【完結】悪役令嬢ライザと悪役令息の婚約者

第3章学園入学

破滅シミュレーションゲーム⭐︎ミッション発生1

　私は今、破滅シミュレーションゲームの世界にいる。
　※ライザ主観で勝手に作ったゲームの題名です。

　このゲームをクリアする為に下準備として公爵家の後ろ暗い事は潰しておいた。後は私がこの学園生活にて計画通りにミッションをこなして行くだけだ。

　ミッション1：ヒロインと仲良くなる。

　これは破滅回避の大きな一手となるだろう。下手に遠ざけてしまったら、誤解された時に誤解を解けない。同じ教室にいる以上はどの道、一定の関わりが出来てしまう。

　半端に強制力が働いた時、自分の手元に居た方が良いと判断したのだ。

　そんな訳で、此処にきてやっとヒロインの紹介をしよう。

　この作品のヒロインは平凡な見た目に、平均的な頭。人当たりもよく天真爛漫。歌、お菓子作りが得意な心優しい女の子。
　絵に描いたような漫画に出てきてもおかしくないヒロインだ。
　簡単に言うと私と正反対。

　名前はイリン・ヒロアニア　ヒロアニア伯爵令嬢だ。

　その心根の真っ直ぐさに皆惚れてゆくのだ。人当たりが良いと言う事は、私とも仲良くしてくれるはず。
　そんなヒロインであるイリンは、現在、昨日料理部で作ったと言うクッキーを配り歩いている。

　私の席まであと少しと言う所にきて、皇太子にクッキーを渡そうとするも、皇太子であるベルンは「私は人から貰ったものは食べないから、ごめんなさい。」と笑って交わしていた。

　ちょっと、此処はゲームと違うなと驚いた。ヒロインがこのクッキーを配って回るのは友達100人作ると言う目標を達成するための物で、皇太子はそんな突拍子もない天然で純粋なヒロインに初めから優しくて、クッキーも快く受け取り「ありがとう。」と言う予定だったが、今キッパリ断ってしまったので、イリンが固まってしまった。




（皇太子はおねぇな時点で、ゲームと違う訳なんだけど。！ヒロイン動きだした！まぁ皇太子はどうでも良いや。もう直ぐ此処に来る…？）


　次は私の席に来ると思ったのに、イリンは吸い寄せられるように、教室窓際の端に座っているルイスの元に歩いて行った。

（…ま、まぁ、攻略対象の所に吸い寄せられるのは自然か…次。次は私の所にくるはず！）

ドキドキ…ドキドキ…