お役御免の二代目聖女は異国の毒舌魔法師の手を握る。



 神の声を聴き、人々に繁栄と安寧を捧げる存在――聖女。

 純潔を守り、誰か一人に愛を注ぐことなく万民を公平に愛し、神の声を邪心を持たずそのまま民に届けることが出来る稀有な心を持った存在として、私は初代の聖女様に認めて頂いた。私は聖女様と国の期待に応える為、あらゆる欲を我慢して我慢して修行に修行を重ねて、神の為に身も心も捧げた。
 先代聖女様はそんな私に安心して立場を任せて下さったし、神も私に言葉を掛けて下さった。
 
 認めて、下さったのだ。私という存在を。

 なのに。なのになのになのに。


「レスティア。最早貴様は聖女に相応しくない。聖女に真に相応しいのは、エリスだ。君の聖女としての身分をはく奪し、王城から追放する!!!」


 何故?何故、第1王子殿下は私をそんな恐ろしい目でご覧になるの?何故かつての家族は私をそんなに疎ましいと言いたげな目で。

 王子殿下の背後に隠れるようにして私を見つめる3代目が、正面に立つ私だけに見えるようにして嗤う。すぐさま悲し気な顔を取り繕って「神のご意思ですわ。先代様」と宣う少女のなんと高慢な事か。


 あぁ、赦しがたい。偉大なる神の言葉を騙るなんて。そんな女の言葉を信じるなんて。


 いいわ、良いわ。もう。


「承知いたしましたわ。神が私を要らぬとおっしゃるのでしたら、そのように」


 絶対、赦しませんから。
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