【完結】悪役令嬢ライザと悪役令息の婚約者

マロン株式

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第3章学園入学

抱き枕なのか猫なのか

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 ルイスに結界を解除してもらい、お医者様に診ていただいた結果、ルイスの高熱は魔力を枯渇させた反動で疲弊した事からきているらしい。

 お医者様は、机に魔力回復ポーションとお薬を置くと説明してくれた。

「このポーションを飲んだら1日は目が覚めませんが、明日には魔力も体力も回復して元気になられますよ。
それまではお薬で熱をおさえておきましょう。」


  上半身だけ身体を起こしてベッドに寄りかかっていたルイスは、それを聞くと、私の方へ視線をむけた。

 


(なんだろう?)


「では坊ちゃん、ポーションを飲んでください。」

 ルイスは爺やに差し出された小瓶を無視してぼんやりと私を見ている。

(…まさか、さっきの口移しを再びやれと言わないわよね、、)
 
 その様子を見ていた爺やは、さすが長年ルイスに仕えているだけあって、ルイスの求めているものが何なのか気付いたみたいで「ぁあ。」と頷いた。

「ライザ様、恐れ入りますがベッド際にお座りください。」
 
 

「?」


   よく分からないが、指し示された場所にギシリと座る。

 すると、身体が宙に浮いて、何をどうしたのか気付けば私の背中にルイスの胸板が当たっており、開いた足の間に座り、膝には掛布団が被さっていた。

(え。何このベッド。空間移動するの???)
 
 ピシリと固まっている私をよそに、ルイスはポーションと薬を受け取り口に含むと、両腕で私を抱えたまま布団の中に潜り込み、すんなりと眠りについた。



「では、わたくしはこれで…きっと明日には良くなっているでしょう。」


  お医者様はそう言って「ほっほ。」と笑って部屋を後にすると、爺やも出ていこうとする。

「ではライザ様、ベルは手の届く此処に置いておきますので、何かありましたら呼んでください。」


「いやいや!今!今何かあるでしょう!


「きっとライザ様の抱き心地が昔飼っているミケに似ているのでしょう。」


「ミケって何?」


「先代の公爵様幼少期の頃より飼っていた年老いた猫です。

ルイス様の赤子の頃よりルイス様と共に眠っていました。幼い頃お風邪を引かれた時は心許なかったのか、ミケを抱きかかえて眠っておりました。

とは言え。ミケは火事で燃えてしまいましたが…」






──────────

──────

────


 取り敢えず爺やは私が会ったこともない猫に見えている事がわかった。


 その後爺やはミケとルイスの昔話を長々と聞かせてくれた後、部屋を出て行った。

 残されたライザは現在、大人しくルイスの腕の中におさまっている。
  
 (何この状況。私は何をしていれば良いの。)
 
 密着している背中と絡められた腕の動きでルイスの息遣いが伝わってくる。何だかしんどそうだ。

 …別に元々は令嬢でも何でもないから、扱いが猫だろうが枕だろうが、気にはならないが。

 兄にバレたら流石にこの状況は怒られそう。
 

 (はぁ…魔力が枯渇して熱が出るって、昨日何をしようとしてそうなったんだろう。)




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