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レプリカばっか、魔十教団ってムカツクよな、そっち側だったの

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 そんな訳で、四国会議が終わった当日にケチなエガシー王国の国王から、

「約束の品だ。受け取るが良い」

 王家秘蔵の、





 アマタの首飾り。

 スマリアの腕輪。

 エトレトの魔宝石剣。

 エトレトのサークレット。





 を授与された。

 はっきりと断言しよう。

 アマタの首飾り。

 スマリアの腕輪。

 この二つは偽物レプリカだった。

 既にすり替えられている。

 どうして分かるのかって?

 そんなの魔宝石が放つ魔力の量が強大だが、それでも少ないからだ。

 オレが持ってる同系の宝具と比べて。

 オレが既に持ってる方が本物だった訳か。

 えっ?

 その本物はどうしたのかって?

 女教皇ハイ・プリーステスが装備してたんだよ。

 剣や武具なら分かるが、女物の装飾品なんてオレも専門外な訳だが、素人眼にも良さげだったので貰っておいたのさ。

 だが、貰っておいた甲斐があった。

 偽物レプリカの宝具をエガシー王国の国王から貰ったお陰で堂々と本物を使える。

 なので、

「ありがとうございます」

 そう言って、笑顔で受け取ったのだった。





 そしてギガンダーの装備の一式も受け取っていた。

 つまりは、

 ギガノターの帽子、2種類。

 ギガノダーのブラ、2個。

 ギガノダーのパンツ、2個。

 ギガノダーのグローブ。

 ギガノダーのブーツ。

 ギガノダーの前掛け。

 ギガノダーのロングコート。

 ギガノダーのサンダル。

 ギガノダーの牙剣2本。

 ギガノダーの牙斧槍。





 そんな訳で、エガシー王国に居る理由はもう残り1つだけ。

 魔十教団のアジト潰しだけとなった訳だが。





 エガシー王国の喰わせ者の国王が情報公開したアジトの数は3個だけ。

 それも、





 古代遺跡。

 山賊のアジト。

 侯爵の貴族屋敷。





 と、きたもんだ。

 印象って大事だよな。

 国王が喰わせ者過ぎて、罠の匂いがプンプンだから。

 ってか、この国王、裏で魔十教団と通じてやがるんじゃないのか?

 アジトを潰すのは止めておこう。





「では、ロスメ皇国に向かいますね。失礼します」

「ああ、気を付けてな」

 そんな挨拶を交わしてオレはエガシー王国のモイアルエガ宮殿を後にしたのだった。

 もう来る事もないかもな。





 ◇





 ロスメ皇国にはすぐに到着した。

 皇都ロスメシークはボステマ湖の中心に建つ湖上街だった。

 美しいだって?

 いやいや、水の中には魚系や蛙系の魔物だって生息してるんだぜ?

 何、考えてこんなところに街を作りやがったんだ?

 馬鹿なんじゃないのか?

 それがオレの感想だったが、数秒後には、

 ん?

 あの『古代毒蜘蛛ギガノダー』から逃れる為に仕方なくか、もしかして?

 なんて考えを改めたのだった。





 皇都のロスメシーク宮殿でオレは皇王と謁見した。

 50代の人で、渋い顔のオッサンだ。

 そしてキレ者面の癖に結構な無能だった。

 素材分捕りの四国会議では皇女が意見を出してたからな。

 まあ、そんな事情はどうだっていい。

「良くきた、勇者ロザリアよ。2日後には勇者のお披露目式をやろうと思っている」

「ははっ、ありがとうございます」

「そうそう、会議で譲ると約束の品も用意した。受け取るとよい」

 そんな訳で盆に乗った宝石箱の中に入ってる皇国秘蔵の、





 エミアの月齢。

 コレレの腕輪。





 の2点を貰ったが、また偽物レプリカだった。

 おいおい。

 マジかよ。

 腕輪の方はオレ、もう同系のを持ってるぞ。

 女教皇ハイ・プリーステスが装備してたんだからよ。

 それに鈴の方はもうこの世にないっぽい。

 愚者フールが付けてたから首都バラッカスと一緒に消滅魔法で消えてるし。

 そう考えると、魔十教団って何かムカツクよな?

「これは良い品をありがとうございます、陛下」

 オレはこうして謁見を終えたのだった。





 その後は皇女のアスリアとイチャイチャ、ーーとはならなかった。

 向こうは公務で忙しいらしい。

 なので、オレは皇都ロスメシークの城下町の見学に繰り出した。

 騎士4人の護衛付きで。

 正直、大袈裟だな、と思ったが、そうでもないらしい。

 オレが魔十教団にムカついてるように、魔十教団もオレにムカついてるらしく、暗殺者がもろにきた。

 毒針の吹き矢攻撃だ。

 それも町人のババアが。

 だがな、覚えておけ。

 戦闘力200超えのババアなんて存在しないって事をなっ!

 だからオレは瞬時に気付いた。

 そしてわざとババアに背を向けたら、オレに吹き矢筒を構えたので、オレは右肩の上からデコピンの空打ちをした。

 わざわざ毒針が飛んでくるのを待つまでもない。

 正確に吹き矢筒の出口に空気弾を命中させて、吹き矢筒の中の毒針を逆噴射させてやったから。

 これくらいの芸当、オレには出来るんだよ、ババア。

 怨むなら公務で忙しいアスリアを怨みな。

 そんな訳で、

「うっ」

 とか言って倒れてた。

 それも何か毒じゃなくて呪詛っぽくて、顔にいきなり呪いの紋様が現れてたが。

 馬鹿だねぇ~。

 四半神のオレに呪いなんて元々効かないのに。

 無駄死に御苦労(悪そうなドヤ顔)。





 ◇





 いくら勇者でも皇王の食堂には呼ばれない。

 夕食は別室で食べた。

 そして夜だ。

 今晩は皇女アスリアと朝までヤレると思ってたのに、侍女が、

「妃殿下よりのお言葉です。都合が悪いので2日後に日を改めて」

 と伝言を持ってきた。

 本当にガッカリだから。





 それが悲劇を生んだ。

 ガッカリしたオレは夜、ロスメシーク宮殿を抜け出して、ボステマ湖の湖底に沈む湖底神殿に出向く事にした。

 ロスメ皇国の情報提供で未確認ながら魔十教団のアジトがあると噂の場所だ。

 未確認なのはボステマ湖には魔物が生息してる為に息が続くマジックアイテムを駆使しても潜水では魔物と戦闘となり向かえないから、らしい。

 そんなのオレには関係ない。

 オレは水を割れるから。





 そんな訳で、濡れるのが嫌だったオレは剣でボステマ湖を割り、割れてる間に湖底に見える神殿に移動していた。

 湖底神殿は案の定、妙な結界に守られてて空気が存在した。

 そして人の気配も多数あった。

 オレは奥ゆかしい性格なので、透明魔法を使って透明になってから無駄な戦闘をする事もなく探索を始めたのだった。





 そして大広間では、

「我らの不倶戴天の敵、勇者を名乗るロザリアが皇都ロスメシークにきている。明後日の勇者お披露目式を奴の命日にしてやれ」

「おおっ! 魔十教団に栄光あれ」

 秘密結社らしくフードを被った恰好の連中が何やら集会を開いていた。

 ってか、前で演説しているのは口調こそ違うが、兎人の女で、ぶっちゃければアスリアだった。

 ええぇ~、そっち側なのかよ、おまえって。

 それもオレの命を狙うのかよ。

 ああいう関係になったんだから、デレてオレ側に付けよなぁ~。

 こんな事なら感度100倍でヤッとけばよかったぜ。

 ガッカリしながら、オレは湖底神殿の大広間の上座に飾られてる巨大な宝玉に斬空剣(遠斬りね)を放った。

 どうしてかって?

 いやいや、見れば分かるだろ。

 または話の流れから。

 あれが湖底神殿の周囲に張られてる結界の動力源っぼかったからだよ。

 なので、バリンッと真っ二つに割れた瞬間、宝玉は輝きを失い、

「えっ?」

「どうして急に?」

「ってか、これが割れたら、うわぁ~、水が・・・」

 なんて悲鳴が大広間から聞こえており、

 オレは斬空剣を神殿の天井に放った。

 ビュンッ。

 一刀で天井を吹き飛ばし、ボステマ湖を斬って、湖面までの脱出ルートを作る。

「じゃあ、そういう事で」

 透明のオレがそう呟いた瞬間、アスリアが耳をピクリッと動かし、

「あの女だ、あの女が居るぞっ!」

 とか叫んでた。

 ああ、ないわ。

 『助けて』って可愛くお願いや『違うの、潜入してただけなの』とかだったら『戒心するかも』や『言ってよ、協力したのに』って助けたけど。

 オレは空打ちでデコピン波動を使った。

 水中で息が出来るマジックアイテムなんかを持たれて奇跡的に生還されては敵わないからな。

 ここで悪はしっかりと絶たないと。

 全員を空気弾ではなく波動で気絶させる。

 原理は空気の震動ね。

 全員が気絶したのを確認してから、悠々と跳躍を使って、オレはボステマ湖が割れる前に湖面へと戻ったのだった。





 まあ、問題なかろう。

 湖底神殿を探索した時、大広間に行く前に幸運にも宝物庫に行き着いたから。





 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇





 地名。





 皇都ロスメシーク・・・ロスメ皇国の首都。ボステマ湖の上にある湖上都市。

 ボステマ湖・・・北西部で3番目に大きな湖。

 湖底神殿・・・ボステマ湖の底にある。
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