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【本編】5さい
18話 お話しましょう
しおりを挟む「ライオネルは今お勉強中で後から来るみたいなの。何がなんでも早く終わらせるって張り切ってたからきっと直ぐに来ると思うわ!……リツちゃん、それまでお菓子でも食べながら私とお話しましょ」
「ピュイ!」
(おかし!!)
テーブルには沢山の洋菓子が入ったバスケットとラディ母ちゃんには紅茶。
俺には小さいカップに果実水だろうか甘い香りが漂う飲み物が置かれていた。
「リツちゃんは本当に甘いものが好きなのね。沢山用意して正解だったわね」
俺はゴクリと喉を鳴らしお菓子を手に取ろうと小さく短い手を伸ばす。
「あ、リツちゃんちょっと待ってね」
「ビィッッ!?」
(あぁ!おれのおかし!)
ラディ母ちゃんは俺を制するとバスケットを持ち上げてしまった。
俺はその様子に犬の待てをくらわせられている気分になりながらも、目の前にあるのに食べられないもどかしさでヨダレが垂れる。
「私ね、リツちゃんに聞きたいことがあるの。
だから~、私の質問に答えてくれたらお菓子をあげるって言うのはどうかしら?」
顔はすごく優しく笑みを浮かべているのに、何故か背筋がゾワゾワとしたのは俺の勘違いだろうか……。
それにしても、選択権のない俺に対してどうかしら?とは?……と思ったけど、今の俺にはお菓子を食べることしか頭になくて、直ぐにコクコクと頷く。
(たしかにタダでおかしをたべられるなんてかんがえがあまかった!……でも、しつもんにこたえただけでおかしがもらえるならっっ!おれはいくらでもこたえます!!)
ガッツポーズでやる気を見せるとラディ母ちゃんは「ありがとね」と言って笑った。
今度は背筋のゾワゾワはなかった。
「それじゃあ、先ず1つ目の質問ね……1つ目から1番気になる事を聞くのだけれど……リツちゃんは獣人なのかしら?」
「ピッ!?……ピピピィ~!!!」
(おれがじゅうじんってきづいてくれたの!?……ラディのかあちゃんありがとう!うれしい!!)
緊張な面持ちで聞くラディの母ちゃんとは裏腹に俺は気づいてくれた事に嬉しく思い、両手を挙げながらその場で飛び跳ねる。
「……その様子だと獣人って事よね?」
「ピュイ!!」
(うんうん!そうだよ!!)
俺は首を縦に振る。
「そうなのね、私達の言っていることが全て分かっているみたいだったから謎が解けて良かったわ……ふふっ、はい、じゃあこれご褒美ね!」
ラディ母ちゃんは少しほっとした表情で笑いながらバスケットからクッキーを1つとって俺に渡す。
「……ッッ!ピ~」
(…っっ!うま~い、あま~い)
真ん中にイチゴジャムが入っているクッキーを口の中に頬張ると甘いジャムがクッキーと合わさってとても美味しい。
俺が小さな手で膨らむ頬っぺたを押さえるとラディ母ちゃんは「ふふふっ」と上品に笑った。
「じゃあ次の質問いいかしら?」
「ピッ!!」
(もっとおかしたべたい!)
クッキーを食べ終わった俺を確認し声を掛けるラディ母ちゃんに俺は目を輝かせコクリと頷く。
「リツちゃんは今いくつなのかしら?見た目からして子供だと思うのだけれど……」
手のひらを頬に添え考えるラディ母ちゃんに「ピュィ!」(5さい!)と言ってふわふわの片手をラディ母ちゃんの方へ伸ばす。
だが、リスの俺の手指は4本しかない訳で、それに気付き行儀は悪いが、足を上げて5本の足指を見せたりもしたが、ラディの母ちゃんは分からない様子で頭上にハテナを浮かべていた。
「あ!それじゃあこうしましょうか!今から私が数を数えるわね。リツちゃんは、正解のところでお返事してくれるかしら?」
「!……ピッ!」
(おー!ラディのかあちゃんあたまいい!!)
俺はコクコクと頷く。
「じゃあいくわよ……1つ……2つ……3つ……」
何故か緊張してきた俺は、ゴクリと喉を鳴らす。
「4つ……5つ……」
「ピュィ!!!」
(そこだ!!)
俺は両手を上げてストップを身体で伝えた。
「リツちゃんは5歳なのね!ライオネルと一緒だわ。ラディの2個下ね」
「ピッ……」
(ラディって7歳だったのか……)
身長も同年代の子と比べて高そう出し、性格も大人っぽいから実年齢を聞いて俺は驚いた。
だけど、そんな驚きもラディ母ちゃんがご褒美にくれたチョコレートマフィンを食べたらどっかへ消えてしまい、俺が食べ終わると直ぐに次の質問に移った。
「もうすぐライオネルが来る時間だから、取り敢えず最後の質問にさせて貰うわね」
「ピュー!」
(はーい!)
俺が手を上げると、途端にラディ母ちゃんの表情が少しだけ固くなり、空気が重くなる様な感覚がした。
「……リツちゃんはどうして子供1人で森に居たのかしら?」
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