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八月・陽子の諸事情
キリスト教プロテスタント・洗礼
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「実は私ねカルヴァン派系のプロテスタントなのよ」
「プロテスタント?」
「そう、キリスト教」
「へえ、そうだったのか? 初めて聞いたぞ。今までそんなこと言わなかったじゃん」
「裕二とは宗教の話にならなかったし、敢えて私はキリスト者です、なんて言う必要もないし」
まあ確かにそうだ。宗教のことなんて普段考える機会もなかった。
「私は六歳の時に洗礼を受けたの」
「洗礼?」
「お清めのことよ。裕二のお家は仏教?」
「そうだよ。家は確か臨済宗だかなんだか、確か禅宗だ」
「私はね、母親のお家が仏教で、私のお父さんが敬虔なプロテスタントだったの。お母さんがお父さんと出会った時にはお母さんも宗教のことなんて、全く無関心だったけど、私が生まれてしばらく経ったらお母さんもキリスト教に改宗して、一緒に洗礼を受けたの」
詳しい事情はわからないが、陽子がキリスト教について語ったのは初めてだった。この時の陽子の顔は、なんていうかとても美しかった。穏やかな語り口調に私は子供の頃に母親に抱かれて胸のなかで、ゆらゆら揺れていた時のような心地よさを感じた。
「洗礼はラテン語で『サクラメント』っていってね、原罪と私が犯した罪を洗い清めていただける儀式」
「原罪って何?」
「プロテスタント?」
「そう、キリスト教」
「へえ、そうだったのか? 初めて聞いたぞ。今までそんなこと言わなかったじゃん」
「裕二とは宗教の話にならなかったし、敢えて私はキリスト者です、なんて言う必要もないし」
まあ確かにそうだ。宗教のことなんて普段考える機会もなかった。
「私は六歳の時に洗礼を受けたの」
「洗礼?」
「お清めのことよ。裕二のお家は仏教?」
「そうだよ。家は確か臨済宗だかなんだか、確か禅宗だ」
「私はね、母親のお家が仏教で、私のお父さんが敬虔なプロテスタントだったの。お母さんがお父さんと出会った時にはお母さんも宗教のことなんて、全く無関心だったけど、私が生まれてしばらく経ったらお母さんもキリスト教に改宗して、一緒に洗礼を受けたの」
詳しい事情はわからないが、陽子がキリスト教について語ったのは初めてだった。この時の陽子の顔は、なんていうかとても美しかった。穏やかな語り口調に私は子供の頃に母親に抱かれて胸のなかで、ゆらゆら揺れていた時のような心地よさを感じた。
「洗礼はラテン語で『サクラメント』っていってね、原罪と私が犯した罪を洗い清めていただける儀式」
「原罪って何?」
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