隠蔽 御前会議 「この会議に議事録は存在しない!」

 この小説はノンフィクションの物語である。
 現在、快適な旅行を楽しむことが出来る移動手段は陸上の鉄道列車であり、空の航空旅客機である。
しかし、過去に実際にあった事故がある。
新幹線の車輪を動かす車軸である。また、航空旅客機では、金属疲労という言葉まである。
 この物語はこれから実際に起こり得るこれら移動手段を担う業界を題材にした物語である。
 日本国内で有名なZERO旅客鉄道の物語である。
 師走のある日、この会社で経営トップだけの会議、所謂、『御前会議』が開かれた。
この会議の開催目的は、ZERO旅客鉄道始まって以来の大スキャンダルであった。
それは旅客内の各車両内の旅客座席に使用されているネジの強度不足が社内の内部告発の一通の電子メールで発覚したのである。
その事を議題にした大変重要な会議であった。
「御前様が来られました。全員、御起立願います。」
会議室にいた全員が起立した。
秘書の田嶋良樹(38歳)がドアを開いた。
伊集院正樹(66歳)が会議室に入って来た。
この会議の議長である。所謂『御前様』である。
正式にはZEROグループ総帥兼CEOである。
この会議に出席したメンバーはZEROグループ各社の代表取締役社長、各社の技術担当取締役、そして内部告発をした近藤俊彦(35歳)営業係長であった。
総勢10名の会議であった。
 内部告発者近藤の話しを聞いた御前会議に出席していたメンバーたちは、その内容に驚いた。
「今すぐ、リコールを発表するべきである」と主張する役員、
「このリコールを発表すれば、我が社に2500億円の費用負担が発生し、倒産になりかねない。この強度不足は公表すべきでない」と、意見が真っ二つにわかれた。
最終判断はこの会議の議長つまり、御前様に一任された。
御前様の伊集院が最終決断をした。
「この件は私が預かる。この会議の議事録は存在しない。」
全員、起立して御前様に深々と頭を下げた。

 この物語の始まりである。
 この物語はフィクションです。
この物語に登場する人物、団体等が、実際に同じものであっても一切関係ありません。
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