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第六章
スカーフェイスを追って(7)
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乙女坂を下り、さらにまっすぐに伸びる遊歩道は環状線道路の下、地下道を潜り、再び地上へと出てくる。そこからさらに遊歩道を進んでいくと、僕たちの左手側には、竹やぶとケヤキの木に囲まれたカラス神社がひっそりと佇んでいた。
遊歩道から神社入口に回り、石畳の上を歩いていく。神社までの石畳の両脇の茂みの中を注意深く見ながら僕たちは神社の本堂の前までやって来ていた。数羽のカラスが、仲間に自分たちのテリトリーに侵入者が入ってきたことを告げるように鳴き声をあげている。
「見て! 猫がいる!」
マルコが指さした先には、数匹の猫がひなたぼっこを楽しむように、横一線に並んでじっとしていた。でもその中に、黒猫は一匹も見当たらない。
「とりあえず、神社とその周りを探してみるわよ」
そう言って紅葉は、本堂の裏手へと小走りにかけていった。
それほど大きくない神社の周辺を、グルリと一周回って、僕は再び神社の境内へ入る。
「周辺にはいなかったよ」
まだ境内で探しているみんなに僕が声をかけると、みんなも収穫はゼロのようだった。
「猫はいたけど、どれもスカーフェイスじゃなかったよ」
残念そうにマシュマロがこぼす。
「ひょっとしたら、天川の方だったのかも?」
ミチルがつぶやく。
僕たちは獅子丘町から西の乙女町へと歩いてきた。途中ミチルのお父さんに話を聞いて、このカラス神社へやって来たわけだけど、僕たちがいた場所からこのカラス神社は、北東の方向にある。
時計で言い換えるなら、乙女町は文字盤の《8》、カラス神社やコスモ小学校は《2》の方向。ミチルが言った天川ってのは天秤池町、つまり文字盤の《9》――北西の方向なんだ。
腕時計の時刻は午後四時を回っている。
「どうする? 今からだと時間的にもきびしいよ?」
僕は紅葉に意見を求めた。
「そうね、じゃあ今日はここから近いコスモ小を探しましょ! あたしも学校で被害にあってるから、可能性がないわけじゃないわ」
僕たちは肯き、コスモ小へと向かった。
遊歩道から神社入口に回り、石畳の上を歩いていく。神社までの石畳の両脇の茂みの中を注意深く見ながら僕たちは神社の本堂の前までやって来ていた。数羽のカラスが、仲間に自分たちのテリトリーに侵入者が入ってきたことを告げるように鳴き声をあげている。
「見て! 猫がいる!」
マルコが指さした先には、数匹の猫がひなたぼっこを楽しむように、横一線に並んでじっとしていた。でもその中に、黒猫は一匹も見当たらない。
「とりあえず、神社とその周りを探してみるわよ」
そう言って紅葉は、本堂の裏手へと小走りにかけていった。
それほど大きくない神社の周辺を、グルリと一周回って、僕は再び神社の境内へ入る。
「周辺にはいなかったよ」
まだ境内で探しているみんなに僕が声をかけると、みんなも収穫はゼロのようだった。
「猫はいたけど、どれもスカーフェイスじゃなかったよ」
残念そうにマシュマロがこぼす。
「ひょっとしたら、天川の方だったのかも?」
ミチルがつぶやく。
僕たちは獅子丘町から西の乙女町へと歩いてきた。途中ミチルのお父さんに話を聞いて、このカラス神社へやって来たわけだけど、僕たちがいた場所からこのカラス神社は、北東の方向にある。
時計で言い換えるなら、乙女町は文字盤の《8》、カラス神社やコスモ小学校は《2》の方向。ミチルが言った天川ってのは天秤池町、つまり文字盤の《9》――北西の方向なんだ。
腕時計の時刻は午後四時を回っている。
「どうする? 今からだと時間的にもきびしいよ?」
僕は紅葉に意見を求めた。
「そうね、じゃあ今日はここから近いコスモ小を探しましょ! あたしも学校で被害にあってるから、可能性がないわけじゃないわ」
僕たちは肯き、コスモ小へと向かった。
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