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第五章
短針マシュマロと消えた写真(6)
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「え? なんで? おまえは俺たちにしか見えないのに、なんでスカーフェイスは他の人たちにも見えるんだ?」
「不法の器……」
マシュマロはポツリとつぶやくと、悲しそうに続けた。
「この世界で実体のないボクたちは、本来なんの干渉もできないんだ。でも一つだけ、この世界に干渉する方法があるんだよ」
「どういうことよ? それがその、不法の器ってやつ?」
紅葉が尋ねると、マシュマロはさらに表情を曇らせながら言葉を泳がせる。
「うん。でもこれは、絶対にやってはいけない禁術だって、おじいさんに言われてたのに」
クロ、つまりスカーフェイスは、その禁術を使ってしまったってことなんだろう。でも、一体どうしてマシュマロはこんなにも悲しそうなんだ?
「でも、その術ってつまり、実体を持つことができて、みんなに見えるようになるだけなんでしょ?」
それのどこがいけないの? って顔で紅葉が尋ねた。
「ボクたちは時間の管理人なんだ。そんなボクたちが、君たちの世界で実体を持つってことは、つまり君たちの世界で力が使えるってことなんだよ。それにこっちで実体を持つためには、こっちの世界の器、つまり生身の体が必要になるんだ」
そうか、最近町で多発しているこの時間泥棒の事件は、スカーフェイスがこっち側で実体を持ったから起きてることだったんだ!
「え? じゃあ、今スカーフェイスが使ってる器ってのは?」
「君たちの町で暮らしている別の黒猫の体を、クロは無理やり乗っ取っているんだ」
マシュマロの話では、乗っ取られた黒猫は、その間の記憶を失くすらしい。つまり、これも黒猫の時間をかすめ取るって行為なんだ。すると、マルコが核心をついた。
「でもさ、どうしてスカーフェイスは、ボクたちの時間を盗むんだろう?」
「ボクも詳しいことはわからないんだ。おじいさんも話してくれないし……」
マシュマロは少しうつむき加減にそうつぶやくと、顔を上げ僕たちを見回して言った。
「クロがおかしくなったのは、お兄ちゃん代わりのブッチがいなくなってからだよ」
「ブッチ?」
「ブッチって、猫なの?」
紅葉が聞くと、マシュマロは黙ってうなずいた。
「不法の器……」
マシュマロはポツリとつぶやくと、悲しそうに続けた。
「この世界で実体のないボクたちは、本来なんの干渉もできないんだ。でも一つだけ、この世界に干渉する方法があるんだよ」
「どういうことよ? それがその、不法の器ってやつ?」
紅葉が尋ねると、マシュマロはさらに表情を曇らせながら言葉を泳がせる。
「うん。でもこれは、絶対にやってはいけない禁術だって、おじいさんに言われてたのに」
クロ、つまりスカーフェイスは、その禁術を使ってしまったってことなんだろう。でも、一体どうしてマシュマロはこんなにも悲しそうなんだ?
「でも、その術ってつまり、実体を持つことができて、みんなに見えるようになるだけなんでしょ?」
それのどこがいけないの? って顔で紅葉が尋ねた。
「ボクたちは時間の管理人なんだ。そんなボクたちが、君たちの世界で実体を持つってことは、つまり君たちの世界で力が使えるってことなんだよ。それにこっちで実体を持つためには、こっちの世界の器、つまり生身の体が必要になるんだ」
そうか、最近町で多発しているこの時間泥棒の事件は、スカーフェイスがこっち側で実体を持ったから起きてることだったんだ!
「え? じゃあ、今スカーフェイスが使ってる器ってのは?」
「君たちの町で暮らしている別の黒猫の体を、クロは無理やり乗っ取っているんだ」
マシュマロの話では、乗っ取られた黒猫は、その間の記憶を失くすらしい。つまり、これも黒猫の時間をかすめ取るって行為なんだ。すると、マルコが核心をついた。
「でもさ、どうしてスカーフェイスは、ボクたちの時間を盗むんだろう?」
「ボクも詳しいことはわからないんだ。おじいさんも話してくれないし……」
マシュマロは少しうつむき加減にそうつぶやくと、顔を上げ僕たちを見回して言った。
「クロがおかしくなったのは、お兄ちゃん代わりのブッチがいなくなってからだよ」
「ブッチ?」
「ブッチって、猫なの?」
紅葉が聞くと、マシュマロは黙ってうなずいた。
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