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17 *レイノルズside

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「いい加減にしてくれ!」

 オルレアン国の王城に木霊する叫び声。
 叫び声の主はレイノルズだ。
 王城の会議室で、レイノルズの処遇を議論している。
 レイノルズのここ最近の醜聞に、廃位を求める声が日に日に増していて、等々議会にも議論する事になったのだ。
 レイノルズ本人は廃位する気等全く無く、サブリナと離縁すれば解決すると思っている。
 しかし、議会に参加している貴族達は、レイノルズが廃位をしないなら、サブリナとの離縁も承認しない、というもの。
 要は、サブリナが戻り、レイノルズをすれば良い、との考えだ。
 レイノルズを廃位にするとなると、王城血縁者の中から選ぶ事になり、適任者を出すには、政権争いの火種を起こしてしまう。中にはそれで良い、と案もあるのだが、話が纏まりが悪かった。
 何故なら、議会を取り仕切る議長である貴族の1人が行方不明だからだ。
 そう、サブリナの父、ユーザレスト公爵も亡命しているのである。

「サブリナ王太子妃も話に加わって頂きたいのだが………王太子殿下が追い出したと言うではないか………」
「父君のユーザレスト公爵も行方不明」
「長男のマイル卿も行方不明だ………如何なっているんですか!王太子殿下!」
「知らん知らん!俺はパサ宮殿にも帰らせてくれないんだ!俺はサブリナを追い出してない!出て行く所も見ていないんだからな!」

 サブリナが亡命した後、パサ宮殿を捜索を勿論していた。
 サブリナの使用している物は殆ど残されたままで、生活感ある部屋ではあったが、整理整頓されていて、サブリナの性格が物語っている。
 物が無くなっている様子も無い事から、如何してだろうと、捜索した衛兵達がパサ宮殿の侍従に聞けば、それもレイノルズが離縁を要求していた時に、サブリナにはパサ宮殿の物を持ち出して出て行くな、と言っていた事ももう知られている。
 よって、レイノルズにサブリナは追い出された、という認識にオルレアン国ではされたのだ。

「ご一緒に住まわれていて気配も感じられなかったのですか」
「おい、その日はクロレンス侯爵の未亡人と………フロム侯爵家で………」
「…………あぁ……浮気を………」
「う、浮気じゃない!本気でミューゼを愛している!だからサブリナと離縁したいんだ!」
「お気の毒としか言えぬな」
「全くです」
「そうだろう?俺が気の毒だと思わんか?離縁をさせて貰えず、サブリナは俺を立てる事も出来ない冷たい女だった!可哀想だろ!」
「「「いえ、お気の毒なのは王太子妃殿下の方です」」」
「…………な……」

 貴族達も分かっている。
 レイノルズが仕事をしない事を。
 その代わり、サブリナが朝から夜遅く迄、王城に詰めて、レイノルズの代行として執務を行っていた事を。
 その事でレイノルズを蔑ろにした事を口には出す事もあるが、レイノルズが愛人をパサ宮殿に囲み、レイノルズがパサ宮殿に居て、サブリナが王城で時間を過ごすのは、レイノルズとミューゼの2人の仲睦まじくしている姿を見たくないから、とも取れるのだ。
 同じ様に、分担して仕事をしていれば、サブリナもレイノルズとの時間も取れる筈で、分かり合えたと貴族達は思っている。
 実際はそうではないのに。
 もう、レイノルズを庇う貴族は居ないかもしれない。

「国王陛下がお越しになりました」
「オルレアンの太陽に栄光あれ」

 遅れて国王も会議室にやって来る。
 サブリナが亡命してからというもの、少し窶れた国王。
 心労が溜まっている様子だった。

「お顔の色が優れませんが、陛下」
「…………皆まで言うな………分かっておろう?王太子の愚行の数々で、余は疲れておる」
「父上!ですから直ぐに離縁の承認をして頂ければ、直ぐにでも再婚しますから!」
「…………はぁ……何度言えば分かるのだ、其方は………またその再婚相手が、あの未亡人と等吐かすつもりか?」
「えぇ!連れて来ますよ」
「…………サブリナの願いで、其方の廃位の考えを、其方の仕事振りで判断して欲しい、と伝えられたが、其方には無理な様だな………民衆も其方に見切りを付けて来ているのを知らぬ訳ではあるまい?」
「そんな物は放っておけば良いのです。俺が挽回しますから」
「如何やって?」
「先ず、後継者問題で俺はミューゼと再婚し、子供を作ります。民衆はそれで不安は無くなるのではないですかね」
「「「「「……………」」」」」

 国王を含め、貴族達も呆気に取られている。
 確かにレイノルズにはサブリナとの子供が出来てはいない。身体的問題があるのだろう、と議会に挙げられかねなかった、サブリナとレイノルズの結婚期間。
 だが、その問題もあったとしても、レイノルズが着工させた欠陥工事をされた橋の問題から、レイノルズの恋人愛人問題で、民衆の心がレイノルズに離れたのに、着眼点が違う事をレイノルズが言うので、レイノルズ以外の者達は一斉に溜息を漏らしたのだった。
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