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Ⅱ
カーティスの決心
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「クリフとリアナのことか?」
僕はすぐに用件にぴんと来る。
「そうなの。カーティスもクリフの態度については思うところがあるでしょ?」
「ああ、恐らく彼は何が悪いのかすらよく分かってないだろうね」
「私もそう思う。だからリアナがこのまま彼に冷たい態度をとっていても、クリフ自身が改心しない限り状況は変わらないと思って」
イヴはリアナと親しいせいか、深刻な表情で話してくる。
僕はイヴと予想が一致してしまい、暗い気持ちになる。
「だからクリフと仲のいいカーティスから一度強く言ってみて欲しい」
「なるほど」
確かにこれまで普通に指摘したことはあったが、それではクリフが事の重大さに気づくことはなかった。だからこそ周りの人間が細かいことに文句を言ってくる、ぐらいにしか思っていないのかもしれない。
だが僕が本気で怒ればクリフもいい加減自分が悪いかもしれないと思うかもしれない。
「だが、もし僕が強く言ってもクリフが改心しなければ本当に二人の関係は終わってしまう。それでもいいのか?」
「うん、このままずるずる関係が続いてもクリフが改心するとは思えないし、リアナにとってもそれは悪いことだと思う」
さすがに直接的には言わないが、イヴはリアナがさっさとクリフと別れて次の恋に踏み出すべきだと思っているのだろう。
確かに僕がもう少しリアナと親しければ同じことを助言したかもしれない。
今のリアナは少しずつクリフから心が離れていっている様子はあるが、それでもクリフの改心を信じている様子がある。
もちろん相手を信じることはいいことだが、それにも限度がある。何かきっかけがなければ彼女はずっと信じ続けるだろう。
「分かった。それなら折を見て言ってみよう」
「ありがとう……ごめん、こんなこと頼んで」
イヴはそう言って僕に申し訳なさそうに頭を下げる。
「いや、僕も友人としてクリフの行いを苦々しく思っていたから」
それにクリフに対して献身的に接するリアナの様子を僕は見てきた。
僕は常にリアナのことを見ていた訳ではないし、クリフとリアナが二人きりでいる時間も長いだろうから、僕が見たのは一部に過ぎないだろう。
婚約者のためにそこまでのことが出来るリアナに僕は感心や賞賛、そして好意を抱いていた。
とはいえいきなりクリフに対して怒鳴り散らす訳にはいかない。
本気で彼のことを怒るのであれば何かきっかけのようなものが必要だろう。幸いもうすぐ試験が始まる。
ちらっと見た限りエルマはクリフの歓心を惹くための勉強会をしてはいるものの、クリフの勉強を教えるという意味での勉強会は行われていないだろう。クリフ一人で勉強が出来るのであればクリフの学力はあそこまで悲惨なことになってはいないだろうし、エルマがどの程度の学力を持っているのかは分からないが、彼女がクリフに気に入られようとしている以上、クリフに真面目に勉強を教えることがあるとは思えない。
そうなればクリフはリアナにもう一度泣きつくか、もしくは僕に頼んでくるだろう。とはいえ先ほどリアナにあそこまで言われてしまった以上もうリアナには頼みづらいと思う。
僕は基本的に体を動かしてばかりなので座学はそこまでだが、一応座学の成績も中の上ぐらいはキープしているから、赤点を回避するぐらいの勉強なら教えることも出来る。
となるとやはり頼み先は僕である可能性が高い。
そんな訳で僕はクリフの様子をいっそう注意してうかがうことにしたのであった。
僕はすぐに用件にぴんと来る。
「そうなの。カーティスもクリフの態度については思うところがあるでしょ?」
「ああ、恐らく彼は何が悪いのかすらよく分かってないだろうね」
「私もそう思う。だからリアナがこのまま彼に冷たい態度をとっていても、クリフ自身が改心しない限り状況は変わらないと思って」
イヴはリアナと親しいせいか、深刻な表情で話してくる。
僕はイヴと予想が一致してしまい、暗い気持ちになる。
「だからクリフと仲のいいカーティスから一度強く言ってみて欲しい」
「なるほど」
確かにこれまで普通に指摘したことはあったが、それではクリフが事の重大さに気づくことはなかった。だからこそ周りの人間が細かいことに文句を言ってくる、ぐらいにしか思っていないのかもしれない。
だが僕が本気で怒ればクリフもいい加減自分が悪いかもしれないと思うかもしれない。
「だが、もし僕が強く言ってもクリフが改心しなければ本当に二人の関係は終わってしまう。それでもいいのか?」
「うん、このままずるずる関係が続いてもクリフが改心するとは思えないし、リアナにとってもそれは悪いことだと思う」
さすがに直接的には言わないが、イヴはリアナがさっさとクリフと別れて次の恋に踏み出すべきだと思っているのだろう。
確かに僕がもう少しリアナと親しければ同じことを助言したかもしれない。
今のリアナは少しずつクリフから心が離れていっている様子はあるが、それでもクリフの改心を信じている様子がある。
もちろん相手を信じることはいいことだが、それにも限度がある。何かきっかけがなければ彼女はずっと信じ続けるだろう。
「分かった。それなら折を見て言ってみよう」
「ありがとう……ごめん、こんなこと頼んで」
イヴはそう言って僕に申し訳なさそうに頭を下げる。
「いや、僕も友人としてクリフの行いを苦々しく思っていたから」
それにクリフに対して献身的に接するリアナの様子を僕は見てきた。
僕は常にリアナのことを見ていた訳ではないし、クリフとリアナが二人きりでいる時間も長いだろうから、僕が見たのは一部に過ぎないだろう。
婚約者のためにそこまでのことが出来るリアナに僕は感心や賞賛、そして好意を抱いていた。
とはいえいきなりクリフに対して怒鳴り散らす訳にはいかない。
本気で彼のことを怒るのであれば何かきっかけのようなものが必要だろう。幸いもうすぐ試験が始まる。
ちらっと見た限りエルマはクリフの歓心を惹くための勉強会をしてはいるものの、クリフの勉強を教えるという意味での勉強会は行われていないだろう。クリフ一人で勉強が出来るのであればクリフの学力はあそこまで悲惨なことになってはいないだろうし、エルマがどの程度の学力を持っているのかは分からないが、彼女がクリフに気に入られようとしている以上、クリフに真面目に勉強を教えることがあるとは思えない。
そうなればクリフはリアナにもう一度泣きつくか、もしくは僕に頼んでくるだろう。とはいえ先ほどリアナにあそこまで言われてしまった以上もうリアナには頼みづらいと思う。
僕は基本的に体を動かしてばかりなので座学はそこまでだが、一応座学の成績も中の上ぐらいはキープしているから、赤点を回避するぐらいの勉強なら教えることも出来る。
となるとやはり頼み先は僕である可能性が高い。
そんな訳で僕はクリフの様子をいっそう注意してうかがうことにしたのであった。
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