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二章 ハーレムルート

ライアン サンチェスター

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学園が休みに入りシャルと離れることがこんなにも不安に感じるとは思わなかった。
毎日会い、身体に触れ、キスをするのが当然という環境にいた。
そのせいでたった四日、四日会わないだけでこんなにもシャルを欲してしまうなんて。

俺の子を産ませただけでは足りない…もっとシャルを独り占めしたかった。

だけど、そんな風に考えているのは俺だけじゃなかった。
エドもリックも、それにギノフォード先生も同じように思っているに違いない。
シャルは誰か一人を決めるんじゃなく、皆でいたいという感じだった。
誰も選べない、誰も選ばない。
気持ちいいことに弱く流されやすい。
今後も強引に身体を攻められ後に告白されたら、すんなり婚約者にしてしまうんだろうな…。

シャルは俺のだ…と叫びたかったが、その感情もだいぶ落ち着いた。
やってもやっても翌日には再び求めてくるシャルの性欲は俺が考えるよりも大変だった。
…この関係を納得した…したがこれ以上シャルを誰かと分かち合うなんてしたくない…。

したくないが…実際は…。

四日ぶりのシャルは俺を見つけると喜び、蕩けた表情でキスの続きを催促した。
だが他の奴にも無防備に晒すシャルに苛立ちを覚えていた。

俺の腕の中だけにいればいいののに…。

夜も婚約者の誰かを選ぶことなく、兄との添い寝を選んだ。
身内であれば波風は立たないが、この年で兄弟で眠ることに疑問を抱く。
まさかとは思うがシャルは兄のドミニク様とも?
不純な思考に支配されたが、浅はかな俺とは違いドミニク様に試されていたことを知る。
シャルを愛する気持ちは当然だが、シャルは百年ぶりの獣人。
俺が思う以上に気を付けなければならない、一時の感情に流されるなというのを分からせるためのドミニク様の行動だった。
今日シャルを抱けると楽天的に考えていた俺はもっと当主になるべく知識だけでなく、相手の真意を見抜く力も身に付けなければならないと実感した。
浮かれていた朝とは違い、夜は公爵家のベッドて独り眠れない夜を過ごした。

翌日にはギノフォード先生が到着した。
魔法省に勤める当主と兄を持ち、本人も魔法の才能を持ち合わせているギノフォード先生は教師を続ける選択をしていると聞いた。
ギノフォード先生にとって、俺の領地に住むことを了承したシャルとはなかなか会えなくなる事になる。
シャルはギノフォード先生も俺の所から通えると安易に考えているのか能天気に見えた。

卑怯な俺は、なにも教えなかった。

俺が気付くことなんてシャルの家族が気付かないはずもなく、二人で時間をとって話し合いなさいという事になった。
シャルも俺達を巻き込むことなく、二人で話し合うこと選んだ。
俺もそんな場に入っていくことはできなかった。
小心者で卑怯な自分が引き起こした結果、四日間エッチお預けだったシャルを抱いたのはギノフォード先生だった。
俺達のようにがっつく事のない、大人の余裕を持ち合わせた男が選ばれた。
俺には我慢が足りてないことを思い知らされる。
ギノフォード先生が先に帰っても己の未熟さばかり目について嫌になる。
今日からシャルは王都の俺の屋敷に泊まると言うことで、数日とはいえ会えなくなるエドとリックがシャルを抱くことになり俺はそんな三人を忍耐で見続けた。
余裕を装いながら腕を組む手に力が込められていき、後に腕に痣が残っていた。

シャルを気絶させるまで二人は抱き続けた。

強引であり乱暴にも見えたがシャルは全てを受け入れ、それは俺とだけでは物足りないと思っているのかもと疑心暗鬼にもなる光景だった。
何故ならシャルは二人に抱かれながら挑発するように俺に視線を送ってきた。
俺以外に抱かれ、俺以外で気持ちよくなっている顔を見せ付けているように見える。

そんなにエドとリックのは気持ちいいか?

俺の問いに答えるようにシャルは気を失った。
存分にとは言わないがエドもリックもシャルを堪能し、次の自分達の番の為に大人しくシャルを解放した。
二人は洗浄魔法でシャルを清めて服を着せていく。
俺だけでなくエドとリックもギノフォード先生に先を越され、朝食に二人で現れた時のシャルの表情に怒りを露にしていたのは知っていた。
ギノフォード先生が先に屋敷を離れた事で、怒りに似た欲望をシャルにぶつける姿を俺は止めなかった。
俺は今日シャルを屋敷に連れ込んで閉じ込めることができるが、二人は三日も後になる。
それが分かっていたので二人に譲り二人を止めなかった。
乱暴であり強引な行為に少し反省しているのか、今はとても丁寧にシャルを扱っている。

気絶したシャルの頬や唇に何度も優しいキスをしていた。

人形のようにされるがままのシャルを俺が抱き抱え、そのまま馬車に乗せた。
公爵や父さんもシャルが目覚めてからでも遅くはないと俺を制したが、俺はもう待てる状況ではなく、早くシャルを俺だけのシャルにしたかった。
父さんと母さんとは別の馬車で、アドルフを抱える乳母とシャルを抱える俺が同じ馬車に乗った。
親子で同じ体勢で馬車に乗る姿に少しだけ心の刺が和らいだ。
アドルフは大人しく乳母に抱かれ、シャルは俺の腕の中で眠り続けている。
この瞬間だけはシャルを誰にも触らせたく無かった。
例え腕や足が痺れてもシャルを離すことはないだろう。
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