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5巻
5-2
「シュニーの話じゃ、天変地異から500年、まったく見かけなかったって聞きましたけど」
「うむ、吾輩も聞いたことはないな」
それに、シャドゥとホーリーもうなずく。
何があったのかはわからないが、再び瘴魔が動き始めたというのはあまりいい予感はしない。念のため、王城内で何があったかも伝えておく。
「伯爵級か。その程度なら吾輩たちでもなんとかなるな」
「それ以上ならダンジョンかクエストでしか戦ったことはないが」
「今じゃ地形が変わってるし、原因はちょっとわからないわね。この世界で私たちが行ったことのあるダンジョンに、そういうところはなかったけど」
3人は顔を見合わせて眉をひそめた。
「まあ、知らないよりはましだと思うので、一応頭の隅にでも置いといてください。今はもっと優先しないといけないこともありますし」
考えたところで答えは出ないので、瘴魔のことはひとまず置いておく。
「とりあえず、武器と防具を強化するんで今使ってるやつを預からせてください」
「いいの?」
「今回は俺がいますけど、この先何があるかわかりません。強化しておいて損はないと思います。もちろん、本気でやるんで期待してもらっていいですよ」
今回はシンがいる。ギルドや領主の準備を無駄にしてしまうが、はなから犠牲者など出す気はない。
シンの意識はすでに、いずれまた起こるであろう『氾濫』に向いていた。
「ふ、ふむ……シンの本気か。頼もしいが、おそろしい武器が出来そうだ」
「武器を渡すのが怖いな」
ひびねことシャドゥが若干上ずった声で言う。なまじシンの実力を知っているだけに、愛用の武器にどんな魔改造を施されるのか、という不安が頭をよぎっていた。
「よろしくお願いするわね! シン君がいなくても私たちがしっかりここを守るんだから!」
額から汗を流す男性陣とは違い、ホーリーはやる気に満ちた顔で、さっそくシンにカード化したままの武器を渡す。
そこに、魔改造への不安は見えない。
「任せてください」
シャドゥとひびねこの分のカードも受け取って、一旦アイテムボックスにしまう。作業は夜になってからバルメルを抜け出し、月の祠を出現させてやるつもりだ。
「あ、そうだ。せっかくなんで俺の相棒を紹介しときます」
「相棒? シュにゃーさんなら知っているが」
「調教師のジョブを取るとモンスターをテイムできるじゃないですか。あれですよ」
相棒と聞いてシュニーを思い浮かべたひびねこに、シンはモンスターをテイムしたことを告げる。
「ほほう、シンの目に適うモンスターがそういるとは思えないが」
髭をいじりながら、ひびねこは興味深げに目を細めた。
「あまり強いモンスターっていなかったわよね」
「ふむ、このあたりならミストガルーダあたりか?」
興味津々なのはこちらも変わらないようで、ホーリーとシャドゥも心当たりを口にしている。
「今呼びますから少し待ってください」
そう言ってシンは、ユズハにパートナー同士の念話をつなぐ。
(こちらシン。ユズハ聞こえるか?)
(くぅ? なーにー?)
(ユズハを知り合いに紹介しようと思ってな。こっちに呼ぼうと思うんだが大丈夫か?)
(ちょっとまって……うん、シュニーお姉ちゃんもティエラお姉ちゃんも「また後で」だって)
少しの間は2人に確認を取っていたからのようだ。
「じゃあ、いきますよ。契約獣召喚!」
シンが呪文を唱えると、足元に複雑な模様が描かれた召喚陣が出現する。
本来なら、これでシンの足元にユズハが現れるはずだったのだが――。
「きゃあっ!!」
「くぅっ!?」
「は? ――むぐっ!」
短い悲鳴が聞こえたと思った矢先、顔を何か柔らかいものに包まれ、シンの視界が閉ざされた。
姿勢を崩し地面に倒れ込む。
するとシンが倒れた音以外にも、何かが地面に落ちた音が店内に響いた。
「いたた……いったい何が……って師匠!! 何やってるんですか!?」
ティエラが痛みに目を潤ませながら視線を上げると、そこにはシンの頭を胸元に抱き込んだシュニーの姿があった。
「……つい」
「ついじゃなくて、ああもう! いいからシンを放してください! 苦しそうですよ」
息ができないのだろう。シンはしきりにシュニーの背を叩いている。胸元から漏れてくる「むむ! むむー!」という声は、「ギブ! ギブー!」と聞こえなくもなかった。
「こ、これが、うわさに聞く、天国と、地獄か……」
シュニーの抱擁から解放されたシンが、ぜぃぜぃ言いながらつぶやく。ちょうど息を吐き出したタイミングだったので、冗談抜きで窒息するところだったのだ。
最初は天国、終わりは地獄である。実は、避けようと思えば避けられたのはシンだけの秘密だ。
「……えーと、これはどういうことかしら?」
シュニーたちの突然の出現に固まっていたシャドゥ、ホーリー、ひびねこのうち、もっとも早く再起動したのはホーリーだった。
「お、俺にも、さっぱり」
乱れた呼吸を整えながら、シンは答える。さすがに、ユズハと一緒にシュニーとティエラまで現れるとは思っていなかったのだ。
「それについては私が」
何事もなかったかのようにシュニーが説明を始める。
それによると、ユズハを中心にした召喚陣にシュニーたちが引っ張られたらしい。本来は対象となる相手だけを転移させるはずなのだが、なぜか2人もユズハと同じような存在として認識されたようだ。
「推測ですが、召喚陣の中にいたのが原因ではないでしょうか?」
「巻き込まれ召喚ってやつか」
「召喚陣は直径1メルはありましたから、私もティエラも召喚陣の中にいたのは間違いないはずです」
「……そういえば、カシミアがそんなことを言ってたような」
シンはギルド六天の召喚士兼調教師、カシミアの言葉を思い出す。
『パートナーを呼ぶときに他のパートナーが召喚陣の中にいると、時々一緒に現れることがあるんですよ。バグじゃないらしいんですけど』
内容はこんな感じだったはず、とシンは記憶が間違っていないことを確認する。
おそらく、もともと【THE NEW GATE】にあった仕様のひとつなのだろう。
「いやはや、シンといると退屈しないな」
「まったくだ」
我に返って、呆れたように言うひびねことシャドゥ。
「皆さま、お久しぶりです」
「シュにゃーさんも変わりないようでなにより」
「今度、シン君と再会した時のことを聞かせてね」
気軽に声を交わすシュニーたちを見て、シンはふと思った。
「なあ、シュニーって、ひびねこさんたちがこっちに来てるって知ってたのか?」
「はい、シンの友人ということで、いろいろとお話を聞かせてもらいました」
「それならもう少し早く言ってほしかったぜ。いや、ジラートのこととかあったからしょうがないのかもしれないけど」
自分以外にプレイヤーがいると知っていれば、シンの行動もまた違っていたはずだ。とはいえ、死期が迫るジラードに会いにいかないという選択肢はあの時なかったので、怒ろうと思わない。
「申し訳ありません。隠しておくつもりはなかったのですが、言い出すきっかけがつかめず……」
「まあまあ、男の子が細かいことを気にしちゃダメよ。それより、私としては早くそっちのエルフちゃんと子狐ちゃんを紹介してほしいわ」
シュニーの内心を知ってか知らずか、ホーリーはティエラたちの紹介を求めた。
「わかってますよ。シュニーはもう知ってるでしょうから割愛するとして、子狐がユズハで、エルフがティエラです」
「くぅ!」
「ティエラ・ルーセントと申します」
ユズハが元気よく鳴き、ティエラが丁寧に頭を下げる。
「で、次はこっちな。この額にひびが入ったような顔をしているのが猫又さん、俺たちはひびねこさんって呼んでる。そっちがハイエルフのホーリーさんで、その隣にいるのがハイロードのシャドゥさん」
「吾輩は猫又。皆からはひびねこと呼ばれている」
「ホーリーよ。よろしくね、ティエラちゃん」
「シャドゥだ。腹が空いたらうちに来い」
そこでティエラが自らの足元に視線を落とした。
「私のパートナーも紹介しますね。カゲロウ、出てきて」
呼びかけに応えて、子犬モードのカゲロウがティエラの影から現れる。
「この子がカゲロウです。今は小さいですけど、本来の姿はすごく大きいんですよ」
「ぐるっ!」
ティエラの紹介に合わせるように、カゲロウが一鳴きした。
「モンスター名はグルファジオな」
「え?」
「な!?」
「にゃんと!?」
補足とばかりにシンが告げた内容に、元プレイヤーの3人は驚愕の声を上げた。
上級プレイヤーでも油断禁物の神獣が、エルフの美少女に子犬のごとく抱かれているという珍妙な光景ではあるが、3人の【分析】はカゲロウの名前とレベルを間違えることなく表示していた。
「あらあらまあまあ、こんなかわいい子があのグルファジオなの?」
「はい、体の大きさをある程度自由に変えられるみたいなんです」
「ティエにゃさんは選定者なのかね?」
「いえ、シンたちと違って私は普通のエルフですけど」
「選定者でもないのに、グルファジオがテイムできたのか?」
「はいはいそこまで! 質問は後にしてください!」
詰め寄るホーリー、ひびねこ、シャドゥの前にシンが割って入る。放っておけばティエラが質問攻めにされ続けることは間違いない。
ホーリーだけ質問の内容がずれているのは、天然なのだろう。
「なんだか人数も増えましたし、せめて座って話をしましょう」
シンが言うと、シャドゥとホーリーがうなずいた。
「ならうちに来い。せっかくの再会だ、腕を振るうぞ」
「そうね。今日はお店は休みだから、少しくらいはお話できるわ。モンスターが来るまではまだ時間があるんでしょう?」
「……そういえばまだ時間はあったんでした。ここはお言葉に甘えさせてもらいます」
モンスターの群れがバルメルに来るまでに少なく見積もっても4、5日かかるのは間違いない。いつの間にか、リオンの焦りがシンにも移っていたようだ。
「冒険者の召集、軍の編成、物資の調整、対応するにも時間がかかるが、少なくとも今日は大丈夫だろう」
「さ、行きましょう」
シャドゥとホーリーに続いて、一行は喫茶店『B&W』に入った。こちらは『にゃんダーランド』と違い、落ち着いた雰囲気のある喫茶店だ。道路に面した壁は一面ガラス張りになっており、店内が見えるようになっていたが、今はカーテンが閉まっている。
『Closed』の札がかかっているドアを開けて店内に入ると、これまたシンのよく知る光景が広がっていた。白を基調とした清潔感のある店内は、ゲーム時代となんら変わらない。そのまま持ってきたと言われても、違和感がほとんどないくらいだ。
「……よくここまで再現しましたね」
「我ながらよくできたと思うわ。でも、ここまで元通りに作れたのはシン君、というか六天のみんなのおかげね」
「六天の?」
欠片も思い当たる節のないシンは、ホーリーの言葉に首を傾げるしかない。
「六天のレードが作った『黄金商会』があるだろう? シンと知り合いだったおかげでいろいろと融通してくれてな」
「吾輩たちだけでは、さすがにここまで再現はできなかっただろうな」
「『黄金商会』ですか……そういえば、他のやつらのサポートキャラクターは何してるんだ?」
シャドゥとひびねこの話を聞いて、今さらながら他の六天のサポートキャラクターのことを思い出したシンだった。
「シュニーは何か知ってるか?」
椅子に座りながらシュニーに尋ねる。
「レード様配下のベレットが以前と変わらず『黄金商会』を、クック様配下のケリトリとザジは、レストラン『時雨屋』を経営しています。あとは、カシミア様配下のビジーとカイン様配下のラスターが、ラシュガムにて整備と配下のモンスターの育成を行っています。私が知っているのはこれくらいですね。シンたちについての情報は、『黄金商会』を介して共有をする手筈になっていますから、ベレットなら全容を知っていると思います」
「……なあ、今ラシュガムって聞こえたんだが、あれも残ってるのか?」
話の途中ではあったが、シンは疑問を口に出してしまった。
「はい、もともと空に浮かんでいますから、地殻変動の影響も受けていません。それなりに広さもあるので、牧場を失ったビジーが飼育していたモンスターを避難させたんです。そのせいか、今では竜の巣と呼ばれていますが」
「おいおい……まあ、元ネタ的にはピッタリな呼び名だけどさ」
シュニーの言うラシュガムとは、六天のギルドハウスのひとつだ。
ゲーム時代、ギルドハウスの数に制限はなかった。なので、ある程度の規模のギルドハウスを複数持つギルドと、ひとつのギルドハウスを延々と拡張、強化し続けるギルドに分かれていた。
六天ではせっかくだからと6つの拠点を用意し、1人1ヶ所ずつ管理していこうという話になったのだ。
そしてラシュガムは『銀の召喚士』カシミアの担当だった6番目のギルドハウスで、正式名称を『六式天空城ラシュガム』という。仲間内では『キャッスル』などとも呼ばれていた、文字通りの空飛ぶ城である。
「飼育されているモンスターの半数が竜種ですから、巣というのもあながち間違いではありませんけどね」
「なるほどな。てか、そういうことなら俺の『スタジオ』もどこかにあるのか?」
『スタジオ』とは、シンの担当だった『一式怪工房デミエデン』のことである。
「探してはみましたが、まだ見つかっていません。ギルドハウスへは私たち単独では転移できませんし」
もともとギルドハウスはプレイヤー専用だ。プレイヤーと一緒ならサポートキャラクターも移動は可能だが、一般の転移ポイントと違ってサポートキャラクター単独では使用できない。
なにせゲームなら誰々をどこそこに配置、とメニューで操作するだけで移動できたからだ。
「『シュライン』なら、今は教会の総本山になっているはずだ」
「教会の?」
ひびねこの発言にシンの顔つきが変わる。依頼で知り合ったラシアや先日遭遇したゴーレムから逃げていた神官など、教会関係者に妙に縁のあるシンとしては、自分たちのギルドハウスのひとつが勝手に使われているというのは少々納得がいかない。
『シュライン』は通称で、正式名称は『四式樹林殿パルミラック』という。神殿タイプの4番目のギルドハウスで、『青の奇術士』たるカインの担当だった施設だ。
「ひびねこさん、設備はどこまで使われてるかわかりますか?」
「少なくとも中枢までは掌握されていないだろう。部屋のほとんどが封印されていると聞く」
「シュニーは何か知ってるか?」
「いえ、私は教会とは距離を置いていましたので……」
過去にいざこざがあったとは以前聞いたが、総本山に出向くこともなかったらしい。
「それなら私が知ってるわよ」
ひびねこやシュニーに代わって、ホーリーが小さく手を上げる。
「私がこの世界に来たときに一番近くにあったのが、教会総本山のある都市『ジグルス』なのよ。しばらくそこで生活してたから、シュラインにも行く機会があったの」
教会が行っている炊き出しの手伝いをした際に、知り合いの神官に誘われたらしい。
ホーリーがハイエルフという上位種族で人柄もよかったこともあり、勧誘も兼ねていろいろと説明してくれたようだ。
「私が聞いた話と、見学で見たことを合わせて考えると、建物自体が重要って認識みたいよ。門や広間みたいな、誰でも入れるような部分しか使えないみたいだったわね」
それが全部ではないでしょうけれど。そう付け加えて、ホーリーはシャドゥが用意したコーヒーに口をつける。
「天変地異ってやつの影響がどれくらいかわかりませんけど、ホーリーさんの話を聞く限り、シュラインの機能は完全ではないにしろ停止はしてないと思います」
「なぜ、と聞いても?」
「一部のプレイヤーの間じゃ有名でしたし、かまいませんよ。カインの作る建物ってコアを使って施設内の機能を維持してるんですけど、そのコアが破壊されるもしくは機能停止すると、建物が自壊するようになってるんです」
ひびねこの疑問に、とくに間を挟むこともなくシンは答えた。
カイン曰く、「現実ではそんな物は作れん、ゆえに【THE NEW GATE】で作ることにした!」そうである。リアル建築家の血が変な方向に騒いだらしい。
攻め込まれた際に敵もろともシュラインを崩壊させる、というのをやってみたかったようだ。結局、その機会が訪れることはなかったのだが。
「そんなわけで、建物が無事ってことはとりあえずコアは生きてますね。重要施設は六天メンバーかサポートキャラしか使えないはずですから、ロックがかかってると思います。たぶん、ホーリーさんの言うとおり、誰でも使える部分だけ使ってるんじゃないですかね……特殊なアイテムを売ってるとか、そういうことはないんですよね?」
もし全施設が使用可能ならば、この世界の常識に照らすと考えられないことがいろいろとできてしまう。
「ええ、私も少し調べてみたけど、とくにおかしなものは売ってなかったわ。この世界でも標準的な回復薬とか毒消しとかだったし」
「ならたぶん、この推測で間違いないと思います」
「そもそも、六天のギルドハウスをこの世界の住人がどうこうできるとも思えんがな」
料理を持ってきたシャドゥがぽろっとこぼした一言に、その場にいる全員が苦笑する。
偶然動かせてしまった、なんてことが起こる仕様でもないのだ。元プレイヤーでも難しいことが、この世界の住人にできるはずもない。
「お料理も来たことだし、食事にしましょうか」
「シュニーさんほどではないが、腕を振るわせてもらった」
テーブルに並べられた料理に、シンはつばを呑み込む。カルキアを出てから3日間、普通の旅人と同じように質素な食事しかしていなかったのだ。料理もカード化してあるのだが、リオンがいたので出すに出せなかった。
「では、いただき――」
「たっだいまー!」
いざ料理を食べようとした矢先、店のドアが大きく開け放たれた。
元気よく声を上げたのは15歳くらいのエルフ少女だ。白い髪と黒い瞳、細く伸びた耳、しみひとつない白い肌と、【THE NEW GATE】の一般的なエルフの外見とは異なる。
「あれ? お客さん?」
エルフ少女はちょうど合掌しようとしているシンたちを見て首をかしげた。頭の後ろでまとめられた白髪が子犬の尻尾のように揺れる。
「あら、早かったのね」
「お母さん、今日ってお店は休みよね?」
「私の友達よ。久しぶりに会ったからみんなで食事をしようってことになったの。こっちの男の子がシン君。となりのエルフの子がティエラちゃんよ」
シュニーの紹介がない。どうやらすでに知り合いのようだ。
「この子は私たちの娘でカエデよ」
「カエデ・クロサワです。よろしくお願いします!」
はきはきとした口調で自己紹介をするカエデ。陽の気とでも言うべき何かが、全身からあふれているようだ。
「俺はシン。ホーリーさんたちとは親しくさせてもらってる」
「ティエラ・ルーセントよ。よろしくね」
元気いっぱいのカエデに、シンとティエラは自然と笑顔になる。
ホーリーとは違った意味で周囲を明るくするタイプのようだ。
「うむ、吾輩も聞いたことはないな」
それに、シャドゥとホーリーもうなずく。
何があったのかはわからないが、再び瘴魔が動き始めたというのはあまりいい予感はしない。念のため、王城内で何があったかも伝えておく。
「伯爵級か。その程度なら吾輩たちでもなんとかなるな」
「それ以上ならダンジョンかクエストでしか戦ったことはないが」
「今じゃ地形が変わってるし、原因はちょっとわからないわね。この世界で私たちが行ったことのあるダンジョンに、そういうところはなかったけど」
3人は顔を見合わせて眉をひそめた。
「まあ、知らないよりはましだと思うので、一応頭の隅にでも置いといてください。今はもっと優先しないといけないこともありますし」
考えたところで答えは出ないので、瘴魔のことはひとまず置いておく。
「とりあえず、武器と防具を強化するんで今使ってるやつを預からせてください」
「いいの?」
「今回は俺がいますけど、この先何があるかわかりません。強化しておいて損はないと思います。もちろん、本気でやるんで期待してもらっていいですよ」
今回はシンがいる。ギルドや領主の準備を無駄にしてしまうが、はなから犠牲者など出す気はない。
シンの意識はすでに、いずれまた起こるであろう『氾濫』に向いていた。
「ふ、ふむ……シンの本気か。頼もしいが、おそろしい武器が出来そうだ」
「武器を渡すのが怖いな」
ひびねことシャドゥが若干上ずった声で言う。なまじシンの実力を知っているだけに、愛用の武器にどんな魔改造を施されるのか、という不安が頭をよぎっていた。
「よろしくお願いするわね! シン君がいなくても私たちがしっかりここを守るんだから!」
額から汗を流す男性陣とは違い、ホーリーはやる気に満ちた顔で、さっそくシンにカード化したままの武器を渡す。
そこに、魔改造への不安は見えない。
「任せてください」
シャドゥとひびねこの分のカードも受け取って、一旦アイテムボックスにしまう。作業は夜になってからバルメルを抜け出し、月の祠を出現させてやるつもりだ。
「あ、そうだ。せっかくなんで俺の相棒を紹介しときます」
「相棒? シュにゃーさんなら知っているが」
「調教師のジョブを取るとモンスターをテイムできるじゃないですか。あれですよ」
相棒と聞いてシュニーを思い浮かべたひびねこに、シンはモンスターをテイムしたことを告げる。
「ほほう、シンの目に適うモンスターがそういるとは思えないが」
髭をいじりながら、ひびねこは興味深げに目を細めた。
「あまり強いモンスターっていなかったわよね」
「ふむ、このあたりならミストガルーダあたりか?」
興味津々なのはこちらも変わらないようで、ホーリーとシャドゥも心当たりを口にしている。
「今呼びますから少し待ってください」
そう言ってシンは、ユズハにパートナー同士の念話をつなぐ。
(こちらシン。ユズハ聞こえるか?)
(くぅ? なーにー?)
(ユズハを知り合いに紹介しようと思ってな。こっちに呼ぼうと思うんだが大丈夫か?)
(ちょっとまって……うん、シュニーお姉ちゃんもティエラお姉ちゃんも「また後で」だって)
少しの間は2人に確認を取っていたからのようだ。
「じゃあ、いきますよ。契約獣召喚!」
シンが呪文を唱えると、足元に複雑な模様が描かれた召喚陣が出現する。
本来なら、これでシンの足元にユズハが現れるはずだったのだが――。
「きゃあっ!!」
「くぅっ!?」
「は? ――むぐっ!」
短い悲鳴が聞こえたと思った矢先、顔を何か柔らかいものに包まれ、シンの視界が閉ざされた。
姿勢を崩し地面に倒れ込む。
するとシンが倒れた音以外にも、何かが地面に落ちた音が店内に響いた。
「いたた……いったい何が……って師匠!! 何やってるんですか!?」
ティエラが痛みに目を潤ませながら視線を上げると、そこにはシンの頭を胸元に抱き込んだシュニーの姿があった。
「……つい」
「ついじゃなくて、ああもう! いいからシンを放してください! 苦しそうですよ」
息ができないのだろう。シンはしきりにシュニーの背を叩いている。胸元から漏れてくる「むむ! むむー!」という声は、「ギブ! ギブー!」と聞こえなくもなかった。
「こ、これが、うわさに聞く、天国と、地獄か……」
シュニーの抱擁から解放されたシンが、ぜぃぜぃ言いながらつぶやく。ちょうど息を吐き出したタイミングだったので、冗談抜きで窒息するところだったのだ。
最初は天国、終わりは地獄である。実は、避けようと思えば避けられたのはシンだけの秘密だ。
「……えーと、これはどういうことかしら?」
シュニーたちの突然の出現に固まっていたシャドゥ、ホーリー、ひびねこのうち、もっとも早く再起動したのはホーリーだった。
「お、俺にも、さっぱり」
乱れた呼吸を整えながら、シンは答える。さすがに、ユズハと一緒にシュニーとティエラまで現れるとは思っていなかったのだ。
「それについては私が」
何事もなかったかのようにシュニーが説明を始める。
それによると、ユズハを中心にした召喚陣にシュニーたちが引っ張られたらしい。本来は対象となる相手だけを転移させるはずなのだが、なぜか2人もユズハと同じような存在として認識されたようだ。
「推測ですが、召喚陣の中にいたのが原因ではないでしょうか?」
「巻き込まれ召喚ってやつか」
「召喚陣は直径1メルはありましたから、私もティエラも召喚陣の中にいたのは間違いないはずです」
「……そういえば、カシミアがそんなことを言ってたような」
シンはギルド六天の召喚士兼調教師、カシミアの言葉を思い出す。
『パートナーを呼ぶときに他のパートナーが召喚陣の中にいると、時々一緒に現れることがあるんですよ。バグじゃないらしいんですけど』
内容はこんな感じだったはず、とシンは記憶が間違っていないことを確認する。
おそらく、もともと【THE NEW GATE】にあった仕様のひとつなのだろう。
「いやはや、シンといると退屈しないな」
「まったくだ」
我に返って、呆れたように言うひびねことシャドゥ。
「皆さま、お久しぶりです」
「シュにゃーさんも変わりないようでなにより」
「今度、シン君と再会した時のことを聞かせてね」
気軽に声を交わすシュニーたちを見て、シンはふと思った。
「なあ、シュニーって、ひびねこさんたちがこっちに来てるって知ってたのか?」
「はい、シンの友人ということで、いろいろとお話を聞かせてもらいました」
「それならもう少し早く言ってほしかったぜ。いや、ジラートのこととかあったからしょうがないのかもしれないけど」
自分以外にプレイヤーがいると知っていれば、シンの行動もまた違っていたはずだ。とはいえ、死期が迫るジラードに会いにいかないという選択肢はあの時なかったので、怒ろうと思わない。
「申し訳ありません。隠しておくつもりはなかったのですが、言い出すきっかけがつかめず……」
「まあまあ、男の子が細かいことを気にしちゃダメよ。それより、私としては早くそっちのエルフちゃんと子狐ちゃんを紹介してほしいわ」
シュニーの内心を知ってか知らずか、ホーリーはティエラたちの紹介を求めた。
「わかってますよ。シュニーはもう知ってるでしょうから割愛するとして、子狐がユズハで、エルフがティエラです」
「くぅ!」
「ティエラ・ルーセントと申します」
ユズハが元気よく鳴き、ティエラが丁寧に頭を下げる。
「で、次はこっちな。この額にひびが入ったような顔をしているのが猫又さん、俺たちはひびねこさんって呼んでる。そっちがハイエルフのホーリーさんで、その隣にいるのがハイロードのシャドゥさん」
「吾輩は猫又。皆からはひびねこと呼ばれている」
「ホーリーよ。よろしくね、ティエラちゃん」
「シャドゥだ。腹が空いたらうちに来い」
そこでティエラが自らの足元に視線を落とした。
「私のパートナーも紹介しますね。カゲロウ、出てきて」
呼びかけに応えて、子犬モードのカゲロウがティエラの影から現れる。
「この子がカゲロウです。今は小さいですけど、本来の姿はすごく大きいんですよ」
「ぐるっ!」
ティエラの紹介に合わせるように、カゲロウが一鳴きした。
「モンスター名はグルファジオな」
「え?」
「な!?」
「にゃんと!?」
補足とばかりにシンが告げた内容に、元プレイヤーの3人は驚愕の声を上げた。
上級プレイヤーでも油断禁物の神獣が、エルフの美少女に子犬のごとく抱かれているという珍妙な光景ではあるが、3人の【分析】はカゲロウの名前とレベルを間違えることなく表示していた。
「あらあらまあまあ、こんなかわいい子があのグルファジオなの?」
「はい、体の大きさをある程度自由に変えられるみたいなんです」
「ティエにゃさんは選定者なのかね?」
「いえ、シンたちと違って私は普通のエルフですけど」
「選定者でもないのに、グルファジオがテイムできたのか?」
「はいはいそこまで! 質問は後にしてください!」
詰め寄るホーリー、ひびねこ、シャドゥの前にシンが割って入る。放っておけばティエラが質問攻めにされ続けることは間違いない。
ホーリーだけ質問の内容がずれているのは、天然なのだろう。
「なんだか人数も増えましたし、せめて座って話をしましょう」
シンが言うと、シャドゥとホーリーがうなずいた。
「ならうちに来い。せっかくの再会だ、腕を振るうぞ」
「そうね。今日はお店は休みだから、少しくらいはお話できるわ。モンスターが来るまではまだ時間があるんでしょう?」
「……そういえばまだ時間はあったんでした。ここはお言葉に甘えさせてもらいます」
モンスターの群れがバルメルに来るまでに少なく見積もっても4、5日かかるのは間違いない。いつの間にか、リオンの焦りがシンにも移っていたようだ。
「冒険者の召集、軍の編成、物資の調整、対応するにも時間がかかるが、少なくとも今日は大丈夫だろう」
「さ、行きましょう」
シャドゥとホーリーに続いて、一行は喫茶店『B&W』に入った。こちらは『にゃんダーランド』と違い、落ち着いた雰囲気のある喫茶店だ。道路に面した壁は一面ガラス張りになっており、店内が見えるようになっていたが、今はカーテンが閉まっている。
『Closed』の札がかかっているドアを開けて店内に入ると、これまたシンのよく知る光景が広がっていた。白を基調とした清潔感のある店内は、ゲーム時代となんら変わらない。そのまま持ってきたと言われても、違和感がほとんどないくらいだ。
「……よくここまで再現しましたね」
「我ながらよくできたと思うわ。でも、ここまで元通りに作れたのはシン君、というか六天のみんなのおかげね」
「六天の?」
欠片も思い当たる節のないシンは、ホーリーの言葉に首を傾げるしかない。
「六天のレードが作った『黄金商会』があるだろう? シンと知り合いだったおかげでいろいろと融通してくれてな」
「吾輩たちだけでは、さすがにここまで再現はできなかっただろうな」
「『黄金商会』ですか……そういえば、他のやつらのサポートキャラクターは何してるんだ?」
シャドゥとひびねこの話を聞いて、今さらながら他の六天のサポートキャラクターのことを思い出したシンだった。
「シュニーは何か知ってるか?」
椅子に座りながらシュニーに尋ねる。
「レード様配下のベレットが以前と変わらず『黄金商会』を、クック様配下のケリトリとザジは、レストラン『時雨屋』を経営しています。あとは、カシミア様配下のビジーとカイン様配下のラスターが、ラシュガムにて整備と配下のモンスターの育成を行っています。私が知っているのはこれくらいですね。シンたちについての情報は、『黄金商会』を介して共有をする手筈になっていますから、ベレットなら全容を知っていると思います」
「……なあ、今ラシュガムって聞こえたんだが、あれも残ってるのか?」
話の途中ではあったが、シンは疑問を口に出してしまった。
「はい、もともと空に浮かんでいますから、地殻変動の影響も受けていません。それなりに広さもあるので、牧場を失ったビジーが飼育していたモンスターを避難させたんです。そのせいか、今では竜の巣と呼ばれていますが」
「おいおい……まあ、元ネタ的にはピッタリな呼び名だけどさ」
シュニーの言うラシュガムとは、六天のギルドハウスのひとつだ。
ゲーム時代、ギルドハウスの数に制限はなかった。なので、ある程度の規模のギルドハウスを複数持つギルドと、ひとつのギルドハウスを延々と拡張、強化し続けるギルドに分かれていた。
六天ではせっかくだからと6つの拠点を用意し、1人1ヶ所ずつ管理していこうという話になったのだ。
そしてラシュガムは『銀の召喚士』カシミアの担当だった6番目のギルドハウスで、正式名称を『六式天空城ラシュガム』という。仲間内では『キャッスル』などとも呼ばれていた、文字通りの空飛ぶ城である。
「飼育されているモンスターの半数が竜種ですから、巣というのもあながち間違いではありませんけどね」
「なるほどな。てか、そういうことなら俺の『スタジオ』もどこかにあるのか?」
『スタジオ』とは、シンの担当だった『一式怪工房デミエデン』のことである。
「探してはみましたが、まだ見つかっていません。ギルドハウスへは私たち単独では転移できませんし」
もともとギルドハウスはプレイヤー専用だ。プレイヤーと一緒ならサポートキャラクターも移動は可能だが、一般の転移ポイントと違ってサポートキャラクター単独では使用できない。
なにせゲームなら誰々をどこそこに配置、とメニューで操作するだけで移動できたからだ。
「『シュライン』なら、今は教会の総本山になっているはずだ」
「教会の?」
ひびねこの発言にシンの顔つきが変わる。依頼で知り合ったラシアや先日遭遇したゴーレムから逃げていた神官など、教会関係者に妙に縁のあるシンとしては、自分たちのギルドハウスのひとつが勝手に使われているというのは少々納得がいかない。
『シュライン』は通称で、正式名称は『四式樹林殿パルミラック』という。神殿タイプの4番目のギルドハウスで、『青の奇術士』たるカインの担当だった施設だ。
「ひびねこさん、設備はどこまで使われてるかわかりますか?」
「少なくとも中枢までは掌握されていないだろう。部屋のほとんどが封印されていると聞く」
「シュニーは何か知ってるか?」
「いえ、私は教会とは距離を置いていましたので……」
過去にいざこざがあったとは以前聞いたが、総本山に出向くこともなかったらしい。
「それなら私が知ってるわよ」
ひびねこやシュニーに代わって、ホーリーが小さく手を上げる。
「私がこの世界に来たときに一番近くにあったのが、教会総本山のある都市『ジグルス』なのよ。しばらくそこで生活してたから、シュラインにも行く機会があったの」
教会が行っている炊き出しの手伝いをした際に、知り合いの神官に誘われたらしい。
ホーリーがハイエルフという上位種族で人柄もよかったこともあり、勧誘も兼ねていろいろと説明してくれたようだ。
「私が聞いた話と、見学で見たことを合わせて考えると、建物自体が重要って認識みたいよ。門や広間みたいな、誰でも入れるような部分しか使えないみたいだったわね」
それが全部ではないでしょうけれど。そう付け加えて、ホーリーはシャドゥが用意したコーヒーに口をつける。
「天変地異ってやつの影響がどれくらいかわかりませんけど、ホーリーさんの話を聞く限り、シュラインの機能は完全ではないにしろ停止はしてないと思います」
「なぜ、と聞いても?」
「一部のプレイヤーの間じゃ有名でしたし、かまいませんよ。カインの作る建物ってコアを使って施設内の機能を維持してるんですけど、そのコアが破壊されるもしくは機能停止すると、建物が自壊するようになってるんです」
ひびねこの疑問に、とくに間を挟むこともなくシンは答えた。
カイン曰く、「現実ではそんな物は作れん、ゆえに【THE NEW GATE】で作ることにした!」そうである。リアル建築家の血が変な方向に騒いだらしい。
攻め込まれた際に敵もろともシュラインを崩壊させる、というのをやってみたかったようだ。結局、その機会が訪れることはなかったのだが。
「そんなわけで、建物が無事ってことはとりあえずコアは生きてますね。重要施設は六天メンバーかサポートキャラしか使えないはずですから、ロックがかかってると思います。たぶん、ホーリーさんの言うとおり、誰でも使える部分だけ使ってるんじゃないですかね……特殊なアイテムを売ってるとか、そういうことはないんですよね?」
もし全施設が使用可能ならば、この世界の常識に照らすと考えられないことがいろいろとできてしまう。
「ええ、私も少し調べてみたけど、とくにおかしなものは売ってなかったわ。この世界でも標準的な回復薬とか毒消しとかだったし」
「ならたぶん、この推測で間違いないと思います」
「そもそも、六天のギルドハウスをこの世界の住人がどうこうできるとも思えんがな」
料理を持ってきたシャドゥがぽろっとこぼした一言に、その場にいる全員が苦笑する。
偶然動かせてしまった、なんてことが起こる仕様でもないのだ。元プレイヤーでも難しいことが、この世界の住人にできるはずもない。
「お料理も来たことだし、食事にしましょうか」
「シュニーさんほどではないが、腕を振るわせてもらった」
テーブルに並べられた料理に、シンはつばを呑み込む。カルキアを出てから3日間、普通の旅人と同じように質素な食事しかしていなかったのだ。料理もカード化してあるのだが、リオンがいたので出すに出せなかった。
「では、いただき――」
「たっだいまー!」
いざ料理を食べようとした矢先、店のドアが大きく開け放たれた。
元気よく声を上げたのは15歳くらいのエルフ少女だ。白い髪と黒い瞳、細く伸びた耳、しみひとつない白い肌と、【THE NEW GATE】の一般的なエルフの外見とは異なる。
「あれ? お客さん?」
エルフ少女はちょうど合掌しようとしているシンたちを見て首をかしげた。頭の後ろでまとめられた白髪が子犬の尻尾のように揺れる。
「あら、早かったのね」
「お母さん、今日ってお店は休みよね?」
「私の友達よ。久しぶりに会ったからみんなで食事をしようってことになったの。こっちの男の子がシン君。となりのエルフの子がティエラちゃんよ」
シュニーの紹介がない。どうやらすでに知り合いのようだ。
「この子は私たちの娘でカエデよ」
「カエデ・クロサワです。よろしくお願いします!」
はきはきとした口調で自己紹介をするカエデ。陽の気とでも言うべき何かが、全身からあふれているようだ。
「俺はシン。ホーリーさんたちとは親しくさせてもらってる」
「ティエラ・ルーセントよ。よろしくね」
元気いっぱいのカエデに、シンとティエラは自然と笑顔になる。
ホーリーとは違った意味で周囲を明るくするタイプのようだ。
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