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猫の鈴、温泉街のスパ、ガン飛ばしの女子バージョン

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 メシコス王国の温泉街ソーゴにオレ達に来ていた。

 温泉街なのだから、そりゃあ、温泉に入らないとな。

 そんな訳で温泉に入っていた。

 それも最新鋭の若い女子に大人気のスパという施設に。

 女性専用で、大浴場だけではなく、サウナ、エステ、食堂、カフェと色々とある。

 正直、男の時は『風呂なんて』と思ったが、女の身体になってからは『風呂はパラダイスだ』という事を実感していた。

 何せ、女の身体だからなぁ~。

 だから、堂々と女湯に入れて、ヌードは見放題。

 これをパラダイスと言わないで何と言うんだ?





「ご主人様、あっちのレストランで肉を喰おうぜ」

「またなの、アシュ?」

「早く早く」

 アシュに手を引かれるままにオレは連れて行かれ、オレはもう1人の連れに、

「リラ、ゴメンね」

 と声を掛けた。

 誰かって?

 戦闘力350。

 20歳の人間の女で、青髪ロングに切れ長の青眼をした茶褐色肌の巨乳のクールビューティー。

 エガシー王国の女騎士リラ・バリエだ。

「いえ、そんな事は」

 と堅苦しく言ってるが、これでもデレた方なんだぜ。





 何せ、モイアルエガ宮殿での初対面が不平タラタラの、

「チッ、どうして私がこんな任務を・・・よろしく」

 なんだったからさ。





 つまりだ。

 エガシー王国の喰わせ者の国王がオレに付けたのさ。

 討伐した蜘蛛の未払い分の賞金が集まり次第、支払うから、その情報を伝達する為の連絡係として。

 無論、それは建前だ。

 真の狙いは『古代毒蜘蛛ギガノダー』を倒し、更には毒を浄化出来るオレとのパイプの構築。

 更にはオレが何をするかの動向把握。

 そんなところだろう。

 国王からしたらオレみたいなのが反王国側に流れたら困るってんで。

 猫の鈴って奴だな。

 それで鈴役の貧乏クジを引かされたのがリラで、初対面で不満タラタラの『チッ』って訳さ。





 まあ、そんなリラの不機嫌など、大浴場でのオレのテクニシャン改めゴッドフィンガーを駆使した身体洗いの前に一瞬で吹き飛んでるがな。

 何回、気持ち良くしてビクン、ビクンッと背筋を跳ねさせてやったか。

 終わった後には裸の状態で洗い場で跪いて、

「ハアハア・・・アナタに我が忠誠を捧げます、ロザリア様♡」

 って騎士の誓いの儀式までやってたからな。

 まあ、信用出来ない監視員の籠絡するのは優先事項だから。

 リラとのスキンシップも一応、意味があるって事で。





 ◇





 オレが温泉街ソーゴに来たのは遊びに来た訳ではない。

 温泉街ソーゴに来た目的は、





 オウムのチャーリーの骨休めだ。






 ええっと。

 空気がかなり白けたがマジだからな。

 ギャグじゃないから。

 おっと、石を投げるのは止めてくれ。

 これには色々と事情があるんだよ。

 あのオウムのチャーリー、何歳だと思う?

 オウムの平均寿命は50年だが、魔法や魔石があるファンタジーな世界の生き物のチャーリーは500年以上生きてるらしい。

 まあ、チャーリーって聖獣の部類だからな。

 ほら、時々、大地の女神ミーカルの像の肩や杖に乗ってるオウム。

 あれがチャーリーの遠い先祖の初代だからさ。

 それが何度も転生して、当代はチャーリーって事らしい。





 なので、顔見知りが多いらしくてな。





 骨休めという理由で知り合いに遭いに来てたのさ。

 相手は喋る石の生命体らしいが。

 そんな訳でチャーリーは別行動。

 オレ達はその間、温泉でイチャイチャしてるって訳さ。





 スパ内のレストランで、スパ施設用のユニフォームを纏ったオレは、

「ご主人様、これも美味いぜ、あーん」

 言われるがままに、

「あーん」

 と口を開けて肉をアシュに食べさせて貰うくらいは、もうオレとアシュの仲では普通な事な訳だが。

 レストラン内を見渡したオレが、

「女の敵が居るわね」

「あっ、ホントだ。男の匂いだ」

 アシュも気付き、

「10時の方向ですか?」

 リラも尋ねた。

「どうしてリラはそう思ったの?」

「変身魔法が稚拙で時々背景がブレてましたので」

 と言った時に、アシュがそいつらに、

「おらぁ~、おまえら、男だろっ!」

 飛び蹴りを喰らわせてた。

 それで変身魔法が解けて、男に戻ってる。

 それも3人も。





 ったく、男の癖に女専用のスパに入るなんてクズだな。

 えっ?

 おまえもだろって?

 いやいや、オレ、身体は令嬢おんなだから。





 ◇





「覗きを捕縛していただき、ありがとうございました」

 とスパの支配人に無料利用券を貰ったオレ達はその後もスパを楽しんだ。

 いやぁ~。

 美容って大切だよな。

 エステの仕方も分かったし、今度、ゴッドフィンガーでアシュとリラにやっちゃおうっと。

 そんな訳でスパを堪能してた訳だが、この身体が妙に運が良い事を思い出す出来事があった。

 まあ、この身体が運が良い以前に、オレはもう四半神。

 大地の女神ミーカルの寵愛を受けて、更に運が良くなってる訳だが。

 そんな訳で、スパを歩けば戦闘力2100の美女を発見した。

 銀髪ロングで一房が紺髪の巨乳ちゃんだ。

 スパのコスチュームだがナイスバディーが弾けそうになってる。

 注目すべきは耳だ。

 とんがり耳だった。

 でもエルフほどじゃない。

 ハーフエルフって奴か。

 それで戦闘力2100?

 限界を自力で突破した風には見えない。

 不正ズルをしてやがるな。

「嘘、イエロ将国の女将軍、アステーナ・ラリー?」

 そう言ったのはリラだ。

 オレは誰かは分からなかったが。

「金髪で聖属性、アナタよね。エガシー王国で『古代毒蜘蛛ギガノダー』を倒したロザリアって?」

「はい、どうも」

 とオレが挨拶すると、その巨乳ちゃんが正面からオレの胸に胸を押し付けてきた。

 オレの胸と押し合い、潰れ合う。

 何だ、このエロイ挨拶?

 もしかして、男でいうところのガンを飛ばし合いと同じ意味合いなのか?

 オレ、男だから、凄く得した気分にしか感じないんだが。

 そんな訳で、オレが引かずに自分の胸で巨乳ちゃんの胸の感触を楽しんでると、

「ふ~ん、相当強いわね」

 巨乳ちゃんが身体を引いた。

 ああ、心地良い弾力が。

「まあ、そこそこはね」

「私の国に来ない?」

「いきません」

 と答えたのはオレではなくリラだった。

「誰、この子?」

「恋人」

 さらっとオレが返事すると、それに驚いたのはアシュで、

「えっ、そうなの、ご主人様?」

「今夜、アシュと一緒に楽しもうかなぁ~って」

「いやいや無理だから。ご主人様以外の女とか」

 とオレとアシュが喋る中、

「あら、なら私も混ぜて貰おうかしら」

 話せる巨乳ちゃんがそんな冗談を飛ばして、

「どうやって『古代毒蜘蛛ギガノダー』を倒したの?」

「剣を一振りしてズッシャアアアアと」

「真面目に聞いてるんだけど?」

「本当だぞ、それ」

 目撃者のアシュがそう真顔で答えた。

「そんなに強いの? 確かオズ帝国に巣食ってた魔十教団潰しにも噛んでるわよね?」

「そんな事もあったかしら?」

「他には何をやったの?」

「さあ、特には」

 オレがそらとぼけると、

「ふ~ん、まあ、いいわ。イエロ将国に来るなら、私のところにいらっしゃい」

 そう言って去っていった。

「行くのか、ご主人様?」

「そんな予定はないわよ」

 そう笑いながら、スパ内の別の施設へと向かった。





 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇





 登場人物。





 リラ・・・リラ・バリエ。戦闘力350。エガシー王国の女騎士。

 巨乳ちゃん・・・アステーナ・ラリー。イエロ将国の将軍。ハーフエルフ。戦闘力2100。





 国名。





 メシコス王国・・・エガシー王国の北隣国。元首は国王。

 イエロ将国・・・メシコス王国の西隣国。元首は大将軍。





 地名。





 温泉街ソーゴ・・・メシコス王国の山岳地帯にある。治癒効果のある温泉が名産。湯治場として有名。
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