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17さい
97話 2人部屋①
しおりを挟む「そういえば、ラオは同室の相手誰なの?」
「ん?俺は多分ルータだな」
大きめのカバンを肩から背中に軽々と掛け、思い出すように言うライオネル。
……ちなみに、俺のカバンは隣を歩くラディが持ってくれている。
俺が持つって言ったんだけど、断固として拒否されたから……仕方なく持ってもらっているのだ。
「へぇ!ルータか!!ラオとルータは仲良いからな~、良かったねラオ!!」
そう言って俺はライオネルにニカッと笑みを向けたのだった。
アカデミー寮は1つの部屋に2人が入り共に生活する。
ここでも身分は関係ない……だが、獣人については別みたいで、発情期がある関係で獣人同士が同室になる事は無いらしい。
……発情期に獣人が同じ部屋に居たらどうなるかなんて容易に想像がつく。
だからこそ、俺達獣人の事にも目を向けて…しっかりと考えてくれている学園長さんは本当に優しくて、視野の広い方なんだと、俺はまだ一度も会った事の無い学園長さんに胸の中で感謝を述べたのだった。
ーーーーと同時に俺は今猛烈にワクワクしている。
「俺の相手は誰だろうなぁ~」
俺はポツリと呟いた。
正直、俺は友達が少ない……そう、少ないんだ……。
だからこそ!!やっぱり初めは同じ寮の人と仲良くなって、そしてそこから繋がりをどんどん作って、楽しい学園ライフを送るんだ!!!
目指せ!!お友達100人作るぞ計画!!!!
……どうせなら、まず最初は俺より小さい奴がいいなぁ……俺よりも明らかに身長低いやつ……。
そしたら、俺の身長コンプレックスも少しは和らぐ気がする……。
そんなしょうもない事を考えてニヤニヤしていると、横からラディが口を挟んだ。
「リツ、言っておくけどリツの同室は僕だからね?」
「ーーーーーーーーーーーーーえ?」
暫く言葉の意味が理解出来ず、俺は目を点にさせてラディに顔を向ける。
……え?俺の相手……ラディなの?
俺のお友達計画……お友達100人作るぞ計画最初の1歩がガタガタと崩れ落ちる音がした。
そんな硬直する俺を見たラディは瞬間鋭い目付きに変わると、俺の顎を掬ってグイッと上を向かせる。
「ねぇ、リツ。まさか、嫌だ……なんて思ってないよね?」
低い声音と背後に出現する黒いオーラに背中がゾッとしてすぐさま勢いよく首を横に振る。
「い、いやっ!そそそそんな事ないってっ!!何言ってんだよ!!!俺だって凄く嬉しい!!!!」
声を張って元気よく伝えると、先程の怖さはすぐに消え去り、ラディは頬を染めて俺をギュッと抱きしめる。
「うん、僕も嬉しい……学園長に直接掛け合ったんだ、本当は同学年で一緒の部屋になるんだけど、そんなの僕が許さない……リツの発情姿なんで僕以外にーーーーーーーーーーーーーーー」
「ーーーーあわわわわわぁ!!!!!!分かったから!ラディそんな恥ずかしいこと言うな!!ラオもアルベール殿下も居るんだぞ!!!!!」
そう言って顔を真っ赤にした俺は、ラディの口を両手で塞ぐ。
……気が利くライオネルとアルベール殿下は耳を塞いでくれていてちょっと助かった。
……まぁ、確かに……小型獣人の俺は他の獣人よりも発情期が重くて大変だし、絶対にラディにしか触って欲しくないし……それを抜いても、ただでさえ俺はチビだから、からかわれる事も日常茶飯事。
だから、結果的には助かった……と思う。
それに寮が一緒じゃなくても、友達はこれから作っていけばいいのだし……これからの生活が楽しみなのは変わりない。
「……じゃ、じゃあ……ラディ、これからまたよろしくね?」
「うん、こちらこそ」
そう言ってラディは優しく微笑んだ。
……その後。
「そういえば、アルベール殿下の同室は誰なんですか?」
「あー、実は2日前までラディアスと同じだったんだけど、リツ君が来るからって追い出されてね……今は1人なんだ」
「ーーーーーーーーえ?」
俺はギギギと音を立ててラディを見つめる。
するとバツが悪そう目を逸らすラディ。
俺は鋭い目つきで、眉を下げ呆れ顔のアルベールと目を逸らすラディを交互に見つめーーーーーーーーーーーー。
「おいラディ!!!!お前何やってんだよぉぉ!!バカぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
俺の怒鳴り声が大きな学生寮の庭に響いたのだった。
ーーーーー
最近更新遅くてすみません。
私用が一段落したらまた頑張って執筆致しますので、もう少しだけお待ちください!
応援ありがとうございます!
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