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第36話:やっと落ち着いたと思ったのに
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ヒューゴ様と話をして以降、彼が私に話しかけてくることは無くなった。ただ、相変わらずお妃候補に名乗りを上げている令嬢たちに対しても、今まで通りあしらっている。
もしかしたら、彼女たちをお妃候補にするつもりはないのかしら?でもきっと、ヒューゴ様なりの考えがあるのだろう、今はそう思っている。
何はともあれ、私にもやっと落ち着いた生活が戻ってきた。今日もいつもの様に、皆でお弁当を囲っている。
「そういえば来月はマリアの誕生日よね。盛大に誕生日パーティーを開くのでしょう?」
「ええ、もちろんよ。皆も来てね」
「行くに決まっているじゃない。そうそう、私ね、婚約する事に決まったの」
嬉しそうに話をするのは、リリアだ。きっとアドルフ様だろう。
「いつの間に殿方を見つけたのよ。それで、相手は誰なの?」
ものすごい勢いで食いついたのは、ミリアナだ。
「実はね、相手は…ジャック様なの!」
「えっ?ジャック様?アドルフ様じゃないの?」
「アドルフ様?マリア、あなたは何を言っているの?実は私たち、ずっと一緒に過ごしているうちに、意気投合したのよ。ね、ジャック様」
ふとジャック様の方を見ると、少し恥ずかしそうに
「ああ、そうなんだ。来週には正式に発表しようと思っていたんだが。皆には先に話したくて…」
そう言っていた。
そうか、今回私が行動を変えた事で、もしかしたら未来も変わってしまったのかもしれない。でも、2人の幸せそうな顔を見たら、なんだかこういう未来もいいなと思った。
「もう、いつの間に2人は出来ていたのよ。本当に油断も隙もないのだから」
そう言って怒っているミリアナ。
「ちょっとミリアナ、あなただって、ジン様といい感じの事、私知っているんだからね」
えっ?何ですと?ミリアナとジン様がいい感じですって?
「まあ、私たちも近いうち婚約を結ぼうと思っているのだけれどね…」
頬を赤らめながら、ミリアナがチラリとジン様の方を見た。ジン様もまんざらでもないと言った顔をしている。確かミリアナは1度目の生の時、5歳年上の男性と結婚していたはず。
ここも未来が変わってしまったのね…
「もう、2人ともいつの間にそんな話になっているのよ。全然知らなかったわ。でも、おめでとう」
「「ありがとう、マリア。次はあなたの番ね」」
そう言って笑った2人。もう、人をからかって。でも、私もライアンと…
チラリとライアンの方を見ると、目があってしまった。とっさに目をそらしてしまう。最近では随分と普通にライアンと話しが出来る様になってきたが、やっぱりまだ意識してしまうのよね。
ちなみにライアンはまだ誰とも婚約をしていないらしい。おば様の話しでは、たくさん来ていた婚約申込状も全て断ったとの事。その話を聞いて、ひとまずほっとした。
私も2人に続けるように頑張らないと!
皆で楽しく昼食を食べた後は、教室に戻ってきた。ふとヒューゴ様の姿が目に入った。何か考え事をしている様だ。
「おい、マリア。王太子殿下を見つめている様だが、殿下に興味があるのか?そういえば最近、殿下はお前にかまってこなくなったし、何かあったんじゃないのか?」
急に話しかけてきたのは、ライアンだ。
「べ…別に何もないわよ。それより、急に話しかけないで。びっくりするじゃない」
「何だよ、別にそんなに驚かなくていいだろう。お前最近なんだか変だぞ。一体どうしたんだよ」
「別にどうもしないわよ。さあ、もう授業が始まるわよ」
急いで席に付く。不満そうな顔のライアンも、席に付いていた。あ~、私、またやってしまったわ。もっとライアンに対して、素直に接したいのに…どうして私はいつもこうなのかしら…
素直になれない自分が情けなくて、結局授業に身が入らないまま放課後を迎えた。
「マリア、帰りましょう」
私の元にやって来たのは、リリアとミリアナだ。
「ごめんなさい、今日はちょっと図書館に寄って行こうと思って」
「図書館に?それじゃあ私たちも付いていくわ」
「えっ?大丈夫よ、1人で。それじゃあ、また明日ね」
急いで2人と別れて図書館に向かう。そう、私は恋愛について色々とアドバイスが書いてある本を借りたいのだ。どうすればもっとライアンに近づけるのか、そしてどうすればライアンに好きになってもらえるのかを知りたいと思っている。
さすがに親友2人に、そんな本を読もうとしているなんて知られたくないものね。
図書館に向かって歩いている時だった。
「マリア様、あの…少し宜しいでしょうか?」
話しかけてきたのは、クラシエ様だ。あの事件以来、一切私に近づいてこなかったクラシエ様。一体どうしたのかしら?
「ええ、構いませんわよ。一体どうされましたか?」
「あの、あの時はありがとうございました。私、あんなにも酷い事をしたのに、あなた様は許してくださったでしょう。あなた様の優しさに私、本当に感動したのです。それで、とても美味しいお茶が手に入ったので、一緒に飲みたいと思って」
「まあ、私の為にお茶を。それは嬉しいわ、是非一緒に飲みましょう」
1度目の生の時は、本当に酷い事をしてしまったクラシエ様。でも、まさか2度目の生でこんな風にお茶に誘ってくださるなんて。
ヒューゴ様の事も無事解決したし、せっかくだから彼女とも仲良くなれたら嬉しい。
「それでしたら、早速参りましょう。さあ、こっちです」
嬉しそうに私の手を引っ張るクラシエ様に、ついて行ったのでした。
もしかしたら、彼女たちをお妃候補にするつもりはないのかしら?でもきっと、ヒューゴ様なりの考えがあるのだろう、今はそう思っている。
何はともあれ、私にもやっと落ち着いた生活が戻ってきた。今日もいつもの様に、皆でお弁当を囲っている。
「そういえば来月はマリアの誕生日よね。盛大に誕生日パーティーを開くのでしょう?」
「ええ、もちろんよ。皆も来てね」
「行くに決まっているじゃない。そうそう、私ね、婚約する事に決まったの」
嬉しそうに話をするのは、リリアだ。きっとアドルフ様だろう。
「いつの間に殿方を見つけたのよ。それで、相手は誰なの?」
ものすごい勢いで食いついたのは、ミリアナだ。
「実はね、相手は…ジャック様なの!」
「えっ?ジャック様?アドルフ様じゃないの?」
「アドルフ様?マリア、あなたは何を言っているの?実は私たち、ずっと一緒に過ごしているうちに、意気投合したのよ。ね、ジャック様」
ふとジャック様の方を見ると、少し恥ずかしそうに
「ああ、そうなんだ。来週には正式に発表しようと思っていたんだが。皆には先に話したくて…」
そう言っていた。
そうか、今回私が行動を変えた事で、もしかしたら未来も変わってしまったのかもしれない。でも、2人の幸せそうな顔を見たら、なんだかこういう未来もいいなと思った。
「もう、いつの間に2人は出来ていたのよ。本当に油断も隙もないのだから」
そう言って怒っているミリアナ。
「ちょっとミリアナ、あなただって、ジン様といい感じの事、私知っているんだからね」
えっ?何ですと?ミリアナとジン様がいい感じですって?
「まあ、私たちも近いうち婚約を結ぼうと思っているのだけれどね…」
頬を赤らめながら、ミリアナがチラリとジン様の方を見た。ジン様もまんざらでもないと言った顔をしている。確かミリアナは1度目の生の時、5歳年上の男性と結婚していたはず。
ここも未来が変わってしまったのね…
「もう、2人ともいつの間にそんな話になっているのよ。全然知らなかったわ。でも、おめでとう」
「「ありがとう、マリア。次はあなたの番ね」」
そう言って笑った2人。もう、人をからかって。でも、私もライアンと…
チラリとライアンの方を見ると、目があってしまった。とっさに目をそらしてしまう。最近では随分と普通にライアンと話しが出来る様になってきたが、やっぱりまだ意識してしまうのよね。
ちなみにライアンはまだ誰とも婚約をしていないらしい。おば様の話しでは、たくさん来ていた婚約申込状も全て断ったとの事。その話を聞いて、ひとまずほっとした。
私も2人に続けるように頑張らないと!
皆で楽しく昼食を食べた後は、教室に戻ってきた。ふとヒューゴ様の姿が目に入った。何か考え事をしている様だ。
「おい、マリア。王太子殿下を見つめている様だが、殿下に興味があるのか?そういえば最近、殿下はお前にかまってこなくなったし、何かあったんじゃないのか?」
急に話しかけてきたのは、ライアンだ。
「べ…別に何もないわよ。それより、急に話しかけないで。びっくりするじゃない」
「何だよ、別にそんなに驚かなくていいだろう。お前最近なんだか変だぞ。一体どうしたんだよ」
「別にどうもしないわよ。さあ、もう授業が始まるわよ」
急いで席に付く。不満そうな顔のライアンも、席に付いていた。あ~、私、またやってしまったわ。もっとライアンに対して、素直に接したいのに…どうして私はいつもこうなのかしら…
素直になれない自分が情けなくて、結局授業に身が入らないまま放課後を迎えた。
「マリア、帰りましょう」
私の元にやって来たのは、リリアとミリアナだ。
「ごめんなさい、今日はちょっと図書館に寄って行こうと思って」
「図書館に?それじゃあ私たちも付いていくわ」
「えっ?大丈夫よ、1人で。それじゃあ、また明日ね」
急いで2人と別れて図書館に向かう。そう、私は恋愛について色々とアドバイスが書いてある本を借りたいのだ。どうすればもっとライアンに近づけるのか、そしてどうすればライアンに好きになってもらえるのかを知りたいと思っている。
さすがに親友2人に、そんな本を読もうとしているなんて知られたくないものね。
図書館に向かって歩いている時だった。
「マリア様、あの…少し宜しいでしょうか?」
話しかけてきたのは、クラシエ様だ。あの事件以来、一切私に近づいてこなかったクラシエ様。一体どうしたのかしら?
「ええ、構いませんわよ。一体どうされましたか?」
「あの、あの時はありがとうございました。私、あんなにも酷い事をしたのに、あなた様は許してくださったでしょう。あなた様の優しさに私、本当に感動したのです。それで、とても美味しいお茶が手に入ったので、一緒に飲みたいと思って」
「まあ、私の為にお茶を。それは嬉しいわ、是非一緒に飲みましょう」
1度目の生の時は、本当に酷い事をしてしまったクラシエ様。でも、まさか2度目の生でこんな風にお茶に誘ってくださるなんて。
ヒューゴ様の事も無事解決したし、せっかくだから彼女とも仲良くなれたら嬉しい。
「それでしたら、早速参りましょう。さあ、こっちです」
嬉しそうに私の手を引っ張るクラシエ様に、ついて行ったのでした。
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