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65: sideジャック:ジャックとジェームズ②

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国境の隣国との戦は、始めから当国が優勢だった。
更にジャックの作戦も的中し、そのまま戦は予想よりも随分早く終戦することとなる。


「リッチィ伯爵、加勢に感謝する。ご苦労だった。帰路を気をつけるのだぞ」

領地へ戻って行く援軍たちを労いながら見送っていたジャックは、ジェームズにも声を掛けた。

「はっ、当然のことをしたまでです。見事な戦術でした!」

ジェームズは頭を下げてその場を後にしようした。
しかし足を止め、ジャックを振り返る。

「どうかしたか?」

「第三王子殿下、ソフィアが子供を出産していることはご存知ですか?」

「えっ?」

ジャックは目を見開く。

「……今5、6歳だと思います。私との子ではありません。……殿下とは関係のないことならば忘れて下さい。それでは失礼いたします」

(余計なお世話だったかもしれないな……。子どもが赤い瞳だと言うことは伏せておこう)

ジェームズはソフィアに感謝していた。
今自分がハンナと幸せに暮らすことが出来ているのは、ソフィアのおかげも大きいからだ。
そのため、珍しくお節介をやくことにした。
自分が幸せだと、人を思い遣る心の余裕も出来るのものだ。




ジェームズが立ち去った後、ジャックは暫くその場から動くことが出来なかった。

(ソフィアが出産? 無事で良かった。……って、えっ、5、6歳? リッチィ伯爵との子供ではない?)

「……伯爵は、何故俺に言った?」

ジャックは思わず呟く。
ソフィアとの関係はあの一度きりだ。

「まさか、そのようなことが……?」

(……可能性がゼロではない以上、確認する必要があるな……)

ジェームズは勝利の余韻は一蹴され、ソフィアの現状に対する心配に頭が支配されていくのだった……---





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