雌汁  ― お股つたうは嬉し涙か はたまた尿か ―

余次元

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第四章 情愛を抱き合わせて

睦言

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冷えた牛丼を温め直して二人で食べる。

 結衣はまた服を着ようとしたが、圭司がそれを赦さなかった。

 お味噌汁の食器を洗う時だって、後ろから突いて来ようとするのだ。



 煩わしいながらも、やっぱり求めてくれていることが嬉しくて、結衣は膣口で、圭司の亀頭にキスしてみせたりした。無論、それだけで済む筈はなかったのだが。



 片付けが終わったら、ふたりでベッドに入った。圭司の腕枕からはむせ返るように男の匂いがした。キスをして、互いの乳首を弄んで、お互いの話をした。たくさん性行為をした割りに、恋人と言うには、互いのことを知らなさ過ぎた。



「ほんとは、春香のことが好きだったんでしょ」



 ストレートな物言いに圭司は返答に困っていた。

 春香はふくよかで、優しそうで、おっぱいも大きかった。逆に結衣はスレンダーでおっぱいも大きくはない。比べるとどうしても女らしさにかける自覚があった。



「かわいい女の子達がいるけど、話かけられないなって思っていたんだよ。好き‥まではいってなかったけど、お近づきにはなりたかったかな‥」

「今は結衣の虜だよ」



 圭司が最後の言葉を冗談めかして言う。結衣にはそれが取ってつけたように感じられて不満だった。



「言質とったんだから‥ね」



 我ながら重い女だと思いながらも、浮かんだ言葉が口から出るのを止められなかった。



 結衣がバイトを始めた経緯、霜次郎の薬のこと、春香の痴漢の話、圭司の毛髪とDNA検査の結果、圭司の性癖の話と、そのはじまりになったエピソードを話した。それが終わったら、大学の選考のこと、地元の話、好きな漫画や音楽の話。濃密なセックスに追いつくように、お互いのことを知りつくそうとするように、話をして、また逢瀬を重ねた。

 



「ねぇ、あのバイトやめてよ。他の人に見せたくない」



「うん。わたしも、そう思ってた‥」

「‥ただ‥ね。春香が‥痴漢にあって、精神的に続けられないってなった時に、友人のわたしに埋め合わせをお願いされたって経緯があって‥‥突然はちょっと辞めづらいんだ‥‥」

「薬のこともあるし、ちょっと合法性が怪しいっていうか、なんだか怖くて、流されてしまったんだけど、もしかしたら一緒に来てってお願いするかも‥」



「うん。またついて行くから、いつでも言ってよ」



 その日はそのまま二人で眠る。圭司の匂いに包まれていた。

 朝起きて、おしっこするところを覗かれて、硬くした圭司の男を、結衣の女の中で慰めた。冷凍庫にあったパンをトーストして食べた。その日は二人とも予定がなかったので、圭司のスマートフォンをテレビに接続して、サブスクリプションの動画配信サービスで一日ずっと映画を見て、またセックスした。避妊具は付けてもらった。

 トイレの度に覗こうとするのは止めて欲しかった。そのため、結衣は小用の度に圭司との情事を連想するようになってしまった。



 二人が恋人になって程なくして、結衣にまたバイトの連絡があった。

 圭司もついてきてくれた。近くの喫茶店で待ってくれているという。心強く感じた。





「今日は、前回とちょっと違った趣向で行きます」



 バイト先に着くと、霜次郎から今日の分の薬と新しい衣装を渡される。

 オープンクロッチのショーツだった。履いたところで、一番隠すべきところが文字通り”オープン”になっている。



「これを履いてもらって、今日は直にお客さんのお口におしっこしてあげてくださーい」



 霜次郎の説明に、げんなりとしてしまう。ペットボトルの方がマシかと言われると、そうではないが。世の中、変態ばかりだと思った。



(帰り際に、一度霜次郎さんに相談しよう。どうせなら圭司にも同席してもらおう‥)



 歩くたびに、クロッチからはみ出る陰毛の上を風が撫でる。その度に羞恥心が煽られ、早期に辞める決意をより強固なものにさせた。



 件の路地裏で客を待つ。今日のお客はどんな人だろうかというのは結衣の興味の範囲外だ。早く終わらせて帰りたかった。まさかまた知り合いが来るなんてことはないだろう。

 

 霜次郎の合図で振り返ると、まさかのまさか、客の顔に見覚えがある。結衣の顔が引き攣った



「なんと、今日のお客さんはリピーターのぉ‥」



 霜次郎が溜めを作る。



「圭司くんでーすっ!」



「なんで、あんたまた居るのよっ。さっき何も言わなかったじゃないっ」



「霜次郎さんから新しい趣向があるとお聞きまして‥」



「もぉ~、ばかぁー」



 圭司にの非難の声をぶつける。

 彼と付き合うことになったのを軽く後悔した。



「知り合いとは言え、お客さんなんだからねぇ」



 霜次郎の指導が入る。今日のバイトもまた、あの口上から始まるのだった。



「‥どうぞ、ご覧くださぃ‥‥」



 結衣の虚ろな口上とともに、路地裏に排泄の音が響いた。
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