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賢者ガウニック、竜かごキック
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この世界には偉大な賢者が居る。
その名もガウニック。
世界中から尊敬されて偉大な賢者だ。
その男が地面に這い蹲いながら、
「・・・命だけは、ヒグ、助けて下しゃい」
泣きながら無様に命乞いをしていた。
言葉足らずなのは前歯が吹き飛んでたからだった。
オーケイ。
おまえ達の言いたい事は分かってる。
今回はオレも認めよう。
ソイツがオレの足元で這い蹲っていると。
だが、1つだけ説明させてくれ。
先に突っ掛かってきたのはコイツだからな。
オレは友好的な会談を臨んだんだ。
なのに、この馬鹿が突っ掛かってきてこうなった。
つまり、
オレは悪くない(これが言いたかった)。
そういう事だ。
「うわぁ~。平伏した賢者ガウニックの後頭部を踏み付けるとかあり得ないわ」
と引いてるアシュに、
「こいつが悪いのよっ!」
黒髪ロングのオレはガウニックの後頭部をグリグリと踏みながらそう答えた。
アルは今回、念話でも出番はなしだ。
念話を賢者に盗聴されたら洒落にならないからな。
そんな訳でオレはこの状態に至るまでの一連の流れを回想した。
◇
事の起こりはアシュとの雑談からだ。
手頃な街の図書館で静かに書籍を探す中、勉強や本が大嫌いなアシュが、
「ご主人様、何を探してるんだ?」
「大地の女神ミーエルの干渉阻止の術式について」
「何だ、それ? 難しい魔法って事か?」
説明が面倒臭かったオレが、
「まあね」
と答えたら、
「なら、誰かに聞いた方が早いんじゃないのか?」
「誰に?」
「やっぱり世界最高の賢者ガウニックかな?」
「賢者ねぇ~。どこに居るのか知ってるの?」
「ああ、東の果てにある賢者の塔だろ?」
その図書館の歴史書には封印術を思わせる記述がなかったので、オレは出向く事になった。
東の果て。
飛竜でも10日は掛かる距離だ。
そして、食糧は捨てるくらいある。
そんな訳で出発した。
道中は辛い旅路だった。
自称料理が出来るというアシュの、
塩やコショウ味だけの肉の塊焼き。
味なしの野菜スープ。
この2つを10日間も朝昼晩と食べなければならなかったのだからな。
この件でオレは料理が出来る仲間(奴隷でも可)を早急に加える事が必要だと実感した。
オレは料理が出来ないのかって?
出来ないんだよ、それが。
元の世界では料理番がちゃんと数人居たからオレは喰うの専門だったからな。
こんな事なら料理も覚えておけば良かったぜ。
◇
そんな食事事情でオレがイラついてたのは認めよう。
だから、賢者の塔の周辺に展開されていた障壁を力ずくで突破したのも、まあ、悪かったかもしれない。
だがな。
いきなり遠距離の特大攻撃魔法を撃ってきたのは向こうが悪いからな。
本当にいきなりだった。
塔から炎の巨大閃光が飛んできたのは。
迫る閃光の戦闘力はどう低く見積もっても10万超え。
喰らったらオレでも(この身体だと)ヤバイ。
ゴン太の閃光で飛竜での回避は不可能。
飛竜の背鞍を足場にアシュの腕を掴んで、
「へっ、キャア」
と跳躍して避けるのが精一杯だった。
そんな訳で、荷物は全部、飛竜に括り付けてたから、全財産を失ってしまった。
飛竜(移動手段)もだ。
ふざけるなよっ!
どこの馬鹿だっ!
ってオレが怒るのも当然な事で、塔に特攻して、
アシュを途中で手放して、
「沈みな、【影沼】っ!」
魔法で塔を沈めようとしたら、魔法が弾かれて、
「弾いた?」
剣ベルトに携えてて唯一無事たった武器のアークドラゴンの牙剣を抜いて、
「斬空剣っ!」
と斬撃を飛ばすも塔が弾いたから、
「へぇ~」
マジになったオレが竜気と竜魔を剣に込めて、
「竜魔女神封印斬りっ!」
と本気を出したら、塔が真っ二つになって、割れるように倒壊したのだった。
フフン。
さすがはオレだな。
その塔の瓦礫の中から、
「貴様ぁぁぁ、賢者の塔を破壊するなど自分が何をやったのか分かってるのかっ!」
とかブチギレた爺さんが叫んでた。
ん?
戦闘力5700?
たったの?
どういう事だ。
確かにこの爺さんは人間を止めてて、何か別の種族になってるっぽいが。
さっきの攻撃魔法の方が桁違いで凄かったぞ?
装備品も一流品だとは思うが、それでもオレが危険だと感じるレベルじゃない。
塔に何か魔力を集める魔法陣がある。
まあいい。
とりあえず、
「今、塔から攻撃してきたのはおまえか?」
「だったら、何ーー」
その後の言葉は聞かずに『竜かごキック』をお見舞いした。
『竜かごキック』はただの蹴りじゃない。
コンマ1秒で接近して蹴りを入れて、
弾き飛んだところをそれよりも早く回り込んで蹴り、
更に弾き飛んだところを回り込んで蹴り、
それを神速で3秒の間に繰り返して100回蹴る技だった。
回避は不可能。
タコ殴りならぬタコ蹴りだ。
竜かごキックの技名は、竜を入れる籠をイメージしての事らしい。
オレのオリジナルの技だったが、
オレの技名『マッハ100キック』が不評で、
知り合いの吟遊詩人が『竜かごキック』と命名したら、それが仲間内に広がって、渋々オレも竜かごキックなんて不本意な技名を使っていた。
やっぱりマッハ100キックの方がいいよな?
技名はともかく、それを喰らって瀕死の重傷の爺さんが泣きながら這い蹲って、
「・・・命だけは、ヒグ、助けて下しゃい」
と言ってる後頭部を、財産を失ったオレが踏んで、
「だぁ~め」
とグリグリしてる訳だ。
なっ?
オレ、悪くないだろ?
◇
コイツが賢者ガウニックか。
雑魚の癖しやがってオレの全財産がぁ。
くそぉ~。
こんな事になるんなら、別荘でも購入して資産の一部を隠しておけば良かった。
無駄にアイテムボックスがあって持ち運べたから手元に置いてしまってこのザマだ。
「質問するわ。大地の女神ミーカルの祝福歪曲結界の装置はどこにあるの?」
後頭部をグリグリした状態でオレが問い、土下座状態の爺さんが、
「待って下しゃい。あれを破壊したら世界の秩序は崩壊してしまいましゅ」
「はいはい、そういうのはいいからサクサク教える」
グググッと後頭部を踏んでミシミシッて軋む音がすると、
「アダダダダ・・・13あります。リティア大森林とモルダイエー山脈のが何故か最近なくなって・・・まさか」
「詮索しない。残りの11個の場所は?」
「殆どが人類未踏の地か、魔物が巣食ってます」
その後、詳しく賢者から場所を聞いた。
大半の場所がオレには分からなったが。
「あっそ。で、アナタ、種族は今、何なの? 人間じゃないわよね?」
「人間です。『世界の番人』の称号を得て不老不死になりましたが」
「何それ」
「この世界を守る為の役職です」
オレの世界にはない称号だな。
ってか、盛ってるだろ、不老不死はさすがに。
どうして分かるのかって?
そんなの簡単だ。
本当に不老不死ならオレの足元に這い蹲って無様な命乞いなんてしないからさ。
だって不老不死なんだから。
多分だけど、回数付きの不老不死だ。
またはオレが潰した塔と連動してたか。
ともかく、今のコイツは絶対に不老不死じゃない。
「さっきの攻撃魔法は何?」
「塔の中にある古代文明の遺産の攻撃装置を使いました」
「ふ~ん」
とオレは倒壊した塔を見て、ついでに、
「【巨神封滅炎槍】っ!」
攻撃魔法を倒壊した塔の根元に撃ち込んだ。
マグマ層に達したのか、マグマが出る。
まあ、少し離れた場所にオレ達は居るから大丈夫だろう。
「へっ?」
さすがは賢者。
大地にキスしながらも【遠視】で様子を確認したのか驚いてる。
「他にも賢者の塔と同じ古代文明の遺産はあるのかしら?」
「『夜空』の中にあると聞いた事があります」
「へぇ~」
と答えたオレは、
「そうそう、私達、アナタに攻撃されて飛竜を失ったのよねぇ~。この辺境からどうやって人里に行けばいいのかしら?」
「塔があればゲートでいけましたが、そのゲートも使えず自力で移動するしか」
「あっそ」
と答えたオレは、
「財産を賠償して欲しいんだけど、金銀財宝ってある?」
後頭部を踏んだまま質問し、賢者が、
「塔の3階に少々ありましたが、あのマグマで、もう・・・」
あらら。
瓦礫を漁ってから塔の地下施設を潰せば良かったか?
「革袋タイプのアイテムボックス3つも失ったのよねぇ~」
「指輪タイプのでよろしければ、ここに」
と渡されたので、受け取ったオレは指輪を親指でコインを弾くようにアシュに渡した。
「使い方は?」
「ル・バレンで中の物が出せます。しまう時はバレン・ルです」
「ありがと。飛竜も失ったんだけど?」
「申し訳ございません。飛獣は持ち合わせていません」
と賢者が言うと、オレは足を退けて賢者の首根っこを掴むと、
「飛んでいきなさい」
ハンマー投げの要領で3回転してから、賢者をブン投げたのだった。
凄い速度で。
だから3秒後には、
「ひょえええええええっ!」
キラリッとお星様になって賢者は見えなくなったのだった。
えっ?
どうして殺さなかったのかって?
変な称号があったからだよ。
殺してその称号が自動的にオレに継承されたら洒落にならないから。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
登場人物。
賢者・・・ガウニック。人間を止めてる。年齢500歳以上。
地名。
賢者の塔・・・東の最果ての秘境に建つ。古代文明の遺産。女神砲完備。女神干渉妨害結界の1つ。
その名もガウニック。
世界中から尊敬されて偉大な賢者だ。
その男が地面に這い蹲いながら、
「・・・命だけは、ヒグ、助けて下しゃい」
泣きながら無様に命乞いをしていた。
言葉足らずなのは前歯が吹き飛んでたからだった。
オーケイ。
おまえ達の言いたい事は分かってる。
今回はオレも認めよう。
ソイツがオレの足元で這い蹲っていると。
だが、1つだけ説明させてくれ。
先に突っ掛かってきたのはコイツだからな。
オレは友好的な会談を臨んだんだ。
なのに、この馬鹿が突っ掛かってきてこうなった。
つまり、
オレは悪くない(これが言いたかった)。
そういう事だ。
「うわぁ~。平伏した賢者ガウニックの後頭部を踏み付けるとかあり得ないわ」
と引いてるアシュに、
「こいつが悪いのよっ!」
黒髪ロングのオレはガウニックの後頭部をグリグリと踏みながらそう答えた。
アルは今回、念話でも出番はなしだ。
念話を賢者に盗聴されたら洒落にならないからな。
そんな訳でオレはこの状態に至るまでの一連の流れを回想した。
◇
事の起こりはアシュとの雑談からだ。
手頃な街の図書館で静かに書籍を探す中、勉強や本が大嫌いなアシュが、
「ご主人様、何を探してるんだ?」
「大地の女神ミーエルの干渉阻止の術式について」
「何だ、それ? 難しい魔法って事か?」
説明が面倒臭かったオレが、
「まあね」
と答えたら、
「なら、誰かに聞いた方が早いんじゃないのか?」
「誰に?」
「やっぱり世界最高の賢者ガウニックかな?」
「賢者ねぇ~。どこに居るのか知ってるの?」
「ああ、東の果てにある賢者の塔だろ?」
その図書館の歴史書には封印術を思わせる記述がなかったので、オレは出向く事になった。
東の果て。
飛竜でも10日は掛かる距離だ。
そして、食糧は捨てるくらいある。
そんな訳で出発した。
道中は辛い旅路だった。
自称料理が出来るというアシュの、
塩やコショウ味だけの肉の塊焼き。
味なしの野菜スープ。
この2つを10日間も朝昼晩と食べなければならなかったのだからな。
この件でオレは料理が出来る仲間(奴隷でも可)を早急に加える事が必要だと実感した。
オレは料理が出来ないのかって?
出来ないんだよ、それが。
元の世界では料理番がちゃんと数人居たからオレは喰うの専門だったからな。
こんな事なら料理も覚えておけば良かったぜ。
◇
そんな食事事情でオレがイラついてたのは認めよう。
だから、賢者の塔の周辺に展開されていた障壁を力ずくで突破したのも、まあ、悪かったかもしれない。
だがな。
いきなり遠距離の特大攻撃魔法を撃ってきたのは向こうが悪いからな。
本当にいきなりだった。
塔から炎の巨大閃光が飛んできたのは。
迫る閃光の戦闘力はどう低く見積もっても10万超え。
喰らったらオレでも(この身体だと)ヤバイ。
ゴン太の閃光で飛竜での回避は不可能。
飛竜の背鞍を足場にアシュの腕を掴んで、
「へっ、キャア」
と跳躍して避けるのが精一杯だった。
そんな訳で、荷物は全部、飛竜に括り付けてたから、全財産を失ってしまった。
飛竜(移動手段)もだ。
ふざけるなよっ!
どこの馬鹿だっ!
ってオレが怒るのも当然な事で、塔に特攻して、
アシュを途中で手放して、
「沈みな、【影沼】っ!」
魔法で塔を沈めようとしたら、魔法が弾かれて、
「弾いた?」
剣ベルトに携えてて唯一無事たった武器のアークドラゴンの牙剣を抜いて、
「斬空剣っ!」
と斬撃を飛ばすも塔が弾いたから、
「へぇ~」
マジになったオレが竜気と竜魔を剣に込めて、
「竜魔女神封印斬りっ!」
と本気を出したら、塔が真っ二つになって、割れるように倒壊したのだった。
フフン。
さすがはオレだな。
その塔の瓦礫の中から、
「貴様ぁぁぁ、賢者の塔を破壊するなど自分が何をやったのか分かってるのかっ!」
とかブチギレた爺さんが叫んでた。
ん?
戦闘力5700?
たったの?
どういう事だ。
確かにこの爺さんは人間を止めてて、何か別の種族になってるっぽいが。
さっきの攻撃魔法の方が桁違いで凄かったぞ?
装備品も一流品だとは思うが、それでもオレが危険だと感じるレベルじゃない。
塔に何か魔力を集める魔法陣がある。
まあいい。
とりあえず、
「今、塔から攻撃してきたのはおまえか?」
「だったら、何ーー」
その後の言葉は聞かずに『竜かごキック』をお見舞いした。
『竜かごキック』はただの蹴りじゃない。
コンマ1秒で接近して蹴りを入れて、
弾き飛んだところをそれよりも早く回り込んで蹴り、
更に弾き飛んだところを回り込んで蹴り、
それを神速で3秒の間に繰り返して100回蹴る技だった。
回避は不可能。
タコ殴りならぬタコ蹴りだ。
竜かごキックの技名は、竜を入れる籠をイメージしての事らしい。
オレのオリジナルの技だったが、
オレの技名『マッハ100キック』が不評で、
知り合いの吟遊詩人が『竜かごキック』と命名したら、それが仲間内に広がって、渋々オレも竜かごキックなんて不本意な技名を使っていた。
やっぱりマッハ100キックの方がいいよな?
技名はともかく、それを喰らって瀕死の重傷の爺さんが泣きながら這い蹲って、
「・・・命だけは、ヒグ、助けて下しゃい」
と言ってる後頭部を、財産を失ったオレが踏んで、
「だぁ~め」
とグリグリしてる訳だ。
なっ?
オレ、悪くないだろ?
◇
コイツが賢者ガウニックか。
雑魚の癖しやがってオレの全財産がぁ。
くそぉ~。
こんな事になるんなら、別荘でも購入して資産の一部を隠しておけば良かった。
無駄にアイテムボックスがあって持ち運べたから手元に置いてしまってこのザマだ。
「質問するわ。大地の女神ミーカルの祝福歪曲結界の装置はどこにあるの?」
後頭部をグリグリした状態でオレが問い、土下座状態の爺さんが、
「待って下しゃい。あれを破壊したら世界の秩序は崩壊してしまいましゅ」
「はいはい、そういうのはいいからサクサク教える」
グググッと後頭部を踏んでミシミシッて軋む音がすると、
「アダダダダ・・・13あります。リティア大森林とモルダイエー山脈のが何故か最近なくなって・・・まさか」
「詮索しない。残りの11個の場所は?」
「殆どが人類未踏の地か、魔物が巣食ってます」
その後、詳しく賢者から場所を聞いた。
大半の場所がオレには分からなったが。
「あっそ。で、アナタ、種族は今、何なの? 人間じゃないわよね?」
「人間です。『世界の番人』の称号を得て不老不死になりましたが」
「何それ」
「この世界を守る為の役職です」
オレの世界にはない称号だな。
ってか、盛ってるだろ、不老不死はさすがに。
どうして分かるのかって?
そんなの簡単だ。
本当に不老不死ならオレの足元に這い蹲って無様な命乞いなんてしないからさ。
だって不老不死なんだから。
多分だけど、回数付きの不老不死だ。
またはオレが潰した塔と連動してたか。
ともかく、今のコイツは絶対に不老不死じゃない。
「さっきの攻撃魔法は何?」
「塔の中にある古代文明の遺産の攻撃装置を使いました」
「ふ~ん」
とオレは倒壊した塔を見て、ついでに、
「【巨神封滅炎槍】っ!」
攻撃魔法を倒壊した塔の根元に撃ち込んだ。
マグマ層に達したのか、マグマが出る。
まあ、少し離れた場所にオレ達は居るから大丈夫だろう。
「へっ?」
さすがは賢者。
大地にキスしながらも【遠視】で様子を確認したのか驚いてる。
「他にも賢者の塔と同じ古代文明の遺産はあるのかしら?」
「『夜空』の中にあると聞いた事があります」
「へぇ~」
と答えたオレは、
「そうそう、私達、アナタに攻撃されて飛竜を失ったのよねぇ~。この辺境からどうやって人里に行けばいいのかしら?」
「塔があればゲートでいけましたが、そのゲートも使えず自力で移動するしか」
「あっそ」
と答えたオレは、
「財産を賠償して欲しいんだけど、金銀財宝ってある?」
後頭部を踏んだまま質問し、賢者が、
「塔の3階に少々ありましたが、あのマグマで、もう・・・」
あらら。
瓦礫を漁ってから塔の地下施設を潰せば良かったか?
「革袋タイプのアイテムボックス3つも失ったのよねぇ~」
「指輪タイプのでよろしければ、ここに」
と渡されたので、受け取ったオレは指輪を親指でコインを弾くようにアシュに渡した。
「使い方は?」
「ル・バレンで中の物が出せます。しまう時はバレン・ルです」
「ありがと。飛竜も失ったんだけど?」
「申し訳ございません。飛獣は持ち合わせていません」
と賢者が言うと、オレは足を退けて賢者の首根っこを掴むと、
「飛んでいきなさい」
ハンマー投げの要領で3回転してから、賢者をブン投げたのだった。
凄い速度で。
だから3秒後には、
「ひょえええええええっ!」
キラリッとお星様になって賢者は見えなくなったのだった。
えっ?
どうして殺さなかったのかって?
変な称号があったからだよ。
殺してその称号が自動的にオレに継承されたら洒落にならないから。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
登場人物。
賢者・・・ガウニック。人間を止めてる。年齢500歳以上。
地名。
賢者の塔・・・東の最果ての秘境に建つ。古代文明の遺産。女神砲完備。女神干渉妨害結界の1つ。
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