リス獣人の溺愛物語

天羽

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15さい

69話 告白

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俺はアルベール殿下を見送ると、未だに強い力で抱き締めるラディに向き直る。

思えば……お互い地面に座った状態で、俺なんかラディに跨って座っているから少し恥ずかしい。



「あの……ラディ……さっきの言葉って……」


「ん?さっきのって……なんの事?」



俺の顔を覗き込みながら意地悪な笑みを浮かべているラディ。


……こいつ、絶対分かってるだろ!!!



「だっ!だから!!……その…しょ、生涯を共にしたいって……」



眉を寄せ覚悟を決めてそう言うと、ラディは笑みを浮かべて頷く。



「うん、あの言葉が僕の本心……リツが獣人化してからーーーいや、もしかしたらもっと前だったかも知れない。僕はずっと君に夢中で、君以外なんて考えられないーーーーーリツ、好きだよ。
僕はもっとリツと深い関係になりたい。誰も近付け無いくらい……いつもその綺麗な瞳で僕だけを見ていて欲しい。
ねぇリツ……もし君が僕のものになったら、きっともう離してあげられない……それでも、僕のリツになってくれる?」


既に夜空へと変わり、辺りは無数の街灯でキラキラと輝いている。

月の光がアクアマリンの様に輝くラディの瞳を照らし息を飲むほど綺麗だった。
それを見つめていると何故か涙が溢れてくる。
ドキドキして胸が苦しくなるけど、不思議と嫌じゃないーーーーーーむしろ……。



「ラディは……俺のものに、なるの?」


「もちろんだよ……僕の全てがリツのものだ」


「俺、ラディが他の人と話してるの嫌だった……これからは嫌だって言っていい?」


「うん、嫌だった事全部言って欲しい。僕もちゃんと言うから……」


愛おしそうに見つめるラディは、ポロポロと流れる俺の涙を優しく拭いてくれる。
そんな仕草にもドキドキと高鳴る胸を押さえ、ラディを見つめる。





……もしもこの願いが叶うならーーーー俺は……。













「ーーーおれ……俺も!ラディが好き!大好き……俺を、ラディのものにしてぇ!!」




ギュッと強く抱きつく。
そんな俺をラディも強く抱きしめて、俺の肩口に顔を埋めた。


「うん、ありがとうリツ。もう嫌だって言っても放してあげないからね……僕だけのリツ……」



ギュッと抱き合って、不意に目が合い……流れるようにキスをする。



俺は暫く、大好きなラディの温もりを……匂いを……感じていた。









「そう言えば……ラディが俺を助けてくれた時さ、あの時すごくタイミング良く来てくれたから、俺ビックリしちゃった」


庭のベンチへと移動した俺達は、手を繋ぎながら綺麗に手入れされた庭を眺め、話を弾ませる。



「あ~、あれ実は……少し前から居たんだよ…その場に」



「……え?……それって」





俺はその時の事を思い出し、ブワッと一気に赤面する。


ラディが助けに来てくれる前って確か……。




「直ぐに助けようと思ったけど、リツが僕への気持ちを今までに無いくらい熱く語り始めるから……少し嬉しくて……ね?」



「ね?……じゃなぁぁぁい!!!!うわぁぁ恥ずかしい……ラディのばかばかばかーーーーんぉ!んんんっ」



ポカポカとラディの胸を叩く俺の手首を掴み、いきなり深いキスをするラディに俺は目を見開く。 



「ちょ……ん、んぁ……ちゅっ……ふっ、んっ……」



「ん、もっと……舌出して?」



「あっ……ちゅくちゅく……んっ……ふぁ……も、だめぇ……」



……あぁ、なんか……視界がぼやけてきた……。



「ふふ……さっき魔法を使ったからかな?今日はお疲れ様……ゆっくりおやすみ……リツ、大好きだよ」



軽々と俺を横抱きに抱えたラディはチュッと音を立てて額にキスを落とした。



「ふぁ……ん、おれも……すき……」



温かい心地良さを感じながら俺の意識はゆっくりと落ちていったーーーーー。






ーーーーーーーーーーー
sideラディアス



落ち着いた寝息を立て気持ち良さそうに眠りにつくリツを見つめていると、今までに無いくらい心が満たされる。
だが、それと同時にもっと触りたい、僕だけを見て感じて欲しいと言う欲望が大きく渦巻いて止まらない。


可愛くて愛おしい僕だけのリツ……。



リツにぶつかった令嬢を見た時、何処か見覚えがある気がした。だが、この様な場で見覚えがあるという曖昧な感覚など珍しくも何ともない。
特に気にせずリツから離れた自分に苛立たしさを感じ、それと同時に、先程の令嬢はいつもバルディン伯爵令嬢に付いて回っていた者だと思い出した。

リツを探し回る最中にこの国の王太子であるアルベールと鉢合わせ、行動を共にした。
庭へと出た僕とアルベールは令嬢の品のない大きな怒鳴り声を耳にし、ゆっくりと近付くと数人の令嬢に囲まれているリツを発見した。

直ぐに出て行こうとしたのだが、その瞬間……リツが強い瞳で、純粋で真っ直ぐな僕への気持ちを令嬢達へ伝え始めたのだ。


リツの本心を聞いて、僕の心は踊る様に高揚した。
まだ精神的にも身体的にも内に秘める膨大な魔力に馴染めて居ないリツに僕の思いを伝えるのは時期尚早だと思っていた。

だから、僕がリツから離れなくてはならないアカデミー入学までは我慢しようと思っていたーーーーーーーでも、リツの思いを聞いてしまったからには、もう僕は待っていられないーーーーーーー。




すやすやと眠る愛おしいリツを見つめ、先程の事を思い出した僕は軽くため息を吐く。




「はぁ……リツの事になると我慢がきかないな…」


貴族でもないリツと婚約までするには、色々準備が必要だが、それでもお互いの想いが通じ合い、確実たるものを掴めた気がする。

もう君を手放したりしない。
嫌だと泣いても、ずっと僕だけを見続けて僕の腕の中が君の居場所だとこの先もずっと囁き続ける。


いつからだったか……僕の心に醜く歪んだ感情が渦巻く様になったのは。
リツが他の奴と居る所を見るとら酷く嫉妬して誰にも見せたくないと思い始めたのは……。


リツの前では普通を装っている僕だったが、たまに表に出てしまう時がある。

きっと僕の奥底の感情を知ってしまったらリツは怖がってしまうと思う反面、リツなら特に気にぜず笑ってくれるような気もする。



「……大好きだよリツ……誰よりも……絶対に離さないから」



この小さな愛おしい存在を僕の手で永遠に守り、愛らしい笑顔をずっと見続けられるように大切にしよう。



そう誓いながらリツの柔らかい頬にキスを落とした。



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