キンモクセイの咲く頃には。

中学2年生の「僕」は、亡くなった祖父が最後に遺した“ひとこと”に引っかかっていた。

――「庭のキンモクセイの下には、秘密があるんだよ」

秋、香りたつキンモクセイの木の下。
掘っても何も出てこなかったあの日のことが、ずっと胸に残っている。
祖父の最期の言葉は、冗談だったのか、それとも――。

小学校の卒業式に“タイムカプセル”を埋めた僕は、
もう一度、木の下を掘り返す決意をする。
そして見つけたのは、“死体”ではなく、
祖父と祖母、ふたりだけのやさしい秘密だった。

季節の花に託された、静かで小さな家族のミステリー。
香りの向こうに残されたものは、あたたかな記憶と、ほんの少しの涙。
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