文字の大きさ
大
中
小
50 / 373
4巻
4-2
「すいません、ちょっと確認したいことがあるんですけど」
「はい、どのようなご用件でしょうか?」
チワワを連想させるたれ耳が特徴的な受付嬢に、ヒルク草の採取依頼について質問する。
「申し訳ありませんが、反復できるタイプの採取依頼に関しましては、受けた支部での確認となります」
受付嬢曰く、地域ごとに求められるアイテムに偏りがあり、報酬も異なることが多いらしい。なのでこの依頼は取り扱えないとのこと。
仕方がないので、現在のランクに応じた討伐系の依頼を受けることにした。
依頼内容はファルニッド南部の森に出没するゴブリン討伐。最低5体。それ以上倒した場合は1体につき銅貨50枚がプラスされる。討伐証明部位は耳。
「これは高いのか? それとも安いのか?」
ゴブリン1体で銅貨50枚。計算上、4体倒すとベイルリヒトの『穴熊亭』に一泊できる稼ぎである。
「Dランクの依頼のなかでは稼ぎやすい部類と言えるでしょう。ゴブリンは基本的に集団で行動しますから、まとめて倒せばそれなりの稼ぎになりますし。その分危険度も高くなりますが」
報酬に首をかしげているシンに、クオーレが説明してくれた。
冒険者の認識としては、Dランクはやっと一人前になったというランクだ。このあたりになるとレベルも100を超える者たちが出始める。
彼らからすれば、ゴブリンは割と楽に倒せるのだろう。とはいえ、ゴブリンのような低ランクのモンスターでも、集団で来られると危険となる。
【THE NEW GATE】のゴブリンはレベル帯が10~50と広い。ゲームだったころも、たかがゴブリンと侮れないモンスターだった。
戦士タイプから魔術師タイプまでいるため、ランクが上がって調子に乗った冒険者が油断して挑み、死んでしまうことも少なからずある。
パーティを組んでいれば問題ないだろうが、ソロでゴブリンの集団に遭遇すると、Dランクでも安全とは言えないのだ。
「ここなら日帰りできそうだし、これにしよう」
もちろんシンなら目をつぶっていても倒せる相手なので、気負うことなく依頼書を取り、受付に持っていった。
「ゴブリンの討伐ですね。手続きを行いますので、カードの提示をお願いします」
「どうぞ」
「……失礼ですが、冒険者登録をしたのは今から1ヶ月以内で、場所はベイルリヒト、でよろしいでしょうか?」
「え? あ、はい。そうですが」
カードを受け取った受付嬢が、シンが本人かどうかを確かめた。
初めて依頼を受けたときに、ベイルリヒトのギルド職員セリカはこの確認をしなかったが、それはカードを作成した直後だったからである。
「はい、けっこうです。依頼内容はファルニッド南部の森に生息するゴブリンの討伐、で間違いありませんね?」
「大丈夫です」
「パーティで受けられますか? そうでしたら、パーティメンバーのギルドカードも提示してください」
「わかりました。シュニー、ティエラ、ちょっとこっちに来てくれ」
シンは後ろにいたシュニーたちに声をかけ、事情を話してカードを出してもらった。クオーレはパーティを組んでいないので、元の位置で待っている。
「はい、確認しました。パーティ名が登録されていませんが、このままで構いませんか?」
パーティ名は長期でパーティを組む冒険者が、団結力を強めたり、パーティメンバー全員の名声を高めたりするために使うものだ。
パーティの中には戦闘よりも斥候などの補助に特化し、手柄を挙げにくい能力の者もいる。前線で戦う者は名声を得やすいが、裏方はどうしても注目されづらくなってしまう。
それを回避するのがパーティ名だ。
パーティとして名が高まれば、そこに所属しているというだけで一目置かれるようになる。
完全に平等な評価がなされるとまではいかないが、ワンマンパーティでもない限り、パーティ名を決めるというのは有益なのだ。だが、今のシンたちには必要ない。
「あ、はい。そのままでお願いします」
「承知しました。手続きはこれで終了です。お気をつけて」
「ありがとうございます」
丁寧に対応してくれた受付嬢に礼を言って、シンはカウンターを離れた。
「シン殿ほどの方が、ゴブリンの討伐ですか?」
戻ってきたシンに、クオーレが話しかける。
シンがゴブリン討伐の依頼書を手にしたときは、何か特別な理由でもあるのかと黙っていたようだ。しかし、何の変哲もない依頼内容に、疑問が浮かんだらしい。
「実力がどうあれ、冒険者ランクは高くないからな。こればかりは実績を積むしかないさ」
本人がいかに強かろうが、ギルドランクはそう簡単には上がらない。
高ランクには相応の信頼と実績が求められるからだ。本人が元騎士だろうが貴族だろうが、対応は変わらない。
以前セリカがしてくれた説明では、選定者と思われる者でも最初のランクはGからF、またはEになるという話だった。
「ささっと終わらせてくる。せめてCランクくらいにはしたいからな。クオーレはこれからどうする?」
「私も同行してよろしいですか?」
「構わないけど、ゴブリン討伐だぞ?」
「大丈夫です。残っている仕事は、どのくらい時間がかかるかわからないので、後に回します」
「仕事っていうのは何なんだ?」
「先日決闘が行われた場所の調査です。ラルア大森林で戦闘が行われた後は、森が再生しているかいつも確認しに行くのです。今回は戦いの規模がかなり大きかったので、森の被害も増しています。調査人数を増やせればいいのですが、ラルア大森林に出現するモンスターは一般の冒険者には荷が重いので、依頼を出してもなかなか受けてもらえません。とくに今回はジラート様とシン殿の戦いの後ですので、私が出向くことになったのです。強い者同士が戦うと、ラルア大森林には自生していない植物がなぜか出現することもありますから。これらの調査は、シン殿たちが依頼を終えて帰ってくるまでの時間では到底終わりませんので、後回しにしようということです」
そうして出現した植物には薬効の高いものが多いらしいが、ある程度の期間で枯れて、それ以降は生えてこないという。
「なるほど……なあ、それって俺もついていっていいか?」
「え? あ、いえ、それは可能ですが」
いきなり同行したいと申し出たシンに、クオーレは困惑顔となる。見回る以外にやることのない仕事なので、意外だったのだろう。
「突然すまない。一応、俺も戦った当事者だし、現地を見ておきたくなったんだ」
見たから何かが変わるというわけではない。ただ、前回は景観など認識の埒外だったので、あらためてジラートと戦った場所を確認したくなったのだ。
「わかりました。シュニー殿とティエラ殿はいかがいたしますか?」
「私はほかに用もありませんから、2人に同行します」
シュニーは迷いなく同行を決める。
「えっと、私も行くわ。あのときは森が騒がしくて、精霊の様子もよくわからなかったし」
ティエラも久しぶりに森に行きたくなったようだ。
†
シンたちはギルドを出てエリデンの南門に向かう。
門を出てしばらく進むと、周りにはほとんど人がいなくなった。シンたちは目的地が近場なので徒歩だが、ほとんどの人は馬車で移動するからだ。
数少ない通行人も街道に沿って移動するので、森へ向かうシンたちとは方向が違う。
「こっちだ」
モンスターの気配を察知して、シンは方向を変える。森の中でも平原と同じ速度で進んでいるが、それに遅れる者はいない。
エルフであるシュニーにティエラ、ビーストのクオーレ、モンスターのユズハとカゲロウ。森の中での行動などお手のものというメンバーしかいないからだ。
野生の動物は、シンたちが近づくとすぐに逃げていった。気配を消していないので、危険な存在だとわかるのだろう。
「――見つけた」
シンが【千里眼】と【透視】を併用して、森の中を移動するゴブリンの集団を発見した。
身長は140セメルほどで、肌は緑色。ヒューマンと比べると頭が倍くらい大きく、顔のつくりは醜悪だ。
手には錆びたショートソードや短剣といった武器を持っている。レベルは20台が5体で、1体だけ31だった。木の盾を持っているので、一番高レベルの個体がリーダーだろうか。
クオーレも協力を申し出てくれたので、各自1体ずつ仕留めることにして接近していく。
全員が射程に入ったことを確認してから、各々の得物を取り出す。
シンとシュニーは投擲用の短剣、ティエラとクオーレは弓。ユズハとカゲロウは爪と牙である。
ティエラとクオーレが弓を引き絞るのに合わせて、シンとシュニーは短剣を持った手を振りかざした。
ユズハとカゲロウは音を立てずに近づき、気づかれないように伏せている。
「……いま」
シンの声で、森の中を短剣と矢が駆け抜けた。
シンとシュニーの投げた短剣が、前を歩くゴブリン2体の頭部を貫通し、それに動揺する間もなく後ろの2体の頭部に矢が突き刺さる。
残りの2体はユズハとカゲロウの爪によって首を飛ばされていた。
当然といえば当然だが、瞬殺だった。討伐の証明として耳を切り取り、1つの袋にまとめてからシンのアイテムボックスに収納する。
これは街での買い出し中に判明したことだが、今回のように複数のものを1つにすると、1個のアイテムとしてアイテムボックスに収納できる。カード化も可能だ。
ただし、カードを具現化してばらばらにしてしまうと、個別でカードにはできなくなった。
「これで依頼完了だな。じゃあ、ラルア大森林にも行くか」
移動を含めても依頼完了まで1時間半ほどしか経っていないので、ラルア大森林に向かうだけの時間は十分残っていた。
「わかりました。では、そうしましょう。このまま森を突っ切るか、一旦街道に出るか2通りの方法がありますが、どうしますか?」
「クオーレは慣れているし、ほかも足手まといになるメンツじゃないんだ、突っ切るほうでいいんじゃないか?」
「くぅ!」
賛成、とでも言うようにユズハが一声鳴く。カゲロウもティエラの横で同じく鳴いた。
†
1時間ほどで南の森を抜け、一旦平原に出る。そこから馬車を出して街道を進むことさらに30分。
クオーレが、カゲロウの引く馬車の速度に驚くというイベント以外はとくに何もなく、シンたち一行はラルア大森林へと到着した。
前回シュニーたちがシンとジラートの戦いを観戦した丘で、馬車を降りる。
「すごいな。あれだけ派手に吹っ飛ばしたのに、それっぽいところがないぞ」
丘の上に立って森を眺めたシンは、破壊の跡が見えないことに驚く。
ジラートとの戦いは、【落砲波】から始まり木々を薙ぎ払う技の応酬だった。
戦いの余波で巻き上げられた大木や岩が、無事だった木々に叩きつけられ被害が拡大したことは、シンも視界の端で捉えていた。
しかし今、シンの目に見える範囲では、それらしき痕跡は発見できない。
「見たところ、戦いが始まる前と植生は変わりないようですね。元通り再生したというよりは、植物が急成長して傷跡を埋めたといったほうが正しいでしょう」
「そうですね。よく見ると、ところどころ若い木が見えますし」
シュニーが森の状態を説明すると、ティエラも同意見のようで、「あのあたりがもともとの森で、あっちが成長したところ」と森の一部を指差しながら、シンに言った。
「さすがは森の民。残念ながら、俺は教えてもらってもわからないぞ」
ティエラの示す方向に目を凝らしていたシンだったが、結局違いを見分けることはできなかった。そもそも大きさ以外で、若い木と古い木の区別もつかないのだから当然なのだが。
「シュニー殿とティエラ殿はさすがですね。私は違いがわかるようになるまで10年ほどかかりました」
「森に関する感覚はエルフとピクシーが突出して鋭敏ですから、仕方がないでしょう。見分けがつくだけでもたいしたものです」
微笑みを浮かべながら、シュニーはクオーレを褒める。かつて直接見分け方を教えたこともあるそうだ。クオーレがそれをしっかりと身につけていることが嬉しいのだろう。
「ありがとうございます!」
クオーレも笑顔で返す。嬉しくて堪らないようで、尻尾が左右に大きく振られていた。
「それで、この後はどうするんだ? 調査をするんだよな?」
どのような方法で行うのかわからないので、シンはクオーレに尋ねた。
再生した区域の広さを考えれば、調査するにもかなりの労力が要る。
「再生した木々の確認と、その周囲に不自然な植物が生えていないかを調べます。すべてを見て回るのはさすがに不可能なので、大まかに範囲を区切り、その中でいくつかポイントを決めるのです」
そう言ってクオーレは懐からカードを1枚取り出し、具現化させる。
出現したのはラルア大森林の地図だった。目印になるような巨木や、特徴的な木などが描かれている。
「目印となる木を中心に、森を区切ります。これらの目印は再生後も変わらないので、見失うことはないはずです」
一般の冒険者ならここで、森の奥に行きすぎないように注意するらしいのだが、シンたちなら心配する必要はないとのこと。
「……同行したいといった手前申し訳ないんだが、俺は役立ちそうもないな」
再生した木ともともとあった木の区別など、シンにつくはずもない。ティエラに教えてもらってもわからなかったのだから。
「では、ティエラと一緒ではどうですか? 目当ての植物があればティエラが採取をして、それをシンがアイテムボックスに入れていけば効率がいいでしょうし」
すまないとうなだれたシンを見て、シュニーが提案した。
「……そうですね。私とシュニー殿はアイテムボックスが使えますし、組み合わせとしては最適でしょう」
クオーレもうなずく。
シンとしてはそれくらいしか役に立てそうにないので、肯定するのみだ。完全にアイテムボックス要員が妥当である。
そして今聞いて知ったが、クオーレもアイテムボックスが使えるらしい。先ほど懐から出したように見えたカードも、実はアイテムボックスを使っていたようだ。
そう言えば、アイテムボックスは王族や長老たちが持っているものだと、ティエラが話していたのを思い出した。
クオーレは獣王の娘、つまりは王族だ。ジラートの直系で能力も受け継いでいるとなれば、アイテムボックスが使えるのも納得である。
「では、三方に分かれましょう。念のため確認しますが、今まで不自然な植物が出現する以外で何か変化が起こったことはありますか?」
採取時に気にかけておくことがあるかと、シュニーはクオーレに問いかけた。
「確認されている限りでは、そういったことはないですね。実は自生していない植物が見つかったのも、過去に2度だけなのです。かなり強い力を持った者たちが決闘を行ったときです。1度目はドラグニルとビーストの戦いの後で『御伽草』が、2度目はロードとエルフの戦いの後で『幻夢草』が発見されたと記録にはあります。どちらも多くの場所で見つかっているので、今回も何かあれば誰かが発見すると思います」
ただ、生えた植物が数を増やしたり、そのまま残ったりはしなかったという。本当に一時的なもののようだ。
「担当区域はどうする? 3等分でいいか?」
シンは地図の上で、クオーレに聞いた範囲に円を3つ作るように指を動かした。
クオーレが言ったように、ラルア大森林全体を調べるなど小人数では到底不可能なので、調べる範囲はある程度絞られなければならない。
地図に書き込みをしたわけではないが、おおよその範囲はその場の全員が理解した。
「皆様はラルア大森林に不慣れでしょうし、私の担当区域を多くしても構いませんが」
そう言うクオーレに対して、シュニーが首を横に振った。
「今回のような調査は私も依頼されることがあるので、このままでも問題ありません。むしろティエラとシンの担当を減らして、私とクオーレで多く受け持ったほうがいいでしょう。見分けがつくとはいえ、ティエラもこの手の依頼をこなしたことはないですからね。時間は私たちよりもかかるでしょうし」
「そう、ですね。そうしてもらえると助かります」
シュニーの申し出にティエラがうなずく。ティエラは100年近くほとんど森に入ることができなかった。エルフとはいえ、ブランクがあるのは否めない。
加えて一緒に行くのがシンだ。初心者が1人いるだけで作業は遅れるものだとシュニーは考えたのである。同時に、ティエラの感覚を戻すための訓練にもなると思っていた。
一方、エルフなら感覚的に植物の見極めができると言い切ったシュニーとティエラを前に、同行を申し出た本人がもっとも役に立っていないとあらためて思い知らされたシンは、再び肩を落とした。
「足手まといで申し訳ない……」
「見分け方を教えてあげるわよ」
慰めるようにティエラがシンの肩を叩く。
「大丈夫です、シン殿。私も最初は何が違うのかわかりませんでしたから」
クオーレはビーストながら、若くして森の変化を機敏に察知できる知識と経験を備えている。しかし、それは長年の努力のたまものである。最初からできれば、誰も苦労しないのだ。
「では、最後に地図をコピーしましょう。記憶違いがあっては困りますし」
そう言ってシュニーが無系統スキル【転写】を発動させる。紙に描かれた模様や文字を、文字通り転写するスキルだ。
ゲーム時代、プレイヤー間ではマップデータを共有するために使用していたスキルでもある。シンもそれで使い方を覚えていたのだが、こういうときに使えるのか、と感心した。
「じゃあ、始めるか」
早く終わった者はまだ終わっていない者に合流し手伝うとして、終わらなかった場合に再集合する場所と制限も決めて、一同は森に散った。
「さて、さっそくで悪いがどれだ?」
「もう少し先に進んだところね。やり方を教えるから、実際に見ながら覚えていきましょ」
森の中を移動しながら、シンはティエラから古い木と若い木の見分け方や、ゲームではアイテムとしてカウントされなかった草花の名前や薬効について指導を受けた。
雑草という名の草はない――そんな言葉もあるように、シンからすれば同じに見える草も、それぞれ名前があり、花を咲かせたり実をつけたりと違う植物なのだ。
この世界では、それらの草花を利用したアイテムも開発されているとティエラは語る。シンも自分の持つ技術と合わせれば、何か新しいものができるかもしれないと少しわくわくした。
「シン、これは若い木? それとも古い木?」
「……古い木?」
「はずれ、これは若い木よ。じゃあこっちは?」
「……若い木?」
「残念、古い木」
「……マジで?」
「マジよ」
ただし、理解はしても見分けがつくかどうかは別問題だった。
クオーレですら10年かかったのだ。ど素人のシンが簡単にできるはずもない。
「むむむむ……」
「はい、どのようなご用件でしょうか?」
チワワを連想させるたれ耳が特徴的な受付嬢に、ヒルク草の採取依頼について質問する。
「申し訳ありませんが、反復できるタイプの採取依頼に関しましては、受けた支部での確認となります」
受付嬢曰く、地域ごとに求められるアイテムに偏りがあり、報酬も異なることが多いらしい。なのでこの依頼は取り扱えないとのこと。
仕方がないので、現在のランクに応じた討伐系の依頼を受けることにした。
依頼内容はファルニッド南部の森に出没するゴブリン討伐。最低5体。それ以上倒した場合は1体につき銅貨50枚がプラスされる。討伐証明部位は耳。
「これは高いのか? それとも安いのか?」
ゴブリン1体で銅貨50枚。計算上、4体倒すとベイルリヒトの『穴熊亭』に一泊できる稼ぎである。
「Dランクの依頼のなかでは稼ぎやすい部類と言えるでしょう。ゴブリンは基本的に集団で行動しますから、まとめて倒せばそれなりの稼ぎになりますし。その分危険度も高くなりますが」
報酬に首をかしげているシンに、クオーレが説明してくれた。
冒険者の認識としては、Dランクはやっと一人前になったというランクだ。このあたりになるとレベルも100を超える者たちが出始める。
彼らからすれば、ゴブリンは割と楽に倒せるのだろう。とはいえ、ゴブリンのような低ランクのモンスターでも、集団で来られると危険となる。
【THE NEW GATE】のゴブリンはレベル帯が10~50と広い。ゲームだったころも、たかがゴブリンと侮れないモンスターだった。
戦士タイプから魔術師タイプまでいるため、ランクが上がって調子に乗った冒険者が油断して挑み、死んでしまうことも少なからずある。
パーティを組んでいれば問題ないだろうが、ソロでゴブリンの集団に遭遇すると、Dランクでも安全とは言えないのだ。
「ここなら日帰りできそうだし、これにしよう」
もちろんシンなら目をつぶっていても倒せる相手なので、気負うことなく依頼書を取り、受付に持っていった。
「ゴブリンの討伐ですね。手続きを行いますので、カードの提示をお願いします」
「どうぞ」
「……失礼ですが、冒険者登録をしたのは今から1ヶ月以内で、場所はベイルリヒト、でよろしいでしょうか?」
「え? あ、はい。そうですが」
カードを受け取った受付嬢が、シンが本人かどうかを確かめた。
初めて依頼を受けたときに、ベイルリヒトのギルド職員セリカはこの確認をしなかったが、それはカードを作成した直後だったからである。
「はい、けっこうです。依頼内容はファルニッド南部の森に生息するゴブリンの討伐、で間違いありませんね?」
「大丈夫です」
「パーティで受けられますか? そうでしたら、パーティメンバーのギルドカードも提示してください」
「わかりました。シュニー、ティエラ、ちょっとこっちに来てくれ」
シンは後ろにいたシュニーたちに声をかけ、事情を話してカードを出してもらった。クオーレはパーティを組んでいないので、元の位置で待っている。
「はい、確認しました。パーティ名が登録されていませんが、このままで構いませんか?」
パーティ名は長期でパーティを組む冒険者が、団結力を強めたり、パーティメンバー全員の名声を高めたりするために使うものだ。
パーティの中には戦闘よりも斥候などの補助に特化し、手柄を挙げにくい能力の者もいる。前線で戦う者は名声を得やすいが、裏方はどうしても注目されづらくなってしまう。
それを回避するのがパーティ名だ。
パーティとして名が高まれば、そこに所属しているというだけで一目置かれるようになる。
完全に平等な評価がなされるとまではいかないが、ワンマンパーティでもない限り、パーティ名を決めるというのは有益なのだ。だが、今のシンたちには必要ない。
「あ、はい。そのままでお願いします」
「承知しました。手続きはこれで終了です。お気をつけて」
「ありがとうございます」
丁寧に対応してくれた受付嬢に礼を言って、シンはカウンターを離れた。
「シン殿ほどの方が、ゴブリンの討伐ですか?」
戻ってきたシンに、クオーレが話しかける。
シンがゴブリン討伐の依頼書を手にしたときは、何か特別な理由でもあるのかと黙っていたようだ。しかし、何の変哲もない依頼内容に、疑問が浮かんだらしい。
「実力がどうあれ、冒険者ランクは高くないからな。こればかりは実績を積むしかないさ」
本人がいかに強かろうが、ギルドランクはそう簡単には上がらない。
高ランクには相応の信頼と実績が求められるからだ。本人が元騎士だろうが貴族だろうが、対応は変わらない。
以前セリカがしてくれた説明では、選定者と思われる者でも最初のランクはGからF、またはEになるという話だった。
「ささっと終わらせてくる。せめてCランクくらいにはしたいからな。クオーレはこれからどうする?」
「私も同行してよろしいですか?」
「構わないけど、ゴブリン討伐だぞ?」
「大丈夫です。残っている仕事は、どのくらい時間がかかるかわからないので、後に回します」
「仕事っていうのは何なんだ?」
「先日決闘が行われた場所の調査です。ラルア大森林で戦闘が行われた後は、森が再生しているかいつも確認しに行くのです。今回は戦いの規模がかなり大きかったので、森の被害も増しています。調査人数を増やせればいいのですが、ラルア大森林に出現するモンスターは一般の冒険者には荷が重いので、依頼を出してもなかなか受けてもらえません。とくに今回はジラート様とシン殿の戦いの後ですので、私が出向くことになったのです。強い者同士が戦うと、ラルア大森林には自生していない植物がなぜか出現することもありますから。これらの調査は、シン殿たちが依頼を終えて帰ってくるまでの時間では到底終わりませんので、後回しにしようということです」
そうして出現した植物には薬効の高いものが多いらしいが、ある程度の期間で枯れて、それ以降は生えてこないという。
「なるほど……なあ、それって俺もついていっていいか?」
「え? あ、いえ、それは可能ですが」
いきなり同行したいと申し出たシンに、クオーレは困惑顔となる。見回る以外にやることのない仕事なので、意外だったのだろう。
「突然すまない。一応、俺も戦った当事者だし、現地を見ておきたくなったんだ」
見たから何かが変わるというわけではない。ただ、前回は景観など認識の埒外だったので、あらためてジラートと戦った場所を確認したくなったのだ。
「わかりました。シュニー殿とティエラ殿はいかがいたしますか?」
「私はほかに用もありませんから、2人に同行します」
シュニーは迷いなく同行を決める。
「えっと、私も行くわ。あのときは森が騒がしくて、精霊の様子もよくわからなかったし」
ティエラも久しぶりに森に行きたくなったようだ。
†
シンたちはギルドを出てエリデンの南門に向かう。
門を出てしばらく進むと、周りにはほとんど人がいなくなった。シンたちは目的地が近場なので徒歩だが、ほとんどの人は馬車で移動するからだ。
数少ない通行人も街道に沿って移動するので、森へ向かうシンたちとは方向が違う。
「こっちだ」
モンスターの気配を察知して、シンは方向を変える。森の中でも平原と同じ速度で進んでいるが、それに遅れる者はいない。
エルフであるシュニーにティエラ、ビーストのクオーレ、モンスターのユズハとカゲロウ。森の中での行動などお手のものというメンバーしかいないからだ。
野生の動物は、シンたちが近づくとすぐに逃げていった。気配を消していないので、危険な存在だとわかるのだろう。
「――見つけた」
シンが【千里眼】と【透視】を併用して、森の中を移動するゴブリンの集団を発見した。
身長は140セメルほどで、肌は緑色。ヒューマンと比べると頭が倍くらい大きく、顔のつくりは醜悪だ。
手には錆びたショートソードや短剣といった武器を持っている。レベルは20台が5体で、1体だけ31だった。木の盾を持っているので、一番高レベルの個体がリーダーだろうか。
クオーレも協力を申し出てくれたので、各自1体ずつ仕留めることにして接近していく。
全員が射程に入ったことを確認してから、各々の得物を取り出す。
シンとシュニーは投擲用の短剣、ティエラとクオーレは弓。ユズハとカゲロウは爪と牙である。
ティエラとクオーレが弓を引き絞るのに合わせて、シンとシュニーは短剣を持った手を振りかざした。
ユズハとカゲロウは音を立てずに近づき、気づかれないように伏せている。
「……いま」
シンの声で、森の中を短剣と矢が駆け抜けた。
シンとシュニーの投げた短剣が、前を歩くゴブリン2体の頭部を貫通し、それに動揺する間もなく後ろの2体の頭部に矢が突き刺さる。
残りの2体はユズハとカゲロウの爪によって首を飛ばされていた。
当然といえば当然だが、瞬殺だった。討伐の証明として耳を切り取り、1つの袋にまとめてからシンのアイテムボックスに収納する。
これは街での買い出し中に判明したことだが、今回のように複数のものを1つにすると、1個のアイテムとしてアイテムボックスに収納できる。カード化も可能だ。
ただし、カードを具現化してばらばらにしてしまうと、個別でカードにはできなくなった。
「これで依頼完了だな。じゃあ、ラルア大森林にも行くか」
移動を含めても依頼完了まで1時間半ほどしか経っていないので、ラルア大森林に向かうだけの時間は十分残っていた。
「わかりました。では、そうしましょう。このまま森を突っ切るか、一旦街道に出るか2通りの方法がありますが、どうしますか?」
「クオーレは慣れているし、ほかも足手まといになるメンツじゃないんだ、突っ切るほうでいいんじゃないか?」
「くぅ!」
賛成、とでも言うようにユズハが一声鳴く。カゲロウもティエラの横で同じく鳴いた。
†
1時間ほどで南の森を抜け、一旦平原に出る。そこから馬車を出して街道を進むことさらに30分。
クオーレが、カゲロウの引く馬車の速度に驚くというイベント以外はとくに何もなく、シンたち一行はラルア大森林へと到着した。
前回シュニーたちがシンとジラートの戦いを観戦した丘で、馬車を降りる。
「すごいな。あれだけ派手に吹っ飛ばしたのに、それっぽいところがないぞ」
丘の上に立って森を眺めたシンは、破壊の跡が見えないことに驚く。
ジラートとの戦いは、【落砲波】から始まり木々を薙ぎ払う技の応酬だった。
戦いの余波で巻き上げられた大木や岩が、無事だった木々に叩きつけられ被害が拡大したことは、シンも視界の端で捉えていた。
しかし今、シンの目に見える範囲では、それらしき痕跡は発見できない。
「見たところ、戦いが始まる前と植生は変わりないようですね。元通り再生したというよりは、植物が急成長して傷跡を埋めたといったほうが正しいでしょう」
「そうですね。よく見ると、ところどころ若い木が見えますし」
シュニーが森の状態を説明すると、ティエラも同意見のようで、「あのあたりがもともとの森で、あっちが成長したところ」と森の一部を指差しながら、シンに言った。
「さすがは森の民。残念ながら、俺は教えてもらってもわからないぞ」
ティエラの示す方向に目を凝らしていたシンだったが、結局違いを見分けることはできなかった。そもそも大きさ以外で、若い木と古い木の区別もつかないのだから当然なのだが。
「シュニー殿とティエラ殿はさすがですね。私は違いがわかるようになるまで10年ほどかかりました」
「森に関する感覚はエルフとピクシーが突出して鋭敏ですから、仕方がないでしょう。見分けがつくだけでもたいしたものです」
微笑みを浮かべながら、シュニーはクオーレを褒める。かつて直接見分け方を教えたこともあるそうだ。クオーレがそれをしっかりと身につけていることが嬉しいのだろう。
「ありがとうございます!」
クオーレも笑顔で返す。嬉しくて堪らないようで、尻尾が左右に大きく振られていた。
「それで、この後はどうするんだ? 調査をするんだよな?」
どのような方法で行うのかわからないので、シンはクオーレに尋ねた。
再生した区域の広さを考えれば、調査するにもかなりの労力が要る。
「再生した木々の確認と、その周囲に不自然な植物が生えていないかを調べます。すべてを見て回るのはさすがに不可能なので、大まかに範囲を区切り、その中でいくつかポイントを決めるのです」
そう言ってクオーレは懐からカードを1枚取り出し、具現化させる。
出現したのはラルア大森林の地図だった。目印になるような巨木や、特徴的な木などが描かれている。
「目印となる木を中心に、森を区切ります。これらの目印は再生後も変わらないので、見失うことはないはずです」
一般の冒険者ならここで、森の奥に行きすぎないように注意するらしいのだが、シンたちなら心配する必要はないとのこと。
「……同行したいといった手前申し訳ないんだが、俺は役立ちそうもないな」
再生した木ともともとあった木の区別など、シンにつくはずもない。ティエラに教えてもらってもわからなかったのだから。
「では、ティエラと一緒ではどうですか? 目当ての植物があればティエラが採取をして、それをシンがアイテムボックスに入れていけば効率がいいでしょうし」
すまないとうなだれたシンを見て、シュニーが提案した。
「……そうですね。私とシュニー殿はアイテムボックスが使えますし、組み合わせとしては最適でしょう」
クオーレもうなずく。
シンとしてはそれくらいしか役に立てそうにないので、肯定するのみだ。完全にアイテムボックス要員が妥当である。
そして今聞いて知ったが、クオーレもアイテムボックスが使えるらしい。先ほど懐から出したように見えたカードも、実はアイテムボックスを使っていたようだ。
そう言えば、アイテムボックスは王族や長老たちが持っているものだと、ティエラが話していたのを思い出した。
クオーレは獣王の娘、つまりは王族だ。ジラートの直系で能力も受け継いでいるとなれば、アイテムボックスが使えるのも納得である。
「では、三方に分かれましょう。念のため確認しますが、今まで不自然な植物が出現する以外で何か変化が起こったことはありますか?」
採取時に気にかけておくことがあるかと、シュニーはクオーレに問いかけた。
「確認されている限りでは、そういったことはないですね。実は自生していない植物が見つかったのも、過去に2度だけなのです。かなり強い力を持った者たちが決闘を行ったときです。1度目はドラグニルとビーストの戦いの後で『御伽草』が、2度目はロードとエルフの戦いの後で『幻夢草』が発見されたと記録にはあります。どちらも多くの場所で見つかっているので、今回も何かあれば誰かが発見すると思います」
ただ、生えた植物が数を増やしたり、そのまま残ったりはしなかったという。本当に一時的なもののようだ。
「担当区域はどうする? 3等分でいいか?」
シンは地図の上で、クオーレに聞いた範囲に円を3つ作るように指を動かした。
クオーレが言ったように、ラルア大森林全体を調べるなど小人数では到底不可能なので、調べる範囲はある程度絞られなければならない。
地図に書き込みをしたわけではないが、おおよその範囲はその場の全員が理解した。
「皆様はラルア大森林に不慣れでしょうし、私の担当区域を多くしても構いませんが」
そう言うクオーレに対して、シュニーが首を横に振った。
「今回のような調査は私も依頼されることがあるので、このままでも問題ありません。むしろティエラとシンの担当を減らして、私とクオーレで多く受け持ったほうがいいでしょう。見分けがつくとはいえ、ティエラもこの手の依頼をこなしたことはないですからね。時間は私たちよりもかかるでしょうし」
「そう、ですね。そうしてもらえると助かります」
シュニーの申し出にティエラがうなずく。ティエラは100年近くほとんど森に入ることができなかった。エルフとはいえ、ブランクがあるのは否めない。
加えて一緒に行くのがシンだ。初心者が1人いるだけで作業は遅れるものだとシュニーは考えたのである。同時に、ティエラの感覚を戻すための訓練にもなると思っていた。
一方、エルフなら感覚的に植物の見極めができると言い切ったシュニーとティエラを前に、同行を申し出た本人がもっとも役に立っていないとあらためて思い知らされたシンは、再び肩を落とした。
「足手まといで申し訳ない……」
「見分け方を教えてあげるわよ」
慰めるようにティエラがシンの肩を叩く。
「大丈夫です、シン殿。私も最初は何が違うのかわかりませんでしたから」
クオーレはビーストながら、若くして森の変化を機敏に察知できる知識と経験を備えている。しかし、それは長年の努力のたまものである。最初からできれば、誰も苦労しないのだ。
「では、最後に地図をコピーしましょう。記憶違いがあっては困りますし」
そう言ってシュニーが無系統スキル【転写】を発動させる。紙に描かれた模様や文字を、文字通り転写するスキルだ。
ゲーム時代、プレイヤー間ではマップデータを共有するために使用していたスキルでもある。シンもそれで使い方を覚えていたのだが、こういうときに使えるのか、と感心した。
「じゃあ、始めるか」
早く終わった者はまだ終わっていない者に合流し手伝うとして、終わらなかった場合に再集合する場所と制限も決めて、一同は森に散った。
「さて、さっそくで悪いがどれだ?」
「もう少し先に進んだところね。やり方を教えるから、実際に見ながら覚えていきましょ」
森の中を移動しながら、シンはティエラから古い木と若い木の見分け方や、ゲームではアイテムとしてカウントされなかった草花の名前や薬効について指導を受けた。
雑草という名の草はない――そんな言葉もあるように、シンからすれば同じに見える草も、それぞれ名前があり、花を咲かせたり実をつけたりと違う植物なのだ。
この世界では、それらの草花を利用したアイテムも開発されているとティエラは語る。シンも自分の持つ技術と合わせれば、何か新しいものができるかもしれないと少しわくわくした。
「シン、これは若い木? それとも古い木?」
「……古い木?」
「はずれ、これは若い木よ。じゃあこっちは?」
「……若い木?」
「残念、古い木」
「……マジで?」
「マジよ」
ただし、理解はしても見分けがつくかどうかは別問題だった。
クオーレですら10年かかったのだ。ど素人のシンが簡単にできるはずもない。
「むむむむ……」
感想 396
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
真の皇帝は俺です ~面倒だから幼なじみに帝位を任せていたら、婚約者に捨てられました。正体を明かしたら全員後悔してももう遅い~
由香皇帝の仕事が面倒だったレインは、信頼する幼なじみアレクシスに表向きの皇帝を任せ、自身は陰から帝国を支えていた。
だがある日、婚約者エミリアは「権力も将来性もない」と彼を見限り婚約破棄を宣言する。
しかし彼女は知らなかった。
帝国を動かしていた真の支配者が誰なのかを。
これは全てを持ちながら隠していた男と、見るべきものを見失った者たちの後悔の物語。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
【老化返却】聖女の若さは俺の寿命だった〜回復魔法の代償を肩代わりしていた俺を追放した報いだ。回復のたびに毛が抜け、骨がスカスカになるが良い〜
寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった「寿命を削って回復してやってたのに……感謝すらしないんだな」
聖女パーティの荷物持ち兼回復術師だった俺は、ある日突然パーティを追放された。
理由は「回復魔法のコストが寿命で、もうすぐ死ぬ無能はいらない」という勝手な思い込み。
だが、彼らは知らなかった。
俺の正体が、この世界の生命を司る世界樹の根源そのものだったことを。
俺の寿命は無限であり、俺がパーティにいたからこそ、彼らは「若さ」と「健康」を維持できていたのだ。
「俺がいなくなったら、誰が君たちの老化を止めるの?」
俺がいなくなった途端、聖女たちの身体に異変が起きる。
回復魔法を唱えるたびに、自慢の金髪はバサバサと抜け落ち、肌は土色に。
若さに溺れていた彼女たちは、骨がスカスカになり、杖なしでは歩けない老婆のような姿へと変わり果てていく。
一方、解放された俺は隣国の美少女皇女に拾われ、世界樹の力で枯れた大地を森に変える「現人神」として崇められていた。
「今さら戻ってきて? ……悪いけど、そのハゲ散らかした老婆、誰だっけ?」
すべてを失ってから「俺」の価値に気づいても、もう遅い。
これは、恩を仇で返した連中が、自らの美容と健康を代償に破滅していく物語。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
