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第49話:一時帰国です
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翌朝、今日もグリーズン王国は快晴だ。でも、今頃クリスティル王国は、大変な事になっていると思うと、やはり胸が痛い。一刻も早く、民たちを助けないと!
「ジャンティーヌ様、お着替えを行いましょう」
いつもの様にメイドたちが着替えさせてくれた。ただ、この衣装は…
「これは、聖女の衣装じゃない!さすがにこの衣装は…」
「これはジルド陛下の指示でございます。どうかこちらの衣装でお願いします」
ジルド様ったら、一体何を考えているのかしら?でも、せっかく着替えさせていただいたのだから、仕方がない。この格好で行くしかないか…
そう思い部屋から出ると、ジルド様が待っていた。
「ジャンティーヌ、その姿、やっぱりよく似合っているよ。さあ、もうみんな集まっているよ。行こうか」
「ジルド様、私はやっぱりこの衣装は…」
「君は聖女なのだから、その衣装でいいのだよ。それよりも、今日は君の元婚約者に会うのだ。ジャクソン殿の話では、とんでもない愚かな人間らしいが、それでもかつて君が愛した人。油断は出来ない。いいかい?君はもう私と婚約したのだよ。お披露目もすんでいる。今更やっぱり婚約破棄したいだなんて事は、絶対に無理だからね」
「分かっておりますわ。私が愛しているのは、ジルド様だけです!」
「それならいいんだ。さあ行こうか」
私の唇にチュッと口づけをすると、私の手を握りそのまま歩き出したジルド様。ちょっと、人前でなんて事をしてくれるのよ。ここには使用人たちが沢山いるのよ!
恥ずかしくて俯くしかない。
「ジャンティーヌ、どうしたんだい?顔が赤いよ。もしかして、体調が悪いのかい?それじゃあ仕方がない。今日のクリスティル王国へ向かうのは、中止にしよう」
「私は別に体調など悪くはありませんわ。ジルド様が、人前であんな事をするから…」
「口づけくらいで赤くなっているのかい?可愛いな。ジャンティーヌ、こっちにおいで」
ギュッと私を抱きしめ、おでこに口づけをするジルド様。だから人前でなんて事をするのよ!それにしても今日のジルド様、スキンシップが激しすぎるわ。やっぱりクリスティル王国に行くのが不安なのかしら?私はもう、アーロン様の事なんて、これっぽっちも興味がないのだけれど…
「さあ、ここだ。既に魔法陣も描いてある様だよ」
急に真剣な顔になったジルド様。部屋に入ると、両親とお兄様、お義姉様が待っていた。そして大きな魔法陣が描かれている。
「ジャンティーヌ、その姿、よく似合っているよ。ジルド陛下、あなた様まで付き合わせてしまい、申し訳ございません。それでは、参りましょう」
皆で魔法陣へと入る。どうやら我が国からも、数名の家臣と護衛たちを連れて行く様だ。そりゃそうよね、なんたって国王陛下が国を出るのだから。さすがに護衛たち無しという訳にはいかないわよね。
そんな事を考えているうちに、一気に景色が変わった。
「ジャンティーヌ殿だ、本物だ!」
「ジャンティーヌ様、よく来てくださった。お隣にいらっしゃるのは、グリーズン王国の国王陛下ですか?近々ご結婚されると伺っております。誠におめでとうございます。ご自分の国もまだまだ大変な時に、我が国の為にお越しいただき、本当にありがとうございます」
「皆様、お元気そうで何よりですわ」
そこにはたくさんの貴族たちが集まっていた。
「ジャンティーヌ、話しをしている暇はない。まずはお前の力で、この国の魔物たちを退治してくれ」
「ええ、分かっていますわ。それで私はどうすればいいのですか?」
「空に向け魔力を放出すればいいだけだ。お前がグリーズン王国で、魔女を呼び出した時みたいにな」
ああ、なるほど、あんな感じでいいのね。
どうやらここは、地下の避難所の様だ。早速地上に出る。すると
「これがあのクリスティル王国ですの…なんて酷い事に…」
まるで少し前のグリーズン王国の様だ。街は破壊され、廃墟化し、空は分厚い雲で覆われている。早速空に向かって魔力を一気に放出する。すると、どんどん雲が晴れていく。
「おぉぉぉぉ、さすが聖女、ジャンティーヌ殿だ。これが彼女の力なんだな…」
周りで見守っていた貴族たちが、歓喜の声を上げた。さらに光が差し込むと同時に、魔物たちが一気に逃げていく。
すると、どこからともなく現れた民たちからも
「おお、もしかしてご貴族の方たちが話されていた、聖女様か?聖女様が、我が国を救ってくれたぞ」
「聖女様!!ありがとうございます」
一気に歓喜の声が上がった。
「実は民たちにも、貴族たちから聖女でもあるジャンティーヌ殿の存在を伝えたのです。“もうすぐこの国を救って下さる聖女様が帰って来るから、どうかもう少しだけ耐えて欲しい”とね」
なるほど。そうだったのね。それにしても、皆ボロボロじゃない。けが人も多数いるみたいだし。
「さあ、魔物はいなくなりました。すぐに結界の柱を作りに行きましょう。それから、ケガ人の手当てもしないと!ケガ人の方、前に出て下さい。一気に治しますわ」
魔物が居なくなって、めでたしめでたしではない。とにかく怪我をしている人たちを、助けないと!
「ジャンティーヌ様、お着替えを行いましょう」
いつもの様にメイドたちが着替えさせてくれた。ただ、この衣装は…
「これは、聖女の衣装じゃない!さすがにこの衣装は…」
「これはジルド陛下の指示でございます。どうかこちらの衣装でお願いします」
ジルド様ったら、一体何を考えているのかしら?でも、せっかく着替えさせていただいたのだから、仕方がない。この格好で行くしかないか…
そう思い部屋から出ると、ジルド様が待っていた。
「ジャンティーヌ、その姿、やっぱりよく似合っているよ。さあ、もうみんな集まっているよ。行こうか」
「ジルド様、私はやっぱりこの衣装は…」
「君は聖女なのだから、その衣装でいいのだよ。それよりも、今日は君の元婚約者に会うのだ。ジャクソン殿の話では、とんでもない愚かな人間らしいが、それでもかつて君が愛した人。油断は出来ない。いいかい?君はもう私と婚約したのだよ。お披露目もすんでいる。今更やっぱり婚約破棄したいだなんて事は、絶対に無理だからね」
「分かっておりますわ。私が愛しているのは、ジルド様だけです!」
「それならいいんだ。さあ行こうか」
私の唇にチュッと口づけをすると、私の手を握りそのまま歩き出したジルド様。ちょっと、人前でなんて事をしてくれるのよ。ここには使用人たちが沢山いるのよ!
恥ずかしくて俯くしかない。
「ジャンティーヌ、どうしたんだい?顔が赤いよ。もしかして、体調が悪いのかい?それじゃあ仕方がない。今日のクリスティル王国へ向かうのは、中止にしよう」
「私は別に体調など悪くはありませんわ。ジルド様が、人前であんな事をするから…」
「口づけくらいで赤くなっているのかい?可愛いな。ジャンティーヌ、こっちにおいで」
ギュッと私を抱きしめ、おでこに口づけをするジルド様。だから人前でなんて事をするのよ!それにしても今日のジルド様、スキンシップが激しすぎるわ。やっぱりクリスティル王国に行くのが不安なのかしら?私はもう、アーロン様の事なんて、これっぽっちも興味がないのだけれど…
「さあ、ここだ。既に魔法陣も描いてある様だよ」
急に真剣な顔になったジルド様。部屋に入ると、両親とお兄様、お義姉様が待っていた。そして大きな魔法陣が描かれている。
「ジャンティーヌ、その姿、よく似合っているよ。ジルド陛下、あなた様まで付き合わせてしまい、申し訳ございません。それでは、参りましょう」
皆で魔法陣へと入る。どうやら我が国からも、数名の家臣と護衛たちを連れて行く様だ。そりゃそうよね、なんたって国王陛下が国を出るのだから。さすがに護衛たち無しという訳にはいかないわよね。
そんな事を考えているうちに、一気に景色が変わった。
「ジャンティーヌ殿だ、本物だ!」
「ジャンティーヌ様、よく来てくださった。お隣にいらっしゃるのは、グリーズン王国の国王陛下ですか?近々ご結婚されると伺っております。誠におめでとうございます。ご自分の国もまだまだ大変な時に、我が国の為にお越しいただき、本当にありがとうございます」
「皆様、お元気そうで何よりですわ」
そこにはたくさんの貴族たちが集まっていた。
「ジャンティーヌ、話しをしている暇はない。まずはお前の力で、この国の魔物たちを退治してくれ」
「ええ、分かっていますわ。それで私はどうすればいいのですか?」
「空に向け魔力を放出すればいいだけだ。お前がグリーズン王国で、魔女を呼び出した時みたいにな」
ああ、なるほど、あんな感じでいいのね。
どうやらここは、地下の避難所の様だ。早速地上に出る。すると
「これがあのクリスティル王国ですの…なんて酷い事に…」
まるで少し前のグリーズン王国の様だ。街は破壊され、廃墟化し、空は分厚い雲で覆われている。早速空に向かって魔力を一気に放出する。すると、どんどん雲が晴れていく。
「おぉぉぉぉ、さすが聖女、ジャンティーヌ殿だ。これが彼女の力なんだな…」
周りで見守っていた貴族たちが、歓喜の声を上げた。さらに光が差し込むと同時に、魔物たちが一気に逃げていく。
すると、どこからともなく現れた民たちからも
「おお、もしかしてご貴族の方たちが話されていた、聖女様か?聖女様が、我が国を救ってくれたぞ」
「聖女様!!ありがとうございます」
一気に歓喜の声が上がった。
「実は民たちにも、貴族たちから聖女でもあるジャンティーヌ殿の存在を伝えたのです。“もうすぐこの国を救って下さる聖女様が帰って来るから、どうかもう少しだけ耐えて欲しい”とね」
なるほど。そうだったのね。それにしても、皆ボロボロじゃない。けが人も多数いるみたいだし。
「さあ、魔物はいなくなりました。すぐに結界の柱を作りに行きましょう。それから、ケガ人の手当てもしないと!ケガ人の方、前に出て下さい。一気に治しますわ」
魔物が居なくなって、めでたしめでたしではない。とにかく怪我をしている人たちを、助けないと!
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