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一章 純愛…ルート

今日から僕はシャルマン フィンコック

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シャルマン フィンコックという人物はいつも一人だった。
公爵家だから取り巻きのような者がいてもおかしくないが、王子一筋で周囲に人を置くことはなかった。
夢だから主要人物は排除してるのかな?
寝ているのにこれは夢なんだって分かるのが初めてで、目覚めるまで僕の頭が勝手に作り出す物語を眺め続けた。

「んっん~…ふぁあんっ…良く寝たぁ。」

事故に遭った割には身体は問題なかった。

「へっ?」

起き上がり部屋を見渡すと夢と同じ光景だった。

僕はまだ眠っているの?

両頬をパンと叩けばかなり痛かった。

「夢…じゃない…えっ?夢じゃない?」

部屋にある鏡を見つけ確認した。

「…ひっ…」

鏡に写っていたのは夢の中の美しい少年だった。

「へっ何?どういうこと?…僕は…誰?」

シャルマン フィンコック。

その名前が頭に浮かんだ。

「僕は…シャルマン フィンコック…?」

今が夢なのか現実なのか判断できないがこの場を受け入れるしかなく、制服に着替え学園に必要なものを用意した。
制服は日本とは違い凝った作りで格好よく、鏡で確認するも顔が綺麗だからとてもよく似合っていた。
このままだとナルシストになってしまいそうで、自分の顔じゃなければずっと見ていたかった。

何とか夢で見た記憶で寮から学園までは問題なく登校でき、初めての学園にドキドキするも不審者に思われないように顔や態度に気を付けながら歩いた
シャルマンはいつも一人だったので誰にも声をかけなくても変に思われないのは助かる。
無事教室に着き大人しく先生が来るまで僕の席で存在を消しながら待っていた。
走馬灯のように記憶を一気に見たので授業についていけるか不安だったが、元々シャルマンは勉強が得意な方ではなく、別の世界から来た僕でもなんとか乗りきることができた。
基礎知識がゼロで先生に当てられたりしたらどうしようと不安だったが一度も当てられなかった…視線が合い当てられると思ったが僕ではない人の名前が呼ばれた。

運が良かった。

以前の僕なら机に突っ伏して先生が来るまで寝て時間が過ぎるのを待っていたが、公爵家のシャルマンはそんな事はしない。

シャルマンになるって想像以上に大変なのかもしれない。

唯一の救いは、席が窓際で外を見渡せること。
息抜きや現実逃避が出来そうな席。
何も分からず周囲を見渡したいが、あんまりじろじろ見ることはできないが視線だけでで必死に情報を集めた。
こんな時でもクラスの人達の中にも格好いい人がいる事を喜んでしまう邪な僕がいた…目の保養。
だが、ふと記憶が駆け巡るとシャルマンと彼らは不仲だという現実を知った。
記憶によるとエッチの授業は一年生の頃からあり、その時ペアになったことのある人だった。
その時の僕はエッチが下手だの痛いだの騒いだり、気分じゃないと言って断ったりしていたようで相手を傷つけてしまったと思う。
相性によってはペアが続くことも有るがシャルマンは誰とも続いたことはない。

ペアが解消になれば会話もしなかった。

その事に相手は喜び、その光景を見たシャルマンがどう思ったのかまでは分からなかった。
むしろ記憶を見る限りシャルマンに好意的な人物は皆無に等しい。
激し過ぎる性格と身分差別が人を寄せ付けないでいるみたい。
きっと僕にも近付かないだろう。
それでもシャルマンは堂々として凛々しかった。

僕はこの世界でも独りだ。

心の救いなのは、この世界では男の人を好きになっても許される事だった。
ここでは僕も普通になれる…かな。
いつか好きな人が出来て、好きになって貰えたら幸せ。

誰にも声をかけられることもなく、時間は過ぎ先生が教室に入ってきた。
先生も大人の男の人で格好いい。
二メートルはあるんじゃないだろうかという身長で、胸板が厚く雄のフェロモンが出ていた。
この国には格好いい人や綺麗な人が沢山だと感じる。
見ているだけで心がときめいてしまうが、もれなくこちらの先生にも僕はよく思われてはいない。

エッチのペアについて色々とお願…文句を言っていたみたい。

あんな体格の人を怒らせたらとても怖そうなのに、向かっていけるシャルマンは本当に凄いと思う。
そんな思いで見ていると先生と目があったように思えた。
すると先生の目付きが厳しいものになった…反応からして、確実に僕と目が合い何かをやらかした僕に対する負の感情を呼び起こしたに違いない。
本当にシャルマンは皆に嫌われていた。
僕はすぐに視線を逸らし大人しく空気になろうと決めた。
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