リス獣人の溺愛物語

天羽

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【本編】5さい

9話 目覚めました

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パチリと目を覚ます。


「ピュー」


あれから沢山寝る事が出来たおかげで身体の痛みも無くなり、頭痛もない。


むくりと起き上がった俺は短い腕をお空へ上げて伸びをすると、辺りを見回す。


どうやら俺はフワフワなクッションが入っているバスケットの中で寝ていたらしく、よじ登り外へ出ると横には大きなベッドがあった。

俺の入っていたバスケットはサイドテーブルの上にあってテーブルに降りた俺は部屋を見渡した。


「ピ~!!」
(すげー!きらきらだ!)


村で住んでいた家よりも広い部屋は高そうな家具で囲まれていた。

俺はもっと近くで見たくて、ベットへ飛び移りシーツを器用に使いながら床へおりた。


「ピュ!ピー!」
(うわぁ~、ゆかがふかふか~)


俺はカーペットに身体を擦り付ける。
ふわふわが俺の身体に当たって気持ちがいい。


暫くそうしていると、部屋の扉がガチャリと開く音がして、俺は警戒の体制をとる。

しかし扉から入ってきたのは馬車で俺にサンドイッチをくれた少年……確か、ラディだ!
フルネームは忘れたけど……。


ラディは俺が入っていたバスケットを見ると何処か焦った様に部屋中を確認し始めた。


(……もしかして、おれがいなくなったから?)



「リツ……リツ……どこ?」

今にも泣きそうな顔をして探すラディが可愛そうになって直ぐに俺はラディの前に走り出す。



「あ!リツ!……勝手に出たらダメだろ。心配したんだから」


俺を見つけて直ぐに抱き上げるラディ。


「ピーュ」
(ごめんなさーい)


俺はラディの手にスリスリと頬を寄せる。


そんな俺の頭を指で撫でながら「もう……」って笑うラディの顔は凄く優しかった。







「僕の家族がリツに会いたいって。ご飯も一緒に食べていいって言ってたから、一緒に食べようか」


「ピピッ!!」
(ごはん!!のどもかわいた!)


「あ、でもその前に……」


ラディが俺のお腹に鼻をくっつける。


「ピュ?」
(なんだ?)


「リツ、お風呂入ろうか」


困ったように笑ったラディと湯浴み場に行くと、俺をソファに置いて何処かえと消えていく。
どこに行くのだろうと思っていると直ぐに桶を持って戻ってきた。


「さぁ僕が綺麗に洗ってあげる。少しの間だけスカーフ外すね」


そう言うと直ぐに俺のスカーフに手を伸ばしてきた。


「ビュ!!!」
(だめ!!おれのたいせつなもの!!)


「いたっ」


一瞬の事で慌てた俺は、ラディの指を噛んだことに気付き口を離す。


「ピ……」
(ご、ごめん)


小さな舌でペロペロと傷口を舐める。


「へへ、大丈夫だから落ち込まないで。僕の方こそごめんね大切なものなんだよね?」


俺は首を縦に振り「ピュ!」と返事をする。


「このスカーフも汚れてるから綺麗にしたいんだ。だから少しだけ借りてもいいかな?」


ご飯をくれたラディならばスカーフを盗む事はしないだろうと信用し、もう一度首縦に振って「ピュ!」と返事をすると優しく微笑んだラディは「ありがとう」と言って俺の頭を撫でた。


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