さえとっていれば被害は最小で食い止められたかも知れない。
通路の先でフワフワと浮かぶ不自然な明かりに気を取られずに左右の穴に気付いていれば……不自然に塗られた床を飛び越えて柔らかい床の下に体重をかけなければ……その場で立ち止まって足元が沈んでいくのをそのままにしなければ……すべて後の祭りであった。
「調査もしてない迷宮内にむかって、ズカズカと不用意に足を踏み入れるもんじゃあありませんねえ。だいいち──」
「あの短時間でこの人数が見えなくなるはずは無いのだから、まずは風でこの砂塵を吹き飛ばすのが先、か?」
「焦って手間を惜しんじゃいけませんよねえ」
そう締めくくるとジンは再度呪文の詠唱をはじめ、ルフトは魔弓に鉄杭をつがえる。
狙いは足が遅かったおかげで罠の圏外から逃れられた魔道士と重装備の集団。
「風精よ、集いて縮み、縮みて忍べ、我が号令にてその身解き放て、”風爆”」
──ブォン!!
ジンの魔法とルフトの射出が同時になされ、後ろに意識を持っていなかった魔道士の数人が爆発の勢いで首を折られ、重装備の戦士は2人まとめて鉄杭に串刺しにされる。
「────? ────!!」
残りの生き残りはそこで初めて、ジン達は逃げたのではなく、身を隠していただけと気付き慌てて戦闘体制をとろうとするが、その場に崩れ落ちる魔道士、そして胸元に拳大の穴を空けて倒れる戦士の死体を見て、手にした武器を放り投げて降伏の意思を示す。
「──ああ、やっとまともな判断の出来るヤツを見た♪」
嬉しそうにカラカラと笑いながらジンは、罠の床に横たわるユアンとその仲間達をその視界におさめながら、2人足りない事に気づく。
(マーニーとリーゼ……探知網にもかからないとなると、下に落ちたか)
若干の計算外に片眉を上げながらジンは、鎧の隙間から槍を受け、血を流しながら憎々しげに自分を睨みつけるユアンに対し、感情の無い冷たい目で見つめ返す──。
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