『君のすべてを愛しているよ』と微笑む完璧な旦那様との、幸せな結婚生活。ただ一つ——わたしたちの『思い出』だけが、どうしても噛み合わないのです
平民同然の暮らしをしていたわたし――ミアを、「ひと目で恋に落ちた」と言って娶ってくださったのは、国でも評判の、優しい若き伯爵、ジュリアン様だった。
彼はわたしのどんな些細な言葉も、笑い方も、ぜんぶ覚えていて、蕩けるように甘やかしてくれる。夏の離れで過ごす日々は、夢のように幸せ。
――ただ一つ。夏の夜、庭の鈴虫の音に耳を澄ませると、その音に混じって、聞こえてくるのです。
数年前の、まだ彼と出会う前の、"昔のわたしの声"が。笑い声も、寝言も、名前を呼ぶ声さえ。
ねえ、ジュリアン様。あなたは、わたしの、何を、集めているの。
※二人にとっては、最初から最後までハッピーエンドです。
※ほの暗いホラー風味(人間の狂気・執着)がありますが、ヒロインは絶対に傷つかず、溺愛されて幸せなままの物語です。幽霊やお化けは出ません。
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