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戴冠式での勇者認定、落胤シューリーン、印象は大事
しおりを挟む夕刻の事である。
3頭の飛竜とその乗り手達が、覆面をした所属不明の飛獣部隊100頭以上と戦闘をしていた。
オーケイ。
何も言うな。
その3頭側がオレである事は認めよう。
だが、まずは説明をさせてくれ。
えっ?
今度は何をしたんだって?
何もしてないに決まってるだろ。
それよりも説明だ。
説明するぞ。
いいか、良く聞けよ。
オレは悪くない。
今回、悪いのはあの俗物なんだから。
レーサー乗りをしてるアシュが、
「100騎以上なんて絶対、こいつら国の軍隊だろ? って事は絶対にメシコス王国の連中だよな?」
「倒せば分かる事だわ、【炎の矢】っ!」
そんな訳で、オレは魔法を放ちながら回想に入ったのだった。
◇
王位継承争いはその国の最高権力闘争だ。
権力に執着のない変わり者の王族以外は、まずは引かない。
そんな訳で、良く血みどろの惨劇となるのだが。
このメシコス王国は国王、王妃、王太子が追放者の襲撃で死亡。
第2王位継承権を持つ第2王子は王妃筋の隣国のイエロ将国に逃亡して、まだ帰国せず。
第3王位継承権を持つ第1王女は追放者に抱かれてるのを救出時に多数に目撃されており修道院行きが確定している。
第4王位継承権を持つ第2王女はまだ10歳。
で、我らが50代の俗物の侯爵は、国王の実弟で、第5王位継承権を有し、更にはバルメシコ宮殿を占拠した追放者討伐の功績を持つ。
通常ならば、上位が順当に継ぐのだが、
10日後、先代国王の葬儀後の戴冠式で王冠を被ったのは俗物の侯爵だった。
名前をアルドロン・メシコスと戻して、国王となっていた。
あの俗物がなぁ~。
まあ、オレに一番に出会えるくらいの運の強さは持ってるからな。
何とかなるかも知れない。
そして、俗物はオレにも結構な褒美をくれていた。
◇
「ロザリアはどんな男が好みなんだ?」
「私、レズですので男の好みはありませんよ。女なら断然、蛮族系の女戦士ですね。後、手付かずの処女の方が好みですかね」
そんな何気ない雑談の結果、
さすがはこの令嬢は運がいい。
どうして俗物の侯爵がオレの許に来たのかも納得した。
あの俗物だ。
王族から下って侯爵になった後に種をまき散らしたのか、俗物と本当に血が繋がってるのかと疑うくらいの美貌の女騎士をオレの護衛に押し付けて、
「口説けたらやるぞ、ロザリア。但し、余の落胤だから、つまみ食いでは終わらせるなよ」
本人に内緒で、オレに耳打ちしていた。
そんな訳で、
戦闘力120。
外見年齢17歳のハーフの更に半分のクオーターエルフで、銀髪ロングの美貌の女騎士シューリーンをゲットしていた。
白肌もスベスベで、巨乳ちゃんなんだよなぁ~。
エルフの寿命が人間の10倍で、ハーフが最長5~3倍、クオーターが最長2・5~1・2倍、またはエルフの血が発現せず1倍だったっけ?
耳が尖ってるのだから、多少は寿命が長いはずだが。
まあ、寿命なんてどうでもいい。
それよりも衣裳だ。
メシコス王国の女騎士の恰好は、鎧も服も全体的に黒で、赤色のワンポイント。
注目すべきは左右スリットスカートで、騎乗可能な点だった。
なので、スカートの下はスパッツや素肌と人によって違った。
バルメシコ宮殿滞在5日目にシューリーンに引き合わされていた。
つまりはオレのベッド事情を知って本当にレズだと知ったのだろう。
いやいや、宮殿でもやる事はやってるし。
そんな訳で戴冠式までの5日間で、
オレのゴッドフィンガーによって簡単にシューリーンもゲットしていた。
えっ?
どうやったのかって?
じゃあ、内幕をちょっとだけ。
「肌スベスベね、触らせて」
「ちょ、スカートの中の太股を触るんじゃ・・・(ビクン、ビクン、ビクンッ)あああ♡ ダメぇ♡」
本当にサクッと籠絡したから。
ってか、オレのゴッドフィンガー、マジで凄いよな。
修練の空間で自分で練習しておいて良かったぞ。
◇
そして、戴冠式にて、
「メシコス王となった初の仕事として、バルメシコ宮殿を襲い、前王を殺した悪しき人型の魔物を余と共に討伐したロザリアを勇者に任命する。勇者ロザリア、前へ」
そうそう、これの為にわざわざ国王が決まるまでバルメシコ宮殿に滞在してたんだよな。
「ははっ」
オレが前に出ると歓声が上がった。
もう下準備はバッチリだ。
エガシー王国で『古代毒蜘蛛ギガノダー』を倒した名声も流布されているから。
「メシコス王として勇者と認める。これからも世の為人の為、頼むぞ」
「ははっ」
膝を折って、オレは俗物王に頭を垂れたのだった。
他にも、
金銀財宝。
指輪タイプのアイテムボックス。
革袋タイプのアイテムボックス。
魔宝石が5個埋められた槍。
それらを褒美で貰った。
◇
翌日にはバルメシコ宮殿を出発する事となった。
「それでは陛下」
「うむ。困った事があればシューを通して呼ぶからな」
「人同士の戦争には加担しませんよ?」
「分かっておる。但し、イエロ将国には向かうでないぞ」
そう言ったのはオレが何かを教えたからではない。
イエロ将国の巨乳ちゃんが大地の精霊を吸ってパワーアップしてた事なんか教えた日には、魔法陣の知識が流出して追放者がまた出るかも知れないからな。
俗物王がそう言ったのは、前王の第2王子が帰還命令を無視してイエロ将国に届まっているからだ。
つまりは向こうはやる気だって事さ。
嫌だ嫌だ。
関わりたくないね、そんな事には。
「では失礼します、陛下」
「うむ」
オレはこうして飛竜でバルメシコ宮殿を旅立ったのだったのだった。
◇
そして、その日の夕方。
メシコス王国の領空内で覆面をした精鋭飛獣部隊100頭以上に襲われていた。
誰がオレを襲わせたのかって?
この流れなら決まってるだろ、あの俗物王にっ!
落胤の美女をオレに与え、
戴冠式で勇者に認定して、
褒美を渡して、
ここまで油断させておいて襲うなんてやるじゃねえかっ!
少しは見直したぞっ!
・・・いや、違うか。
違和感がある。
あの俗物王なら有利な宮殿内で短絡的に襲ってるからな。
前々からチラッと思ってたが、あの俗物王にはかなり優秀なブレーンが居るだろ?
多分、ソイツの独断だっ!
ああ、鬱陶しい。
◇
そんな訳で冒頭の、
「100騎以上なんて絶対、こいつら国の軍隊だろ? って事は絶対にメシコス王国の連中だよな?」
「倒せば分かる事だわ、【炎の矢】っ!」
オレが魔法を使い、300本の炎の矢で覆面が駆る飛獣全騎を1発で撃ち落としたのだった。
そのまま飛び去る訳にもいかない。
答え合わせは必要だ。
地上に降りて虫の息の連中の頭を踏んでグリグリしながら、
「誰なの、アンタラは?」
「・・・」
おお、この状況で口を割らないか。
プロだな。
でも、メンドイから、
「【魅了】っ!」
オレは魅了魔法を使って、好感度を上げてから、
「誰なの、アンタラ?」
再度質問した。
「・・・イエロ将国の正規軍だ」
おっと、そうなの?
「ここ、まだメシコス王国の領域よね?」
「・・・だから襲った。メシコス王国の仕業に見せる為に」
俗物王、悪い。
濡れ衣を着せてしまって。
おまえらは無実のようだ。
だが、俗物王も悪いんだぞ。
そんな信用のない外見だから。
「どうして私がイエロ将国に襲われるの?」
「・・・メシコス王国の味方をするからだ」
「つまりイエロ将国は第2王子を擁して侵攻する訳ね?」
「・・・そうだ」
「飛獣100騎以上が国境を越えれた訳は?」
「・・・第2王子の書簡があれば国境の連中を黙らせるには十分だ」
「あっそ」
オレはガキッとソイツの頭を潰して、
「面倒臭い事になったわね。シュー、メシコス王国を守りましょうか?」
オレが言うと、
「だから、何度も言ってるでしょ、ロザリア様。私はあれを父親とは認めていないって。無理矢理、母を手籠めにしたのよ。私があれを八つ裂きにしたいくらいなんだから」
「じゃあ、メシコス王国がどうなってもいいのね? 一応、国王の落胤で王女だけど?」
「ええ。関係ないわ、一生ロザリア様についていくから」
「じゃあ、いきましょうか」
オレ達はこうして移動を続けたのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
登場人物。
シューリーン・・・クオーターエルフ。俗物王の落胤。メシコス王族。女騎士。
生き残り・・・チャカス・ロン。イエロ将国の将軍でナンバー2。次期大将軍筆頭。
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