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俺の口吸い彼女の甘噛み
★11
しおりを挟む食事を終えたり後片付けを済ませたら流石にお互い「いつもの雰囲気」では居られなくなる。
夏実だってさっきまで静華の話を嬉々として「料理を教えてもらうのは楽しい」と俺に笑顔で話していたり、「コスプレしたままキッチンで片付けしてるの変だけど2人でこうしてると本当に吸血鬼の夫婦って感じ」と軽くはしゃいでいた癖に、今では食事する時に飲んだノンアルコールワインのボトルとグラスを手にして何やらモジモジしている。
「どうした?夏実」
一応はそう呼びかけるが、彼女の表情やモジモジでなんとなくその理由は予想出来ていた。
「私はさっき、こっちじゃなくてグレープジュースの方を飲んだから……だから、こっちも少し飲んでみてもいい?」
「夏実も飲んでみたかったのか?」
そのノンアルコールワインのボトルは、静華が俺の為にショッピングモール内のリカーショップで見つけて買ってきてくれたものだった。
法律的には未成年である夏実が飲んでもOKらしいのだが、ワインテイスト飲料を未成年に飲ますのは倫理的に良くないかもしれないから食事の際夏実にはグレープジュースしか飲ませていなかった。
俺が何も言わなくても静華は夏実のグラスにジュースを注いだ訳だし、2杯目を飲む時だって夏実は俺のノンアルコールワインをねだろうとはしなかった。
だから逆に今、俺を上目遣いで見つめながらそんな事を言い出した彼女の気持ちを汲んでみる。
彼女のモジモジと、ノンアルコールワインを飲んでも良いかという俺への問い掛け。
「……」
しばしの沈黙の後、俺は夏実の手を取ってモスグリーンのラグマットに座らせ、ボトルとグラスをテーブルの上に乗せた。
「湊人……怒って、るよね? 未成年の私が、本当なら飲んじゃいけないようなものを飲みたいなんて言ったから」
俺もラグの上に胡座をかいて座り、一脚のワイングラスにノンアルコールワインを注ぐ。
「怒ってるように見えるのはカラコンの所為じゃないか?」
俺は「怒ってないよ」の意味を持つ言葉や棘のない口調で夏実に返答し終えると、注いだそれを自分の口に含ませた。
「あ」
一瞬、夏実は紅い瞳を大きく俺に見せながら小さな声を短く出した。
そんな可愛らしい反応をする彼女の顎を俺は愛おしく摘んでやると
「ん……」
ダークパープルのルージュが薄っすら残る唇に、全く同じ状態になっている自分の唇を重ねる。
「んっ……ふうぅっ」
身体を近付けてきた夏実から妖艶な鼻息が漏れ、俺はそれに欲情して彼女の腰を抱き、舌で愛する彼女の口をこじ開ける。
「っふ……っ」
「っ ……ふぅ」
飲み物の口移しなんて生まれて初めてやったものだから、少し失敗して口の端から溢してしまった。
しかし俺は「そんなの構いやしない」と、最後まで夏実の口内へ己の唾液の混じった葡萄由来の液体を流し込んでやる。
「ふぁあっ…………はあっ……はあっ」
流し込むのを終えてすぐ、夏実は息が苦しいとばかりに俺から顔を離して深呼吸する。
「ごめん、こぼしてしまった」
口の端から深紅の液体が一筋細く流れるように溢れる様子が視界に入り、一瞬ティッシュか何かで拭おうとしたがその考えをすぐに止め自分の舌や唇でそれを舐め取る行為に移った。
「ふぁぁ」
垂れた顎や首にも舌を這わし、唇でもチュッと軽く啄む。
俺のその行為にも夏実は可愛らしく喘ぐのだから、男の欲情は高まるばかりだ。
夏実が敢えてこの飲み物を強請ったのは「大人っぽくヘアメイクをしセクシーな衣装に身を包んだ自分の姿を大人のように扱ってほしい」という気持ちの表れではないのだろうか。
それは付き合い始めの2年前から姉の服を借りて背伸びをし、12歳の年齢差をなんとかして埋めようとしていた少女の恋心そのもので、彼女の側に居る俺が常に感じてきた部分だ。
一旦はそれを「ありのままの夏実でいい」「無理して大人っぽくしなくてもいい」と彼女に言い聞かせたのだが、ハロウィン仮装という急に世間に広まった文化が再び少女の恋心を呼び戻したのだろう。
「綺麗だよ、夏実」
俺は彼女に愛おしい気持ちを込めて褒め言葉を言い、またワイングラスの中身を自分の口に含むと、2回目の口移し行為を始める。
「んっ」
もう2回目なのだから本来ならば失敗しないように慎重に流し込まなきゃいけないのに……何故かまた互いの顎や首を濡らしてしまった。
「ふふっ」
吸血鬼姿の彼女は、口の端から紅い液体をこぼしながら意地悪く笑う。
「ふふ♪」
俺も含み笑いをした後、「悪い子だ」と彼女に優しく叱るのも忘れて先程行った舌先での拭いと唇の啄みを再度行う。
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