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26 アーヴァルの出した条件
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邸宅の玄関ドアを開けると、ずっと待ち構えていたのか執事長を筆頭に使用人が数名、「おかえりなさいませ」とロビーでズラリと並んで頭を下げた。
アーヴァルは執事長に小声で何かを耳打ちしチラッとレイズンの方を横目で見やると、執事長が頷き返し、すぐ使用人に指示を与え、レイズンを風呂場に連れていく。
風呂場では侍女がすでに2名ほど待機しており、レイズンが呆気に取られている間、あれよあれよと着ている衣服は取り去られ、丸裸にされてしまった。
自分でできると伝えてもまったく聞いて貰えず、頭のてっぺんからつま先までと隅から隅まで、彼女たちの手で洗い清められ、仕上げにと女性のように香油まで全身しっかり塗り込まれてしまった。
そして着ていた衣服は取り上げられ、代わりに上質なガウンを着せられると、次の部屋へ連れてこられた。
そこは食堂で、広いテーブルにスープやパンなどの食事が用意され、椅子に座ると、使用人がレイズンに食事をするように促す。
意外にもメインの皿にはチーズやハムなど貴族の家の食事にしては簡素で、邸宅の料理人が慌てて準備したことが窺える。だがむしろレイズンには堅苦しくなくこれくらいが食べやすくていい。
それにさすがはアーヴァルお抱えの料理人だけあって、使っている食材はどれも上等で、盛り付けですら芸術作品のように美しい。
どう崩して食べてるものか、フォークを持ったまま思案してしまうほどだ。
「慌ててお食べにならなくても大丈夫ですよ」
「いや、でも……」
「アーヴァル様も今お食事とご入浴をしております。まだ時間がかかりますので、どうぞごゆっくりと。お飲み物にはお酒もございますが、いかがでございますか」
お酒と聞いて、レイズンは思わず飛びつきそうになるのをグッと堪えた。
今日はいろいろあったのだし、酒でも飲んで憂さを晴らしたい気分なのだが、さすがにこれから騎士団長と話をする予定があるのに、酒が入るのはまずいだろう。
そう我慢していると、顔に出ているのか給仕をしてくれている使用人が少し微笑んで「大丈夫ですよ。アーヴァル様からお出しするようにと仰せつかっておりますので」と、写実的な花の模様が施されたカップに、芳しい花のような甘い香りのする桃色の酒を注いでくれた。
普段飲んでいる酒に比べると物足りないくらい弱い酒だったが、それはとても芳醇でとろけるほど甘く、甘味好きのアーヴァルらしい酒だなとレイズンは思った。
鼻を抜ける芳香が先ほどまでの緊張をほぐし、ふーっと体の力を抜いてくれる。
「……美味い」
「よろしければお注ぎしますよ」
飲み干すと次が注がれ、なるほどこれなら軽食で十分だと納得した。
酒好きで甘いものが好きなレイズンに配慮された食事なのだろうかと一瞬考えたが、アーヴァルがそこまでレイズンに気を配るとは思えない。
だからこのメニューは、きっと偶然なのだろう。
それでもここでの食事は、傷ついたレイズンの心を少しばかり癒してくれる。
アーヴァルが部屋へ戻ったとの知らせが来るまで、レイズンはゆっくり食事を楽しんだ。
ーーーー
「アーヴァル様、お客様をお連れいたしました」
そう案内係の使用人が告げると、アーヴァルの部屋にいた使用人すべてが退出し、部屋の主とレイズンだけが残された。
広い広いアーヴァルの部屋。
室内には寝そべりたくなるほどしっとりと手触りの良い毛足の長い絨毯が一面に敷かれ、壁の中央には天蓋付きの大きなベッド、その周囲には高級そうな机や椅子などの家具が配置されている。
そしてこの部屋の中は、アーヴァルの普段つけている、あの独特な重い香水の匂いが充満していた。
レイズンは風呂上がりに着せられたガウン姿のまま、どうしたらいいか分からず、入ってきたドアを背に立ちすくんでいた。
緊張しているのか、それともこのキツイ匂いのせいか、ひどく動悸がする。
「食事は口にあったか」
アーヴァルもまたその逞しい体にガウンを纏わせ、サイドテーブルに置いてあった酒の入った銀のカップを手に持つと、ベッドのヘッドレストに背を預けるようにして寝そべった。
「あ、はい。とても美味しかったです。ありがとうございました」
「出された酒も飲んだそうだな」
「お酒も甘くて美味しかったです」
「口にあって何よりだ」
素直に返事を返すレイズンを見て、アーヴァルはくくとおかしそうに笑った。
「……お前は本当に疑うことを知らんな」
「……? あの、お話とは……」
「レイズン、俺が騎士団に戻るには、まだ条件があると言ったのを覚えているか」
「はい」
当たり前だ。レイズンはそれを聞くために今ここに来たのだから。
「条件は1つ。俺を満足させること。それだけだ」
言っている意味がわからず、レイズンはポカンとした。
「……は……? それはどういう……」
「分からないか? 鈍いやつだ」
ニヤリと嫌な笑みを浮かべるアーヴァル。
「この部屋はなんだ? なぜそんな格好で呼ばれたのだと、お前は思うんだ?」
ここは客間でもなく、アーヴァルのベッドルーム。
そして人前に出るには失礼ともいえる素肌にガウンといった風呂上がりそのままの姿で、ここに呼ばれた理由。それは——
サーッとレイズンの顔が青ざめる。
騎士団に戻る条件とは、アーヴァルと寝ること。そういうことなのか。
風呂で頭の先から足の爪の先まで、ピカピカになるまで磨かれ、まるで女性のように香油を塗りたくられたのも、すべてこのため。
レイズンは、正式な客としてもてなされた訳ではなかったのだ。
「あ、あの、俺……」
「簡単なことだ。俺を満足させるだけでいい。騎士団に戻れるし、ハクラシスの側にだっていられる」
「でも、俺はまだ騎士団に籍があるって……」
「だからどうした。お前を所属させるかは俺の判断次第だ。まだお前の復帰は無理だと俺が言えば、騎士団には戻れない。そうだろう?」
アーヴァルはくくっと意地悪そうに目を細め笑った。
「お前を騎士団に戻して、俺になんの得があるんだ? 何の功績もない、まだ下位の平騎士の分際で。お前は俺と取引きできるほどの価値が、自分にあると思っているのか? だとしたら大した驕りだな。お前にできることは、閨でおれを満足させることだけだ」
レイズンは下を向いて、ガウンの前を掻き合わせて握りしめた。
そうだ、アーヴァルという人はこういう人だったと、改めて噛み締める。
最初に会ったときからそうだったではないか。この男は最初からレイズンを男娼扱いしていた。
弓をくれたり、ハクラシスのことで相談に乗ってくれたりと、一見甘く優しい面も持ち合わせているが、裏では何を考えているのか分からないのが、この男なのだと。
……しかし今のレイズンには、アーヴァルに頼る以外手がないのだ。
じっと俯くレイズンにアーヴァルは「脱いでこっちへ来い」と命じた。
レイズンは握りしめた手を離し、ガウンをその場で脱ぎ落とした。
そして俯いたまま、ゆっくりとベッドに近づいた。
「ん……、くっ…………あ……」
レイズンはうつ伏せの姿勢で尻を高く上げ、耐えるようにシーツを握りしめていた。
背後からアーヴァルのその太く使い込まれたペニスが押し込まれ、レイズンは感じまいと必死に声を押し殺す。
だがそうやって耐えることが逆効果であることをレイズンは知らない。
耐えれば耐えるほど力が入り、狭く敏感になっていく肉壁を、アーヴァルのエラの張ったカリ首が抉るように擦り上げる。
レイズンはあまりの快感に唸るように声を漏らした。
「くっ……う………あっ……!」
「なんだ、えらく狭いな。あれから一人でもやっていないのか」
レイズンはシーツに顔を埋めるようにして、頷いた。
ハクラシスは出立するまでの一週間、毎日一緒に寝てはくれたが、あの媚薬事件で酷使したレイズンの体を気遣ってか張型を使うことはなかった。
そして一人になってからもレイズンは張型を上手く使えず、結局自慰で後ろは殆どいじることはなかった。
「くくっ、まるで処女だな」
「ひっ……あ…………っ」
アーヴァルが奥へと挿入しやすいようにレイズンの体を横向きにし、片足を抱え上げた。
そして味わうかのように、ゆっくりと浅く何度も引き抜いては突いて、狭く閉じた肉壁をこじ開けるかのように押し進めていく。
どうせなら無理矢理乱暴に動いて、さっさとおわらせてくれればいいものをと、レイズンは心の中で毒づく。
アーヴァルがゆっくりと時間をかけて抽挿するせいで、自身の中にアーヴァルの硬く太いものが入っていることを、レイズンはいやでも認識させられる。
「……く……あ……んんっ、いやだ……!」
アーヴァルがその分厚い肉体を、のしかかるようにして密着させる。そして腰をゆるゆると動かしながら、片手で内太腿から陰囊を擦り、そしてしっかり勃ちあがったレイズンのペニスを撫であげた。
「ここは正直だな。嫌がりながら感じる様は、なかなかくるものがある」
アーヴァルに撫でられてはじめてレイズンは、自身のモノが勃っていることに気がついた。
耳元で揶揄するように囁かれ、羞恥で顔から火が出そうになる。感じたくないのに体は反応してしまい、まるで心と体が切り離されたようだった。
だが一度その快楽を認識してしまえば、もう抗うことはできない。
「あっ……あっ……、いやだ、あ……くぅ……っ……!」
徐々に激しくなる抽挿に、レイズンは次第に快感に支配されていく。頭の中は蕩け、込み上げてくる極地感に神経が集中し、アーヴァルの意地の悪い言葉ですら耳に入らないほどだ。
「ひ……あ"っ!!」
張型では届かない奥を思い切り抉られ、レイズンの体はビクンと大きく跳ね、仰け反った。
それと同時にくっというアーヴァルの喉奥で呻くような声。
最奥にアーヴァルの種が注がれるのを感じながらレイズンは、久々の激しい射精感に、荒い息を吐きながらぐったりとシーツに体を沈めた。
アーヴァルは一度の射精程度では萎えないのか、まだレイズンの中で達した直後の締め付けを愉しむように、ゆっくりとヌプヌプと音を立てながら抜き差しを繰り返している。
「……お前が俺とこうしている姿を、奴が見たらどう思うだろうな」
アーヴァルがそう、なぜだか嬉しそうに、熱い吐息とともにレイズンの耳元で囁く。
アーヴァルの太い腕の中でレイズンは、快楽から抜けきれない頭でぼんやりとおかしそうに声を押し殺して笑うアーヴァルの言葉を聞いていた。
アーヴァルは執事長に小声で何かを耳打ちしチラッとレイズンの方を横目で見やると、執事長が頷き返し、すぐ使用人に指示を与え、レイズンを風呂場に連れていく。
風呂場では侍女がすでに2名ほど待機しており、レイズンが呆気に取られている間、あれよあれよと着ている衣服は取り去られ、丸裸にされてしまった。
自分でできると伝えてもまったく聞いて貰えず、頭のてっぺんからつま先までと隅から隅まで、彼女たちの手で洗い清められ、仕上げにと女性のように香油まで全身しっかり塗り込まれてしまった。
そして着ていた衣服は取り上げられ、代わりに上質なガウンを着せられると、次の部屋へ連れてこられた。
そこは食堂で、広いテーブルにスープやパンなどの食事が用意され、椅子に座ると、使用人がレイズンに食事をするように促す。
意外にもメインの皿にはチーズやハムなど貴族の家の食事にしては簡素で、邸宅の料理人が慌てて準備したことが窺える。だがむしろレイズンには堅苦しくなくこれくらいが食べやすくていい。
それにさすがはアーヴァルお抱えの料理人だけあって、使っている食材はどれも上等で、盛り付けですら芸術作品のように美しい。
どう崩して食べてるものか、フォークを持ったまま思案してしまうほどだ。
「慌ててお食べにならなくても大丈夫ですよ」
「いや、でも……」
「アーヴァル様も今お食事とご入浴をしております。まだ時間がかかりますので、どうぞごゆっくりと。お飲み物にはお酒もございますが、いかがでございますか」
お酒と聞いて、レイズンは思わず飛びつきそうになるのをグッと堪えた。
今日はいろいろあったのだし、酒でも飲んで憂さを晴らしたい気分なのだが、さすがにこれから騎士団長と話をする予定があるのに、酒が入るのはまずいだろう。
そう我慢していると、顔に出ているのか給仕をしてくれている使用人が少し微笑んで「大丈夫ですよ。アーヴァル様からお出しするようにと仰せつかっておりますので」と、写実的な花の模様が施されたカップに、芳しい花のような甘い香りのする桃色の酒を注いでくれた。
普段飲んでいる酒に比べると物足りないくらい弱い酒だったが、それはとても芳醇でとろけるほど甘く、甘味好きのアーヴァルらしい酒だなとレイズンは思った。
鼻を抜ける芳香が先ほどまでの緊張をほぐし、ふーっと体の力を抜いてくれる。
「……美味い」
「よろしければお注ぎしますよ」
飲み干すと次が注がれ、なるほどこれなら軽食で十分だと納得した。
酒好きで甘いものが好きなレイズンに配慮された食事なのだろうかと一瞬考えたが、アーヴァルがそこまでレイズンに気を配るとは思えない。
だからこのメニューは、きっと偶然なのだろう。
それでもここでの食事は、傷ついたレイズンの心を少しばかり癒してくれる。
アーヴァルが部屋へ戻ったとの知らせが来るまで、レイズンはゆっくり食事を楽しんだ。
ーーーー
「アーヴァル様、お客様をお連れいたしました」
そう案内係の使用人が告げると、アーヴァルの部屋にいた使用人すべてが退出し、部屋の主とレイズンだけが残された。
広い広いアーヴァルの部屋。
室内には寝そべりたくなるほどしっとりと手触りの良い毛足の長い絨毯が一面に敷かれ、壁の中央には天蓋付きの大きなベッド、その周囲には高級そうな机や椅子などの家具が配置されている。
そしてこの部屋の中は、アーヴァルの普段つけている、あの独特な重い香水の匂いが充満していた。
レイズンは風呂上がりに着せられたガウン姿のまま、どうしたらいいか分からず、入ってきたドアを背に立ちすくんでいた。
緊張しているのか、それともこのキツイ匂いのせいか、ひどく動悸がする。
「食事は口にあったか」
アーヴァルもまたその逞しい体にガウンを纏わせ、サイドテーブルに置いてあった酒の入った銀のカップを手に持つと、ベッドのヘッドレストに背を預けるようにして寝そべった。
「あ、はい。とても美味しかったです。ありがとうございました」
「出された酒も飲んだそうだな」
「お酒も甘くて美味しかったです」
「口にあって何よりだ」
素直に返事を返すレイズンを見て、アーヴァルはくくとおかしそうに笑った。
「……お前は本当に疑うことを知らんな」
「……? あの、お話とは……」
「レイズン、俺が騎士団に戻るには、まだ条件があると言ったのを覚えているか」
「はい」
当たり前だ。レイズンはそれを聞くために今ここに来たのだから。
「条件は1つ。俺を満足させること。それだけだ」
言っている意味がわからず、レイズンはポカンとした。
「……は……? それはどういう……」
「分からないか? 鈍いやつだ」
ニヤリと嫌な笑みを浮かべるアーヴァル。
「この部屋はなんだ? なぜそんな格好で呼ばれたのだと、お前は思うんだ?」
ここは客間でもなく、アーヴァルのベッドルーム。
そして人前に出るには失礼ともいえる素肌にガウンといった風呂上がりそのままの姿で、ここに呼ばれた理由。それは——
サーッとレイズンの顔が青ざめる。
騎士団に戻る条件とは、アーヴァルと寝ること。そういうことなのか。
風呂で頭の先から足の爪の先まで、ピカピカになるまで磨かれ、まるで女性のように香油を塗りたくられたのも、すべてこのため。
レイズンは、正式な客としてもてなされた訳ではなかったのだ。
「あ、あの、俺……」
「簡単なことだ。俺を満足させるだけでいい。騎士団に戻れるし、ハクラシスの側にだっていられる」
「でも、俺はまだ騎士団に籍があるって……」
「だからどうした。お前を所属させるかは俺の判断次第だ。まだお前の復帰は無理だと俺が言えば、騎士団には戻れない。そうだろう?」
アーヴァルはくくっと意地悪そうに目を細め笑った。
「お前を騎士団に戻して、俺になんの得があるんだ? 何の功績もない、まだ下位の平騎士の分際で。お前は俺と取引きできるほどの価値が、自分にあると思っているのか? だとしたら大した驕りだな。お前にできることは、閨でおれを満足させることだけだ」
レイズンは下を向いて、ガウンの前を掻き合わせて握りしめた。
そうだ、アーヴァルという人はこういう人だったと、改めて噛み締める。
最初に会ったときからそうだったではないか。この男は最初からレイズンを男娼扱いしていた。
弓をくれたり、ハクラシスのことで相談に乗ってくれたりと、一見甘く優しい面も持ち合わせているが、裏では何を考えているのか分からないのが、この男なのだと。
……しかし今のレイズンには、アーヴァルに頼る以外手がないのだ。
じっと俯くレイズンにアーヴァルは「脱いでこっちへ来い」と命じた。
レイズンは握りしめた手を離し、ガウンをその場で脱ぎ落とした。
そして俯いたまま、ゆっくりとベッドに近づいた。
「ん……、くっ…………あ……」
レイズンはうつ伏せの姿勢で尻を高く上げ、耐えるようにシーツを握りしめていた。
背後からアーヴァルのその太く使い込まれたペニスが押し込まれ、レイズンは感じまいと必死に声を押し殺す。
だがそうやって耐えることが逆効果であることをレイズンは知らない。
耐えれば耐えるほど力が入り、狭く敏感になっていく肉壁を、アーヴァルのエラの張ったカリ首が抉るように擦り上げる。
レイズンはあまりの快感に唸るように声を漏らした。
「くっ……う………あっ……!」
「なんだ、えらく狭いな。あれから一人でもやっていないのか」
レイズンはシーツに顔を埋めるようにして、頷いた。
ハクラシスは出立するまでの一週間、毎日一緒に寝てはくれたが、あの媚薬事件で酷使したレイズンの体を気遣ってか張型を使うことはなかった。
そして一人になってからもレイズンは張型を上手く使えず、結局自慰で後ろは殆どいじることはなかった。
「くくっ、まるで処女だな」
「ひっ……あ…………っ」
アーヴァルが奥へと挿入しやすいようにレイズンの体を横向きにし、片足を抱え上げた。
そして味わうかのように、ゆっくりと浅く何度も引き抜いては突いて、狭く閉じた肉壁をこじ開けるかのように押し進めていく。
どうせなら無理矢理乱暴に動いて、さっさとおわらせてくれればいいものをと、レイズンは心の中で毒づく。
アーヴァルがゆっくりと時間をかけて抽挿するせいで、自身の中にアーヴァルの硬く太いものが入っていることを、レイズンはいやでも認識させられる。
「……く……あ……んんっ、いやだ……!」
アーヴァルがその分厚い肉体を、のしかかるようにして密着させる。そして腰をゆるゆると動かしながら、片手で内太腿から陰囊を擦り、そしてしっかり勃ちあがったレイズンのペニスを撫であげた。
「ここは正直だな。嫌がりながら感じる様は、なかなかくるものがある」
アーヴァルに撫でられてはじめてレイズンは、自身のモノが勃っていることに気がついた。
耳元で揶揄するように囁かれ、羞恥で顔から火が出そうになる。感じたくないのに体は反応してしまい、まるで心と体が切り離されたようだった。
だが一度その快楽を認識してしまえば、もう抗うことはできない。
「あっ……あっ……、いやだ、あ……くぅ……っ……!」
徐々に激しくなる抽挿に、レイズンは次第に快感に支配されていく。頭の中は蕩け、込み上げてくる極地感に神経が集中し、アーヴァルの意地の悪い言葉ですら耳に入らないほどだ。
「ひ……あ"っ!!」
張型では届かない奥を思い切り抉られ、レイズンの体はビクンと大きく跳ね、仰け反った。
それと同時にくっというアーヴァルの喉奥で呻くような声。
最奥にアーヴァルの種が注がれるのを感じながらレイズンは、久々の激しい射精感に、荒い息を吐きながらぐったりとシーツに体を沈めた。
アーヴァルは一度の射精程度では萎えないのか、まだレイズンの中で達した直後の締め付けを愉しむように、ゆっくりとヌプヌプと音を立てながら抜き差しを繰り返している。
「……お前が俺とこうしている姿を、奴が見たらどう思うだろうな」
アーヴァルがそう、なぜだか嬉しそうに、熱い吐息とともにレイズンの耳元で囁く。
アーヴァルの太い腕の中でレイズンは、快楽から抜けきれない頭でぼんやりとおかしそうに声を押し殺して笑うアーヴァルの言葉を聞いていた。
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