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気弱なハムチュターンのあまがみ③ R15
しおりを挟む俺の事を、大切に手に乗せてくれる。なんて優しいんだ。俺の番は世界一素敵だ。
柔らかくいい匂いに包まれて、おしりをつけておすわりをした。両手で耳の後ろから前に毛繕いをする。股間のぞわぞわが治まらない。毛繕いで誤魔化すとしよう。
「ふふふ、かーわい。ジージー威嚇されたから、本気で噛まれると思って強力な結界を張っていたけど、もう大丈夫かな? あまがみはいいけれど、強いのはダメだよ? 痛くないように張っている結界にそんな力で噛んだら前歯が折れちゃうから気を付けてね?」
至福のひとときに、番の、なにやら不穏気な言葉が聞こえた。
──……!
本気で噛んでいたら愛しい番が傷つく。
それに、力が足りずにあまがみで済んで助かったのは俺の方だったようだ。
前歯が折れたら一生差し歯か?
俺はまだ18なのに、老人のように欠けた歯で暮らすなんてとんでもない。ハムチュターン族の誇りであるこの歯は、どんな固いものも砕く。魔力がなくてもノア(くるみの事)の殻すらあっという間なのだ。
俺は、むずむずする腰の感覚を少しでも逃れさせようと、口から小さく気持ちが良い時に出てしまう鳴き声を漏らしながら、絶体絶命の危機を偶然逃れられた事にほっとした。
それと同時に、徐々に鎮まってきた股間の奥の高ぶりを解き放てなかった事を心底残念にも思う。
──もう一度、して欲しい
年ごろの女の子に、こんな事を頼むなんてとても出来ない。
俺は、それでもして欲しくて、再び腹を見せたままじっと彼女の顔のほうに懇願するように視線を投げかけていた。
ずっと聞いていたくなる声と、彼女から香る甘い匂いにうっとりトロンとしてしまう。
ところが、俺のそんな願いは届かなかったようだ。
彼女が立ち上がり、俺を両手で優しく包み込むと歩き出した。
ションボリしながら、こっそり彼女の手の平の中でぺろぺろと柔らかくて美味しい肌を味わう。
「ふふふ、くすぐったぁい。さーて。ハムちゃんも元気になったみたいだし、お風呂、入ろっか」
──え? いや。年ごろの初対面の男女がそんな……。なんてハレンチな女の子なんだ。俺限定ならそんな大胆でエロいなら大歓迎に決まっている。
いかがわしい行為を恥ずかしがりながらも勇気を持って誘ってきた、番の蕩けてしまうような魅力的な誘いに抗う事が出来なかったし、喜んで一緒に入りたいと思ったのである。
※※※※
「さあ、ハムちゃん。体を洗いましょうねえ」
俺の目に石鹸が入らないよう、そーっと慎重に洗われた。番とのラブラブタイム突入に、俺の股間は興奮しっぱなしだ。
俺たちハムチュターン族は、人化していないときは基本的に水やお湯に浸からない。
頬袋に空気があるから、体毛の空気がなくなっても暫く浮く事ができるものの、溺れてしまうのだ。
すっかり濡れハムチュターンになった俺は、みっともない姿だろう。
ぶるぶるぶるっ
全身を大きく震わせて水気を切る。
まだ濡れているが、とりあえず充分だろう。
──あ、ヤバい
ずっと気をそらせて我慢していたが、そろそろ玉と息子がヤバい。
「チ、チーチチ」
番に、流石にこのままひとつになるには人化が必要だし、お誘いには応えたい。だが、やはりきちんと将来を約束してお互いの家に認めて貰ってから、愛しい人の中に入ると決めている。
俺は、少し待つよう伝えて、番の手のひらからジャンプして降りた。
くしゅっ
──なんだ?
番の、本能を掻き立てられるような香りが強くなった。
飛び降りた足元には、少し短くて硬い毛があった。人間にも髪の毛以外にも体毛で覆われている所があったみたいだ。
香りをよく確認しようと鼻先を突っ込んでクンクン匂いをかぐ。
「わ、ハムちゃん。いきなり飛び降りてどうしたのー? そこはダーメよ。あ、やん、くすぐったいわ?」
「チーチ?」
俺は、楽しそうにはしゃぐかわいい番の声に嬉しくなる。もっと喜んで欲しいから、黒い少しごわっとしている下の、Y字の間にぐっと頭を入れ込んでひげを動かしながらスンスン吸ったのだった。
「こらー。もう、わかっていないんだろうけど、女の子のそこはダーメだよー」
突然捕まれた。俺はどうしてもそこに惹かれていたのに離される。
「チチチ?」
どうしてダメなのか。俺は彼女がツンっと鼻先をつついて叱るので耳が垂れてしょんぼりする。
「さっきのところはね、愛する人とイチャイチャする時にしかダメなのよ」
俺は、愛する番の言葉を考えた。そして、体の構造を思い浮かべ、先ほどの場所が何処なのかがやっとわかった。
ビーン!
即時に、またもや大きく固く腫れ上がってしまうそこが痛い。
俺はあわてて床に飛び降りると、部屋の角にいっておすわりをした。
両手で玉を揉み揉みして自身で自分を慰める。
「ハムちゃん、遊んでるの~? まあいいや。体を洗うからそこにいてね」
背後で彼女の動きに合わせて水の音や、肌を擦る音がする。
興奮が高まり、ぶるっと体が震えて、俺は3秒ほどで番に捧げるべき子種を思いっきり放ったのであった。
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