聖女の婚約者と妹は、聖女の死を望んでいる。

 聖女エリノアには、魔物討伐部隊隊長の、アントンという婚約者がいる。そして、たった一人の家族である妹のリビーは、聖女候補として、同じ教会に住んでいた。

 エリノアにとって二人は、かけがえのない大切な存在だった。二人も、同じように想ってくれていると信じていた。

 ──でも。


 「……お姉ちゃんなんか、魔物に殺されてしまえばいいのに!!」

「そうだね。エリノアさえいなければ、聖女には、きみがなっていたのにね」


 深夜に密会していた二人の会話を聞いてしまったエリノアは、愕然とした。泣いて。泣いて。それでも他に居場所のないエリノアは、口を閉ざすことを選んだ。


 けれど。

 ある事件がきっかけで、エリノアの心が、限界を迎えることになる。


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