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第1章 追放された土の聖女
挿話10 ジャトランへ上陸した短剣使いのコーディ
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「お、おい! どうして、こんなに船が揺れるんだっ!?」
「知るかっ! 普段は、こんなに揺れたりしねーよっ! とりあえず、船が沈まないように祈ってろ!」
白金貨の為、闇ギルドの仲間を誘い、必要な物資を準備し、ついでに適当な女に金を払ってついて来てもらった。
女は荷物の中に隠れてもらい、ルーファスとかいう男が用意した船に乗り込んだのだが……これが王宮の紋章が描かれた船なんだよ。
やっぱり王族だったか……と思ったが、ジャトランまでの航海は保証されたものだと思っていたら、この大しけだ。
港を出た所では穏やかな海だったのに、やはりジャトランは人を拒む場所なのだろう。
「ちょっと、アンタ! 何なのよ、この揺れは! 金貨をくれるって言うからついて来たけど、こんなの聞いて無いわよっ!」
「わかってる! これはちょっとしたトラブルなんだ。というか、アンタは荷物の中に隠れて居ろって言っただろ!? 出て来るな!」
セシリアという女の代わりがジャトランから戻る船に居ないと怪しまれる。
そう思って連れて来たが、鬱陶しいな。
海の上で俺たち素人が出来る事なんて何も無いんだから、船室で寝てろ!
「おーい、コーディ。酒は持ってきていないのかー?」
「あんた、自分で持って来て勝手に呑んでいるいるじゃねーかっ! ジャトランへ行くのに酒なんて持って行かねぇよっ!」
「うっ……気持ち悪い。酔ったかも……」
「吐くなら船の外で吐けっ!」
まったく、どいつもこいつも。
まともなのは船長くらいか。
「お、おい! ちょっと来てくれ!」
「今度は何だよっ!」
「あ、あれを見てくれ……何だと思う?」
「グリフォン……か? いやいやいや、どうしてグリフォンが海に居るんだよっ!」
「大タコと戦っているな。くっ……化け物同士の戦いの余波が! 悪いが、予定とは違う場所へ船を着けさせてもらう。あんな奴らの戦いに巻き込まれたら、一発で船が壊れちまう!」
クソッ! 一体、どうなっているんだ!?
初っ端から無茶苦茶じゃねーかっ!
だが、海が荒れていたのは、あのグリフォンと大タコが戦っていたせいらしく、離れていくと徐々に海が穏やかになっていく。
「よし。ここなら、大丈夫だろう。あの岸まで小舟で荷物を運ぶぞ。それから、三日後の正午に当初の予定通り西側の海岸へ迎えに行く。それまで死なないようにな」
「その時間に遅れたら?」
「それは王子次第だな。もう一度船を出せというのか、諦めると言うのか……正午から一時間は待ってやるが、それ以上は無理だ。さっきみたいなのに巻き込まれたくは無いしな」
小舟で荷物を運び終えると、王宮の船が遠くへ離れていく。
まぁ海は大変だったが、三日過ごせば大金持ちだ!
絶対に生き伸びてやる!
「さてと。先ずは、何からすれば良いんだ?」
「ぐぅ……」
「って、おい! お前、マジか!? ここはジャトランだぞ!? 酒を飲むのは大目に見るとして、寝るとか有り得ないだろ!」
「うぃー……とりあえず、寝床の確保だな。周囲が見渡せる場所が良い。何と言っても、魔物が恐ろしい……すぴー」
「ダメだ、こいつは。おい、ねーちゃん。荷物を運ぶのを手伝ってくれ……って、アレ? もう荷物の振りはしなくて良いぞ? 起きて手伝ってくれ」
大声で呼び掛けるが、連れて来たはずの女が居ない。
こいつと同じく寝ているのか? と、思ったのだが、
「ちょっと待った! 荷物が少ないぞ!? ……食糧を入れた箱が少ない! というか、俺の財布も無い……って、あの女! やりやがったなぁぁぁっ!」
どうやら、あの女に財布を盗られ、食糧まで奪われてしまったようだ。
……お、俺の白金貨三十枚がぁぁぁっ!
「知るかっ! 普段は、こんなに揺れたりしねーよっ! とりあえず、船が沈まないように祈ってろ!」
白金貨の為、闇ギルドの仲間を誘い、必要な物資を準備し、ついでに適当な女に金を払ってついて来てもらった。
女は荷物の中に隠れてもらい、ルーファスとかいう男が用意した船に乗り込んだのだが……これが王宮の紋章が描かれた船なんだよ。
やっぱり王族だったか……と思ったが、ジャトランまでの航海は保証されたものだと思っていたら、この大しけだ。
港を出た所では穏やかな海だったのに、やはりジャトランは人を拒む場所なのだろう。
「ちょっと、アンタ! 何なのよ、この揺れは! 金貨をくれるって言うからついて来たけど、こんなの聞いて無いわよっ!」
「わかってる! これはちょっとしたトラブルなんだ。というか、アンタは荷物の中に隠れて居ろって言っただろ!? 出て来るな!」
セシリアという女の代わりがジャトランから戻る船に居ないと怪しまれる。
そう思って連れて来たが、鬱陶しいな。
海の上で俺たち素人が出来る事なんて何も無いんだから、船室で寝てろ!
「おーい、コーディ。酒は持ってきていないのかー?」
「あんた、自分で持って来て勝手に呑んでいるいるじゃねーかっ! ジャトランへ行くのに酒なんて持って行かねぇよっ!」
「うっ……気持ち悪い。酔ったかも……」
「吐くなら船の外で吐けっ!」
まったく、どいつもこいつも。
まともなのは船長くらいか。
「お、おい! ちょっと来てくれ!」
「今度は何だよっ!」
「あ、あれを見てくれ……何だと思う?」
「グリフォン……か? いやいやいや、どうしてグリフォンが海に居るんだよっ!」
「大タコと戦っているな。くっ……化け物同士の戦いの余波が! 悪いが、予定とは違う場所へ船を着けさせてもらう。あんな奴らの戦いに巻き込まれたら、一発で船が壊れちまう!」
クソッ! 一体、どうなっているんだ!?
初っ端から無茶苦茶じゃねーかっ!
だが、海が荒れていたのは、あのグリフォンと大タコが戦っていたせいらしく、離れていくと徐々に海が穏やかになっていく。
「よし。ここなら、大丈夫だろう。あの岸まで小舟で荷物を運ぶぞ。それから、三日後の正午に当初の予定通り西側の海岸へ迎えに行く。それまで死なないようにな」
「その時間に遅れたら?」
「それは王子次第だな。もう一度船を出せというのか、諦めると言うのか……正午から一時間は待ってやるが、それ以上は無理だ。さっきみたいなのに巻き込まれたくは無いしな」
小舟で荷物を運び終えると、王宮の船が遠くへ離れていく。
まぁ海は大変だったが、三日過ごせば大金持ちだ!
絶対に生き伸びてやる!
「さてと。先ずは、何からすれば良いんだ?」
「ぐぅ……」
「って、おい! お前、マジか!? ここはジャトランだぞ!? 酒を飲むのは大目に見るとして、寝るとか有り得ないだろ!」
「うぃー……とりあえず、寝床の確保だな。周囲が見渡せる場所が良い。何と言っても、魔物が恐ろしい……すぴー」
「ダメだ、こいつは。おい、ねーちゃん。荷物を運ぶのを手伝ってくれ……って、アレ? もう荷物の振りはしなくて良いぞ? 起きて手伝ってくれ」
大声で呼び掛けるが、連れて来たはずの女が居ない。
こいつと同じく寝ているのか? と、思ったのだが、
「ちょっと待った! 荷物が少ないぞ!? ……食糧を入れた箱が少ない! というか、俺の財布も無い……って、あの女! やりやがったなぁぁぁっ!」
どうやら、あの女に財布を盗られ、食糧まで奪われてしまったようだ。
……お、俺の白金貨三十枚がぁぁぁっ!
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