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グリフォンを失う、入浴シーンは割愛

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 奴隷店を出ると同時に、

「どんな服が着たい、アシュ?」

「部族の戦闘服に決まってるだろ」

「いいわね。買いに行きましょう」

 暇だったのでオレは防具屋に出向いた。





 レオタード風の前側ファスナーの真っ赤な格闘服を購入してアシュに着せる。

「うん、可愛いわよ」

「馬鹿にしてるのか?」

「褒めたのに。何が食べたい?」

「肉」

 という訳で、





 今度は屋台が並ぶ場所に移動した。

 オレが、

「どれが一番美味しい屋台か当てて見て」

「そんなのあの屋台だろ」

 という訳で、老婆が切り盛りしてる鳥を焼いてタレを塗って売ってる屋台の前に移動して、

「どれだけ食べれるの?」

「丸焼きを20匹は余裕だな」

「じゃあ、お婆さん、丸焼きを25匹ちょうだい」

「お金はあるのよね、お嬢さん? 金貨じゃなくて銀貨でよ」

 屋台のお婆さんがオレを見て尋ね、

「ええ、あるわよ」

 丸焼きは1匹、60銀貨だったので、

 オレは銀貨で1500枚(500枚入りの革袋3袋で)支払い、焼き立ての丸焼き25匹を【アイテムボックス】に入れて、





 食べる為に宿屋で部屋を取ろうとした訳だが、





 ◇





 玄関を潜る際に出てきた兵士5人とすれ違った。

「いらっしゃいませ。二部屋ですか?」

 カウンターに移動すると宿屋の店主がアシュの奴隷の首輪をチラ見して尋ねてきたので、

「いえ、一部屋で。護衛も兼ねてるから」

「畏まりました」

「さっきの兵士の人達はどうされたんですか?」

 と質問した。

 どうだ。

 オレだって敬語ぐらいは使えるんだぜ。

 偉いだろ。

 フフン。
 
「右顔に包帯を巻いた女の人を探しるそうです。ミント商国から流れてきた犯罪者だそうですよ」

 へぇ~。

 オレ以外にも追われてる犯罪者が居るんだぁ~。

 オレは素直にそう思って、気軽に、

「何をしたんです?」

「町を焼いたそうですよ」

 そう宿屋の主人が言った時、リアクションがでかいオレが噴き出さなかったのは奇跡だった。

 それともこの身体がポーカーフェイスを獲得してるのか?

 ってか、どうしてオレだとバレた?

 変身魔法がバレた訳じゃないだろ?

 オレの変身魔法は完璧だ。

 もしバレてたら発着場から尾行が付いたはずだからな。

 だとしたら考えられる要因は何だ?

 ・・・あっ、もしかしてグリフォンか?

 空を飛ぶ騎獣は希少だからな。

 紛失対策で何か識別出来る魔法の仕掛けがされててもおかしくはない。

 つまり、グリフォンを押収された?

 しまったな。

 移動手段あしを失ったぞ。

 とコンマ1秒で思考した後、

「へぇ~、怖いですね」

「全くです」

「宿屋に来たらすぐに通報して下さいね」

「もちろんですよ」

「では、お部屋にご案内しますね」

 そんな訳で部屋に入って、





 部屋に入って、すぐに飯にした。

 甘タレ系で鳥の丸焼きは結構美味かった。

 そして、さすがは獣人。

 アシュは本当に鳥の丸焼き20人分を食べ切ったのだった。

 オレは2匹で満腹だったが。

「ふぅ~、喰った喰ったぁ~」

 アシュが幸せそうに腹を撫でる。

「確認だけど、本当に料理は出来るのよね?」

「肉を焼くくらいならな」

「シチューは?」

「水を入れて野菜を煮込むだけだろ? 余裕だぜ」

 おいおい。

 それは料理が出来るとは言わないだろ。

「どうして奴隷になったの?」

「うるせえな」

「奴隷狩りに村を焼かれた?」

「そんなんじゃねえよ」

「なら、何?」

「任された輸送隊の損失の責任を取らされたんだよ」

「仲間にハメられた?」

「かもな。結構、嫌われてたから」

「男よりも強くて?」

「分かるのか?」

「そりゃね」

 戦闘力220は突出してるからな。

「お風呂に最後に入ったのはいつ?」

「あれ、臭いか? この街に到着と同時に水をぶっかけられたぞ、ちゃんと」

「それはお風呂に入ったとは言わないでしょ」

「なら、売られる前だから20日前?」

 と言われた瞬間、

「一緒にお風呂に入りましょうか。洗って上げるわ」

「いや、いいって」

「ダメよ。ほら、こっちょ」

 オレはアシュを浴室へと連れ込んだのだった。





 そんな訳でお風呂タイムとなった。

 女の身体の扱いにはもう慣れてる。

 だって、こちとら80年間、修業の空間に居たんだぞ?

 興味津々で寝る前に、最初の10年くらいは自分の身体を触りまくってたからな。

 気持ち良くなる場所も分かってる。

 なので、入浴シーンは割愛するが、





 出てきたら、

「信じられないから、ご主人様だけは」

 テクニシャンのオレに隅々まで身体を洗われたアシュは赤面して上目遣いでピンクブロンド姿のオレに熱視線を送っていた。

 実に女っぽい。

 尻尾も振ってる。

 犬は分かりやすいから好きだな。





 就寝は同じベッドだ。

「絶対に変な事するなよ、ご主人様」

「しないわよ。ほら、いらっしゃい、アシュ」

 こうして一緒のベッドで眠ったのだった。





 別にエロイ事はしない。

 する訳ないだろ。





 宿屋が兵士に囲まれてるのに。





 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇





 登場人物。





 屋台の老婆・・・焼いて秘伝の甘タレを塗った鳥肉を売る。通常は切り売り。

 宿屋の店主・・・家族経営の宿屋。
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