10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)

犬社護

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2章 家族との別離(今世)

25話 父親との対面

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この男性が、私の今世の父親?
35歳くらいで金髪碧眼、見た目は優しそうな印象を受ける。

でも、よく思い出して。ベイツさんが私を川で拾い、その時の状況をつい最近になって詳細に聞いているわ。

① 悪意を持って、転移魔法によりこの地へ転移されたこと
② 当時の私の身体には、虐待の痕が数多く刻まれていたこと
③ あくまで推論だけど、家族が私を無能者と知り、家から最悪の形で追放した

そして、ここ最近になって起きた私の異変は……

④ フェルデナンド家と言う名称を聞くと、頭痛がして違和感を感じる
⑤ ユウキさんの出現により、私の今世の名前はリリアーナ・フェルデナンドと判明

この男性は私の父で間違いないようだけど、推論が正しければ、この人こそが私を記憶喪失にまで追い込んだ張本人、実の娘を魔物の蔓延る山の中へ送り込んだ悪人だ。

何だろう、あの人の顔を見ていると、私の心が騒つく。さっきまで優しげに微笑んでいたはずなのに、今は気持ち悪いと思える程の冷たい笑みを浮かべ、こっちを見ている。

何か、おかしい。
何か、変だ。

「リリアーヌ、素晴らしい力を手にしたじゃないか。あの山へ転移させたことが、功を奏したようだ」

この人、自分から喋ってくれたわ。
やっぱり、この男こそがリリアーヌの心を崩壊させた諸悪の権限だ。

でも、おかしい、おかしいわ。
ここは怒らないといけないはずなのに、どうして私は喜んでいるの? 
ううん、違う。
これは私じゃなくて、リリアーナの心が喜んでいるんだ。

でも、この人は私をあの山へ転移させたと暴露した。
それって、私を殺そうとしたことと同じだ。
どうして、喜んでいるの?
どうして、あの人のもとへ行き、抱きしめられたいと思うの? 
ダメだ…この感情に、この衝動に支配されちゃダメだ。

「あなたは、誰ですか?」

私は記憶喪失なのだから、記憶を少しでも思い出したことを気づかれちゃだめだ。

「なに?」

今、一瞬だけ醜悪な顔を浮かべた。
きっと、あれがあの男の本性なんだ。

「そうか、記憶喪失だったな。君は私の娘、リリアーナ・フェルデナンドだ。今は、咲耶と名乗っているようだな。生家に戻れば、記憶も戻るだろう。君の除籍を取り消し、我が家に迎え入れよう。さあ、こちらにおいで」

除籍?
そういえば、さっき《元娘》と言っていたわ。
私を追放したと同時に貴族籍も剥奪したけど、再び迎え入れようってこと?

男は私に微笑んで、両手を大きく広げる。
あの行為だけで、何故胸がドキドキするの?
何故、あの人の胸に飛び込みたいという衝動が湧き上がるの?
リリアーナ、あなたは自分を殺そうとした男のもとへ帰りたいの?
私は少しでも動揺を抑えるため、自分の胸付近の服を右手で掴む。

「咲耶…いやリリアーナ、行っちゃダメだ、騙されるな!! 奴は、君の力を骨の髄まで利用したいだけだ。娘への愛など、欠片も持ち合わせてなどいない!! 自分が屋敷で、なにをされたのか思い出せ!!」

ユウキさんの言葉を聞いた途端、私の頭の中に次々と何かが流れ込んできた。

《誕生日まで私を愛してくれた家族や使用人たち》
《無能者とわかった途端、笑顔から一変、私を蔑む家族たち》
《あの日以降、祖父母や両親、兄2人から毎日繰り出される罵声と暴力》

『この恥晒しが!!』
『貴様はフェルデナンド家の膿だ!!』
『スキルや魔法の練習台にしましょう』
『俺たちのサンドバッグになれ!!』

服で見えない箇所に、毎日殴る蹴るの暴力を受け続ける日々、色んな映像が次々と流れ込んでくる。それでも、リリアーナは諦めず、必死に家族に懇願する。

『成人するまでに、スキルを必ず身に付けますから捨てないで!!』
『やめて!! 痛い!! みんな、やめてよ!! 殴らないで蹴らないで~~~』

どれだけ必死に訴えても、誰も彼女の意見を聞いてくれない。今まで自分を愛してくれた家族が、醜悪な顔となって毎日毎日暴力と暴言を繰り返す。

言われる言葉は、[役立たず][恥晒し][クズ]。

「うわあああ~~~~」

私は耐えきれなくなり、頭を抱え込み、その場にしゃがみ込む。
なに…これ?
リリアーナは転移されるまで、こんな事を毎日家族から受けていたの?
ベイツさんから話を聞いてはいたけど、酷い、酷過ぎるよ。

あなたは家族からこれだけボロボロにされても、それでも祖父母や両親、兄2人を愛しているの?

ああ、彼女の家族への想いが私に伝わってくる。

「スキルを身に付けさえすれば、みんなに笑顔が戻って、私を再び迎えてくれる。諦めない、私は絶対に諦めない」

この想いを糧に、彼女は何日も何日も家族からの暴力に耐え続け、スキルを入手すべく、1人で訓練に励んだ。でも、それは成就することなく、リリアーナは家族会議で《転移追放の刑》と決まってしまった。

その判決を聞いた瞬間……彼女の心は粉々に砕け散った。

私が見ているのは、その砕け散った心の欠片だ。
許せない…家族の所業を許せない!!
あんな男が、私の父であってたまるか!!
私のスキルで……《原点回帰》で……

「咲耶、やめろ!! 気持ちはわかるが、それ以上憎しみを込めちゃダメだ!!」

ユウキさんの言葉で、私はハッとなる。
スキル《原点回帰》は、私と悠太の絆で作られたもの。

あんな穢れた大人なんかに、このスキルを使いたくない。
スキルを穢されたくない。

でも、リリアーナの受けた痛みを考えたら、この感情を抑えられない。

「ユウキさん、私……記憶の一部が流れ込んできた。あいつらは家族であっても、決して家族なんかじゃない。あいつらのいる家に帰されるくらいなら、ここで死んだ方がマシだ」

絶対に、帰りたくない。
今の生活に戻るためには、この場であいつらを……

「咲耶、それ以上深く考えるな!! 今の人格まで変わってしまう。すまない、私が余計な事を言ったからだな」

謝らないで、ユウキさん。
私はあなたのおかげで、私でいられるのだから。

でも、あの男といつまでも会話を続けていたら、私の心が憎しみに囚われてしまう。何とかして、この状況を抜け出さないといけない。周囲にいる猫たちも異様さに勘づいたのか、いつの間にか建物の中へ入り、ずっと心配そうな目で私を見つめてくれている。

「ふん、少しは記憶を思い出したようだな。無能者であることが、全ての発端なのだよ。レアスキルを代々受け継ぐフェルデナンド家の血統に、無能はいらんのだよ無能は!! ここで何があったのか知らんが、フェルデナンド家に栄光をもたらすスキルを得た以上、こちらに帰ってこいリリアーナ!!」

私に対して散々暴言暴行を働いたくせに、謝罪するどころか、まるで帰ってきて当然のような言い方をしている。

嫌いだ、こんな男を父と呼びたくない。

「私に暴行を働き、殺そうとした連中のもとに帰りたいと思いますか?」

すると、父らしき男はニヤッといやらしい笑みを浮かべる。

「いいや、思わんね。だが、思わせるようにすればいい。記憶喪失の影響で、私の支配から逃れられたようだが、また仕掛け直せばいいだけのこと」

何を言っているの?
何をされても、あの人のもとへ行くことは絶対にない!!

「伯爵、まさかとは思うが、あなたは実の娘に対して、スキル《暗示》と《コントラクト》を既に仕掛けていたのか?」

暗示とコントラクト、前者は知らないけど、ユウキさんが怒っているくらいだから、絶対碌なものじゃない。

「当たり前だ。我らの持つレアスキルは唯一無二のもの、必要以上の情報を表に出されたら困るのだよ。フェルデナンド家の代々の領主たちは、婚姻者と血統者全員に対して、この暗示とコントラクトを相手の心臓や脳に施すことで、情報を王族や他家に漏れないようにしている。誰であろうとも、破れば【死】あるのみ」

情報漏洩を恐れるからと言って、自分の妻や子供にもスキルを行使するなんて信じられない。この人は、私のことをただの道具としてしか見ていない。今、この場でこの人たちを倒さないと、私もユウキもフェルデナンド家の人形とされてしまう。

「なあに、実の娘なのだから、暗示を実行するにしても、私の望むような人格に形成してやろう」

人格を形成する?
この人は、何を言っているの? 
狂ってる。

ユウキさんも私と同じく怒っていて、強く歯を食いしばっているわ。

「この鬼畜野郎!!」
「ほ~う、支配から逃れられたことで、随分と反抗的な性格になったじゃないか。ユウキも、再度暗殺者向けに性格を矯正する必要があるな」

ユウキさんも、この人のスキルで自分の性格を強制的に変えられていたんだ。でも、初めて出会った時の彼女は冷淡で少し醒めた印象を受けたけど、あの男の支配から逃れようと必死に足掻いていたわ。もしかして、強い意志を持ち続けることで、スキルの支配下から少しずつ抜け出せていたのかもしれない。その影響のせいで、締め付けられるような頭痛を毎日感じていたんだわ。

「やっと、貴様の呪縛から解放されたんだ。2度と戻るつもりはない!!」
「私から逃げられると思っているのか?」

問題は、そこだよ。
相手は伯爵を入れて5人、しかもスキルで私たちに何か仕掛けようとしている。
もう、私とユウキさんだけの力じゃあ、手に負えない。

「(咲耶、よく聞け。私が少しだけ足止めするから、君はルウリとフリードに連絡しろ。伯爵たちには、2体のことを《ハミングバード》と《猫又》としか言ってない。2体が転移でこちらに来てくれれば、逆転できる)」

小声で教えてくれた言葉に、私もハッと顔を上げる。その情報は、嘘ではない。実際、街の住民たちは、ルウリのことを野生で賢いハミングバードと思っているのだから。

「ユウキ、君は私たちを足止めして、リリアーナだけでも逃すつもりだろう?」

リリアーナにも、ああいった薄気味悪い笑みを見せていた。近くに控えている護衛の騎士たちは何も語らず、動く様子もないけど、あの男の命令で一斉に襲いかかってくるはずだ。

「コントラクトの支配から解放された今の私なら、多少なりとも時間を稼げるさ」

男は、人を馬鹿にするかのような冷淡な笑い声をあげる。

「15歳のままであれば、否定はせんよ。君は、優秀な暗殺者だったからね。だがね、今のその慣れない10歳の身体では、スキルと魔法を碌に使えんだろう?」

「あ……」

そうだ、今のユウキさんは15歳から10歳に戻ったばかりだ。ステータスレベルが1になっている以上、15歳の時と同じスキルや魔法を使えるとは思えないわ。

このままあいつらに捕まったら、私たちはもうこの地に戻れない。
そんなの絶対に嫌だ!!

「諦めるんだな」

『やめて!! 咲耶に手を出したら、私たちが許さないわよ!!』
『そうだそうだ!!』

伯爵が何か仕掛けようとしたその時、猫たちが建物の中から続々と出てきた。
全員が身体を震わせながらも、勇気を振り絞って伯爵を罵倒する。

「なんだ、この猫どもは? ええい、うざったい!! 貴様ら、死にたいのか!!」

伯爵が容赦のない声で、猫たちを恫喝していく。

「やめて!! 猫たちは関係ない!! その子たちに手を出さないで!!」

この男なら、小さな猫であろうとも、平然とした顔で殺すに違いない。
そんな事は、絶対にさせない!!

「ふん、それならば、ユウキ共々、こっちに来い」

まだ目覚めて2週間くらいだけど、この街での生活を続けたい。

詠唱を必要とする念話や召喚魔法だと、詠唱途中で絶対に邪魔されるから、一か八か奴らの目の前でスキル《心通眼》を使うしかない。

詠唱を必要としないスキルなら、成功する確率も高いはずよ。
2体がすぐに来れない状態なら、私がそれまで時間稼ぎをすればいい。
もう、これに賭けるしかないわ!!

ルウリ、フリード、助けて!! 私の父親に見つかって、絶体絶命なの!!

お願い、届いて!!
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