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12戦目-C、4月、五十嵐桜太編

桜太のマイブームとゲーマー特有のハイスコア狙い

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 五十嵐桜太はヤンチャな風体だが、音楽系ながらも実は名家出身だ。

 だが、いくら名門でも両親も両祖父母も桜太に勝手に決めた婚約者を押し付けたりはしない。

 名家の令嬢との出会いはかなり提供したが。

 はっきり言えば、不意打ちのお見合いである。

 高3の身空で。

 今日も一流ホテル「クリスタル東京」のレストランで母親と食事に出掛けたら、母親の知り合いが娘連れで来ており、一緒に会食する事となった。

 母親の演技は見え透いていたが、前にブルーフィールド内で負傷して治癒ナノマシン注射器が切れてて現実の世界で集中治療室送りになった事がある。

 政府機関が上手くバイク事故で処理してくれたが、親を心配させたお詫びも兼ねて温和に会食して先方が車に乗るのを見送ってから、運転手付きの高級車でホテルから帰っていた訳だが、そこでブルーフィールドに巻き込まれた。

「チッ、発生前にブルーフィールドの外に出られると思ったんだがな~」

 予測レーダーで事前にブルーフィールドの発生を知っていた桜太はバトルスーツを纏って停車中の車を出た。

「戦術ランクCのブルーフィールドなんてやる気も出ねえが、最近はこれに乗れるから悪くないかな」

 早々にエアバイクを出して桜太は跨ると発進した。

 加速する前に、





『敵陣営の送信装置破壊』





 早っ! まだ1分経ってねえだろ。

「誰か知らねえがやるじゃん。けどフィールドボスを倒すのはオレが支援物資ボックスでアイテムをゲットしてからにして欲しいぜ」

 そう笑いながら桜太は搭載したガトリングガンで周囲の雑魚ロボを蹴散らしたのだった。





 ◇





 葵はホテルの玄関を飛び出てエアバイクに乗り、速攻でホテルの上空に浮遊していた送信装置をガトリングガンでハチの巣にしていた。

 その後はレイ手榴弾投下ボックスの出番だ。





 レイ手榴弾投下ボックス。

 耐久値50。NE消費、レイ手榴弾1個投下ごとに1。搭載レイ手榴弾数、最大1グロス(144個)まで。

 エアバイク、ジェットウイングに搭載可能。戦闘員用のレイ手榴弾であれば複数の種類を搭載出来る。投下数、1秒間に2個まで。





 飛行士型バトルスーツ-30スカイレディー。女性戦闘員用。パラシュート完備タイプ。

 耐久値65。ブルーフィールド展開時に着用するとブルーフィールド解除時、着用地点と現在地のどちらかを選択出来る。別のバトルスーツから着替えた場合、選択を引き継ぐ。65以上のダメージを受けると破損して消滅する。上空に投げ出されると地表から一定の距離でパラシュートが自動で展開する。パラシュートの耐久値は80。





 飛行士用ヘルメット-Bナイト。

 耐久値200。NE消費、5分(補正+2分)につき1。使用制限なし。

 ジェットウイング、エアバイクの操縦に補正が掛かる。装備者のレベルに応じて半径600メートル範囲の味方、味方施設、敵、フィールドボス、敵施設の位置を特定する。範囲内のヘルメット着用、コクピット搭乗の味方に情報を提供出来る。遠隔でAIに指示が出せる。





 これらを駆使して地上のムシやボックスを潰しまくっていた。

 戦術ランクCの敵機だ。威力300のレイ手榴弾に巻き込まれれば一撃だ。

 そしてこの戦術ランクCのブルーフィールドの広さは、縦横10キロ前後だった。

 10キロなんて原付でも余裕で移動出来る。

 エアバイクなら一瞬だ。

 つまり葵はエアバイクに乗りながら敵機の掃討を始めた。

 ブルーフィールドが都会を覆ってるので、一流ホテル、駅、線路、ビル、激安のディスカウントストア、カラオケ店等々があり、屋内にもロボが居るが、窓からガトリングガンで撃ち抜いてると、

「よう、葵」

 横に空中停止したエアバイクからそう声が掛かった。

 桜太だ。エロ男と呼んだ事もあったが葵はもう許してたので、

「どうも、五十嵐さん」

「桜太でいいぜ」

「五十嵐の方がカッコ良くない?」

「まあ、葵がそう言うならそれでもいいけど。ってか、どうよ?」

 桜太がエアバイクを自慢してくる。

「あれ、アナコンダじゃないの?」

「ああ、キングコブラさ。武器の搭載スペースは4なんだぜ」

「なら2連装レイカノン砲も載せられるわね。そうだ、3連装に統合しちゃダメよ。エアバイクに装備出来なくなるから、20.5でも」

「へ~、情報ありがとよ。ってか、送信装置を破壊したのって葵か?」

「ええ、私よ」

「10分後に出る支援物資ボックスは当然取るよな?」

「ええ、フィールドボスは最後に残して全機を撃破する予定だから」

「何だ、それ?」

「戦術ランクCのパーフェクトのボーナスアイテムが何か興味があるから」

「ん? パーフェクトって1人でやるんじゃないのか?」

「試したの?」

「いいや」

「なら試さないとね」

 ゲーマーの葵がそう笑った。

「そうだな。ちょうど、エアバイク戦の練習もしておきたかったし。じゃあ、フィールドカウント、ラスト5分にでも合流しようぜ」

「了解」

 そう言って2人はエアバイクを発進させたのだった。





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