リス獣人の溺愛物語

天羽

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【本編】5さい

4話 俺のかあちゃん

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俺の母ちゃんはとても美しい男のリス獣人だった。

小国の平民として産まれ、裕福とはいえない家で育ったにも関わらず、母ちゃんは容姿端麗で優しく、自分の気持ちに正直に生きた強い人だった。

誰よりも美しく優しい、強い母ちゃん。

誰よりも俺を愛してくれた、大好きな母ちゃん。


小国でひっそりと暮らしていた母ちゃんはある時小国の国王である老いぼれジジイに見初められ求婚された。

それを拒否した母ちゃんは、それでも無理やり結婚させられそうになり、家族にも内緒で国を出た。

行くあても無い母ちゃんは隣国へ到着すると直ぐに様々な国を旅して回る冒険家の父ちゃんと出会い、結婚して……俺が産まれた。


でもその後、父ちゃんはこの世を去った。


理由は分からない。
産まれてまもなかった俺はその時の記憶もなければ父ちゃんの顔すら覚えていない。


この話だって、俺が寝ているのを良い事に母ちゃんが泣きながら話しているのを聞いていたからだ。

母ちゃんは俺に、父ちゃんはすごく強くてかっこいい、素晴らしい男だったっていつも言ってた。

でも、母ちゃんの事1人にして何が強くてかっこいいんだ!って俺は思ってしまうことがよくあった。



父ちゃんが亡くなってから母ちゃんは小さな獣人の村に辿り着き、村長に住まわせて貰えるよう頼みそれからはその村で暮らしていた。

でも、美しい母ちゃんは村の男達を惹き付け、何度も何度も求婚されては断っていた。

初めこそ優しかった村の男達は断り続ける母ちゃんを次第に恨むようになり、大型獣人の女、そして小型獣人の男女は嫉妬で母ちゃんを虐めた。

物心着いた頃には、俺を邪魔だと思った村の男に殺されそうになった事だってあった。


そんな事が続いて数年がたち、母ちゃんの体調が次第に悪くなって行った。


俺は村の人達の家を一軒一軒周り、助けて欲しいと懇願したが、誰一人として助けてくれる人はいなかった。


そして、とうとう母ちゃんは力尽き、この世を去ってしまった。


まだ5歳の俺を残して。


母ちゃんは俺に絶対に大きくなって幸せになれって口癖の様に毎日言っていた。

俺が泣いている時は優しく抱きしめてくれて、頭を撫でてくれた。

母ちゃんは小さな身体で何度も俺を守ってくれたのに、俺は1度も母ちゃんを守れなかった。




いつの日だったか……
俺のブロンドの瞳は父ちゃんに似てるって母ちゃんは笑った。

母ちゃんは今、父ちゃんに会えてるかな。


母ちゃん……俺、母ちゃんの迷惑でしかなかったかもしれないけど、母ちゃんの事大好きだったよ。






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