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小話系
理想のDom 8
しおりを挟む吉継は泥のように眠って、すっきりとした朝を迎えた。
体を起こす。お尻の内側がじんじんするのを感じて、昨夕のことが夢ではないことがわかった。
昨夜は二人の厚木に可愛がられた。最後はもうなんでもするから止めて欲しいと泣きを入れたのにも関わらず、「愚かで可愛いな」だの「お前は今のままが一番いい」などと甘言を吹き込まれ、ぼうっとする間もなく「なんでもするならまだ頑張れるだろう」「好きな命令も言ってやろうな」と言われ、更に追い討ちをかけられたのだ。
厚木相手に”なんでもする”は悪手であり、言葉選びは慎重にしないといけないということを学んだ吉継である。
昨夜は入浴後に散々いろんな体液や汗に塗れてしまった。その割には体に不快感はない。掛布を捲ると、下着だけしか身に着けていなかった。穿く意味がわからないシースルーの下着だ。
「???」
吉継が気持ちよく寝ている間に、なにかとんでもないことがあったに違いない。慌てて枕元に用意されていた服に着替えて厚木を探す。
ご丁寧に下着だけ無く、シースルーの上からズボンを履く羽目になった。
ドシドシ音を立てて廊下を走り、厚木の書斎を形だけノックをして入る。
「厚木さん!」
「どうした、吉継。猪のほうがまだスマートに走るが」
猪が走っているところなど気にかけたこともない吉継には通じない嫌味だ。それよりも、シースルーの下着を履くに至った経緯を聞いて、下着を返してもらうことが重要だ。
「変な下着は嫌…で…す」
厚木は、書斎机のパソコンに向かっていた。吉継は突進して厚木の椅子の肘置きに手をつき、覆いかぶさる勢いで詰め寄ったのだが。
「あ…厚木さん一人ですか」
「ああ」
見渡す限り厚木は一人だった。
いつもの光景。
「いつからですか」
「起きた時には」
「そうですか…」
気がついた時には二人で、起きた時には一人になっていた。
よくわからない。
厚木が二人なんて手に負えないと思っていたが、いなくなるとなんだか寂しい気がする。
「下着がどうした」
「あっ」
そんなことより、吉継のお尻を撫でる手。厚木しかいない。
「起きたらお風呂に入ったみたいにすっきりしてました」
「まあ、洗ったな」
「変な下着履いてました!」
「ああ…よく似合っている」
厚木がニヤついている。
わざとだ。
「似合いたくないです」
「なぜ、プレゼントだ」
「いりません」
「はあ、お前のために用意したのに」
これみよがしの残念そうな顔。たったそれだけのことで何をいえば良いのか分からなくなる。
「うぅ…もう知りません!」
全然通じない。
やっぱり厚木はひどい。
二人いたときは、嫌なことも二人分言われたが、良いことも二人分だった。二人だけで喋りだすこともあって、厚木が何を考えているのかもわかったのに、このいけ好かない顔を見ているだけではもう何を考えているのかわからなかった。
「…もう二人になりませんか」
「あ?…二人のほうが良かったのか」
「はい…あっ!」
ズボンの上から、お尻の狭間に手が伸びる。
「ここも、もう慣れたか」
昨夜繋がっていたところだ。
「こんなこと…慣れますか…」
昨夜の痴態を思い出すと顔に熱が集まる。
吉継には強すぎる刺激に思えた。でも、抱き合うのが嫌なわけじゃない。
「慣れるまでつき合ってやってもいいが」
「駄目です」
二人が良いと思ったのはそういうことではない。
「痛いところはないか」
「ないです」
「丈夫でなによりだ」
「でも、下着は返してください」
「帰りには返してやる。今すぐ帰る気か」
「う…厚木さんは仕事ですか」
「今日は一日これだ」
そう言って、パソコンに目をやる。つられて吉継もパソコンを見たが、数字の羅列で全くわからない。目が滑る。
「俺もいていいですか…?」
「好きにするといい」
「じゃあここにいます」
「ああ」
帰るまでこのままいればいい。ズボンの下はシースルーだが、昨日の今日で”大人の可愛がり方”というやつはしないだろう。
楽観的に考えている吉継は、厚木の息抜きに下着姿になれと迫られる可能性など露ほどにも考えていなかった。
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