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8 背徳の日々※

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 ロイクは、隙あらば俺を抱こうとした。

 勿論最初は断ったけど、「お願いだ、ファビアン」と足に縋られて懇願されてみろ。「私を慰めてほしい。暗黒竜と戦って死んだらと思うと怖いんだ」と涙が滲む青い目で見つめられたら、まずもう断れない。

 ロイクが醜男だったらまだ流されなかったかもしれない。だけどロイクは誰が見ても物凄い美形で、しかも王子で勇者ときた。

 俺は普通に女が好きな筈だ。でも、自分よりも大きい存在に抱かれた時の得も言われぬ安心感は、認めたくはないけど悪くないと思ったのもよくなかった。

 多分それが、俺がきっぱりと拒絶できない理由だったんだろう。

 俺の躊躇いを見抜いたロイクは、その機会を逃さなかった。

 俺の腰に抱きついたロイクが、唇で服の上から俺の雄を食む。と、霊廟でのまぐわいをまざまざと思い出してしまい、俺の雄は俺の意思に反して勃ち上がっていった。

 ロイクが、愛しそうに俺の雄を見つめる。べろりと服を舐めるロイクの舌は、正直言ってエロいのひと言しかない。

「あは、反応してる。可愛い、ファビアン」
「ち、畜生……っ」

 こうなったらもうだめだ。

 俺の股間部の服を涎で濡らしたロイクが、嬉しそうに目を細めて上目遣いで俺を見つめる。

「今度は痛くしないから。優しくするから」
「……その言葉、忘れるなよ」

 でも結局その日は、俺のケツを剥いた途端にロイクの理性は吹っ飛んだ。

 俺が涎と涙と鼻水を垂らして「やだっ! もう無理だって言ってる!」と情けなく泣き叫んでも、ロイクが二回俺の中に熱い精液を注ぎ切るまで止まらなかった。

 ぐったりとして泣きじゃくる俺の全身を舐めまくった後、ロイクが「次は気をつけるね」とのたまった時の俺のなんとも言えない感情。

 ロイクは俺のことが好きなのかな。ふと、気になる。

 可愛いとしか言われないけど、この執着の仕方は異常だ。俺のどんな場所も美味そうに舐めては口に含むのを見ていると、立派な勇者な筈のロイクが幼い子供に見えてしまい、拒絶することができなくなってしまっている。

 それからも、ロイクは俺を抱きに抱きまくった。

 はじめの頃は、俺の後孔はまだまだ固くてすんなりは入らなかった。「入らないよ、無理だよ」とロイクに伝えると、ロイクは「可哀想に」と泣いている俺の顔中に唇を押し当てながら、ガチガチのロイクの棒をグリグリと突っ込んだ。

 こいつは口だけだ。思わずぽかりとロイクの金髪を叩くと、ロイクは顔を真っ赤にして「――ファビアン、可愛いっ!」と俺を激しく突いた。だからこれは逆効果だったと気付いたのは、ロイクの精液が俺の後孔からゴポリと溢れ出した後だ。

「ファビアンになら叩かれてもいいな」

 俺の大分膨れ上がってしまった乳首をちゅうちゅう吸いながら言われて、俺はロイクの頭を腕でギュッと締めることで鬱憤を晴らした。

 そうやって幾度も抱かれている内に、俺のアソコはすっかりロイクの形を覚えてしまい、あっさりと受け入れられる様に変貌していく。

 旅の途中でロイクが廃屋で香油の瓶を手に入れてからというもの、ロイクはガチガチのロイクに香油を塗りたくって俺の中に即突っ込むという技を使うようになった。

 用足しに起きると、いつの間にか付いてきては、放尿の真っ最中の俺の後ろに突っ込んだ。尿が出ていた俺の雄から白濁した液体が出た後、ロイクは俺の中にぶち撒ける。

 時折クロードが起きて待っていて「遅かったな」と怪しむ目を向けると、ロイクが笑顔で「ファビアンがお腹を壊してたんだ。暖かい飲み物を用意できるかい?」と答えたりする時のピリピリとした雰囲気が恐ろしかった。

 クロードはもしかして察しているんじゃないか。

 クロードがロイクを見る目つきが段々と厳しいものに変わっていっているのに、俺は気付いてしまっていた。オリヴィアは全く気付いていないようだったけど、このままじゃ拙いんじゃ。

「ねえ、皆にバレたら拙いよ。もういい加減やめないか?」
「やだ。暗黒竜を倒すのが怖いって言っただろ」

 ロイクは甘えた声で俺を抱き締めると、いやいやをするように頭を俺に押し付ける。これをされると、俺は弱い。

「じゃあ、回数減らせよ」
「……努力はする」

 頭を抱き寄せて撫でてやると、ロイクの身体の力が抜けるのが分かった。

 水浴びをしていると、ロイクは後ろからやってきては熱い肉棒を遠慮なく打ち込む。水浴びは交代制だから近くにクロードもオリヴィアもいないけど、「声が漏れたら大変だよ」と俺の頬をぐいっと自分に向けて俺の喘ぎ声を呑み込みながらするのが、ロイクのお気に入りだった。

 俺の舌が伸ばされると、ロイクは嬉しそうに笑いながら俺の舌を吸い込む。互いに貪るように口を吸い合いながら最奥までロイクの熱棒を受け入れるのは、俺も気持ちよかった。

 回を追うごとに、俺の身体は勝手に快感を拾ってしまうようになっていく。

 オリヴィアやクロードと森の中ではぐれてしまった時は、木の幹に背中を押し付けられて、俺の足が宙に浮いた状態で下から突き上げられた。自分の体重で、いつもよりも深く入ってきて、苦しくておかしくなりそうだった。

 俺がもう無理だと泣いても無駄で、ロイクは俺を抱き上げたまま俺の中に何度も欲を注いだ。

 持ち上げられたケツの穴からロイクの欲にまみれた液体が地面に落ちても、ロイクはここぞとばかりに俺を抱いた。あまりに抱かれすぎて動けなくなり、遠くから二人の探す声が聞こえても、ロイクの腕に抱かれながら休む為に一日隠れていたのは記憶に新しい。

 そして今夜も、ロイクは俺が抜け出したのを目敏く見つけては後を付けてくる。

 寝ている二人が間違っても気付かないくらい離れた場所まで来ると、ロイクが俺を後ろから抱き締めた。

「ファビアン……可愛い顔を見せて」
「ロイクって本当俺の顔が好きなんだな」

 振り向きながら笑うと、ロイクの熱の籠もった真剣な眼差しが俺を捕らえて離さない。

「……顔だけじゃないよ。全部好きだ」
「え」

 ロイクが俺を好きだといった初めての瞬間だった。

「ファビアンがいたから私は笑顔を知った。ファビアンが私に人間の心を取り戻してくれたんだ。ファビアン、ファビアン……ッ」

 ロイクはゆっくりとしゃがんで行くと、俺の雄を取り出し口に加えて美味そうにしゃぶり始める。

「誰にも渡さない、ファビアンは私だけのものだ」
「んっ」

 気持ちよくて小さな声を漏らすと、ロイクが咥えたまま満面の笑みを浮かべた。手と口で扱かれ、俺の雄は今にも破裂しそうだ。

「あ、あ――……っ」

 ビュク、と放出すると、俺の精液を口の中で受け止めたロイクが、一滴も漏らすまいと口をすぼめたままゴクリと飲み込んだ。

 だけど、甘ったるい背徳な毎日は終わりに近付いていた。
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