上 下
51 / 113

50:弟たち②近況報告

しおりを挟む
「そう、今はグルックが家のことを色々やっているのね」

「はい、執事長に聞きながら、なんとか……」

グルックの苦笑いから大変さが伺えて、ソフィアは心配が込み上げてくる。

「ブルームは騎士を目指して勉強中だなんて、凄いじゃない!」

「ああ、姉さんのおかげで騎士学校に入れたんだ」

騎士学校は人気のため、現在は伯爵家よりも高位の貴族またはその親戚にあたる貴族しか入学することが出来ないのだ。

「それを聞けて嬉しいわ! それだけでも私が嫁いだ意味があるではないの!」

ソフィアの笑顔に、ブルームは苦笑いだ。

「タオはグルックを手伝いたいと思っているのね」

「うん、兄上を手伝いたい!」

ソフィアはタオの優しさに笑みが溢れる。

(みんな良い子に成長してくれている……。天国でお母様もきっと喜んでいるわ……)

ソフィアが目に涙を滲ませていると、"バシッ"と顔をブライトに叩かれた。

「キャッ!」

思わず声が漏れてブライトを見ると、"ニカーッ"と悪い顔をしている。

「こらー!」

ソフィアが涙を誤魔化すように、急に立ち上がりブライトを高い高いし始めると、そっとブルームが手を出してきた。

ソフィアがブライトをブルームに渡すと、ブルームはやや微笑みながら高い高いをし始める。
側でタオはブライトを笑わせようとしている。

「ふふっ」

弟たちがブライトと遊んでいる姿に感涙していると、ソフィアはグルックに声を掛けられた。

「姉さん、涙脆くなったんじゃないですか?」

「子どもを産んだら涙腺が緩くなったのよ!」

二人は顔を見合わせて笑う。

(ああ、幸せだわ……。このような温かい環境でブルックを育てることが出来たら良いのに……)

そこでふと、ソフィアは思ったことを口にしようとグルックを見る。

「ん? どうしましたか?」

穏やかな笑顔のグルックに、ソフィアは"ゴクリ"と一つ唾を飲んでから伺うように口を開く。

「……私とブライトが実家に戻ったら邪魔かしら?」



しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

姉に代わって立派に息子を育てます! 前日譚

mio
恋愛 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:1,214

乙女ゲーム関連 短編集

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:1,363pt お気に入り:156

【完結】私がいなくなれば、あなたにも わかるでしょう

nao
恋愛 / 完結 24h.ポイント:13,177pt お気に入り:931

【BL】アサイラム

BL / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:4

その子俺にも似てるから、お前と俺の子供だよな?

BL / 完結 24h.ポイント:49pt お気に入り:78

貴方達から離れたら思った以上に幸せです!

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:200,945pt お気に入り:12,077

あなたへの恋心を消し去りました

恋愛 / 完結 24h.ポイント:284pt お気に入り:2,871

幼馴染がそんなに良いなら、婚約解消いたしましょうか?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:18,406pt お気に入り:3,526

処理中です...