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一章 純愛…ルート

ライアン サンチェスターという人物 過去のペアの意見

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最近ライアン サンチェスターの評価はうなぎのぼりだった。

以前までは伯爵家でも辺境の為、婚約者候補としては避けがちな人だった。
Aクラスなので魔力量は多く、属性も四つなのは知っていたが、それでも辺境というのが足を引っ張っていた。
人柄は貴族として申し分無い。
過去のペアで話し合うと大体の人間が彼の事を

何を考えているのかわからない。

と答えていた。
ペアになっての授業も問題なく過ぎていく。
良いとか、悪いとかじゃなく「問題ない」だった。
僕は子爵家なので爵位の上の人と結婚出来るのは家の為であり、僕自信の為でもある。

但し、ライアン様は辺境に住むことになる。

ライアン様サンチェスター家が納める領地は魔物や隣国との境界でもあり国の要、常に辺境に住むことになり重要なお仕事だと理解している。
理解はしていても、やはり貴族としては複雑。
王都から遠くパーティーやお茶会等貴族として爵位をひけらかす場に参加するのが難しいなんて…。
折角伯爵になれるんなら、宣言したい。
宣言して皆にチヤホヤされたい。
されたいのに、辺境に行くのはなぁ…。

結婚だけして僕だけ王都に残る事は出来ないだろうか?

結婚してすぐ別居になれば、それもまた変な噂を立てられる。
王都に住む貴族と結婚したいけど、愛人はヤダな。
僕のような子爵家や男爵家はどう頑張っても愛人候補なんだよね。
子供を産めたとしても、肩身の狭い想いをする。

僕はFクラスだから子供は産める確率は高い。

…高くても結局は子爵家…結婚相手を子爵家か男爵家にすれば問題ないのかもしれないが…。

貴族は爵位で決まる。

どんなに性格が品曲がっていて、勉強が出来なくても爵位が上であれば逆らうことも許されない。
自由に振る舞い、王子の気持ちも考えずに追いかけるとか公爵家でなければ許されないこと。
だけど許される…それは公爵家だから。
僕が公爵家に生まれていたら、王子もすんなり僕と婚約していたはず。
アレより性格も頭も悪くない、ちゃんと立場を弁えている。

王子の隣に相応しいのに…。

僕には爵位が足りなかった。

悔しい悔しい悔しい。

そんな時、アレが伯爵令息に夢中だと噂になり僕も目撃した。
夢でも見ているくらい信じられない光景だった。
アレのペアの彼の事は知ってる。
僕は一度、彼とペアになった事がある。
彼は…強引なこともしないし下手でもない。
僕が望んだから何時でも何度でもしてくれる、けど望まれたことはない。
十日に一度という規則があるので最低限それを守っていた。
「ペアに過度な期待を持ってはいけない」一年の最初のペアが決まる前に先生から注意があった。
ペアに深入りしないように定期的に代わることも理解した。
一年の頃は気持ちに区切りを付けるのが大変だったのを今でも覚えている。

初めての人は忘れられない。

相手はすぐ次の人に興味を持ち僕の事を忘れたが、僕は忘れられなかった。
受け入れる側は皆同じ悩みを抱えていた。

ある人以外は…。

あの人は理想の人以外に心を開くことがなかった。
彼の事を「気に入らない」「ワガママ」と表現していても、時折彼は正しいとも思えた。
毎回毎回ペアになる人と良好な関係を作っても必ず終わりが来る。
なら、最初から良好な関係なんて作らなければ良い。
僕は分かっていても彼のようには振る舞えなかった。
それは子爵家というのもあるし…それ以前に僕は…。

怖いから、人に嫌われるのが…。

皆にどう思われるのか…不安でしかなかった。
彼は公爵家で、僕は子爵家。
子爵家の人間が相手を簡単に拒絶・拒否なんて出来るわけがない。
そんなことしたら…。

だから、あの人から彼を奪ってやろうと思った。

あんなに夢中で、幸せそうな彼が憎かった。
今まで追いかけていた人を忘れてしまえるくらいの人に出会うまではいい、だけど簡単に手にいれることが出来るのは…。

ズルイ。

どうして貴方はそんなに恵まれてるの?
世の中、不公平すぎる。
僕の欲しいものを全て持ってる…。

あいつはなんの苦労もなく、努力もしないで欲しいものを手に入れた。

どれだけ恵まれてるのか全く理解してない、見ていて不快で腹が立つ。
少しは不幸になるべきだ。
伯爵家の彼と子爵家の僕のが釣り合いが取れている。
あんたは報われない相手を一生死ぬまで独りで追いかけていれば良いんだ。
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