【完結】氷の公爵様は、婚約者の前でだけ甘すぎる
「君は本当に、何でも一人で片づけてしまうんだな」
王都で「氷の公爵」と恐れられるエドガー・ヴァレンタイン。表情を変えず、社交辞令を口にせず、誰に対しても必要以上に親しくならない彼が、婚約者の前でだけは別人だった。
伯爵令嬢リディアが一度だけ口にした好きなお菓子を、訪問のたびに用意してくれる。寒そうにしていれば、黙って上着を掛けてくれる。疲れを隠して笑っていても、目の下のわずかな重ささえ見抜いてしまう。
「……私に、そこまでしてくださらなくても」
「君だからしているんだが?」
真顔でそう返されるたび、リディアの胸は落ち着かなくなる。けれど、彼女はその優しさを恋だとは思えなかった。家同士の都合で結ばれた婚約なのだから、誠実な人が婚約者として当然の気遣いをしてくれているだけ。期待して拒まれたら、この穏やかな時間さえ失ってしまう。そう自分に言い聞かせ、リディアは少しずつ、彼から距離を置きはじめる。
一方のエドガーは、婚約が決まるずっと前から、リディアに惹かれていた。大切だからこそ、気持ちを押しつけられない。けれど、遠慮されるたびに、彼女が遠ざかっていく。
「リディア。君は、私が誰にでもこんなことをする男だと思っているのか?」
ようやく届いた、不器用でまっすぐな本音。そして想いが通じ合った翌日から、氷の公爵様の甘さは、もう隠しようもなく加速していく。
愛されることに不慣れな令嬢と、愛しすぎて少し不器用な公爵。遠慮をひとつずつ手放していく二人の、甘くてもどかしい恋の物語。
王都で「氷の公爵」と恐れられるエドガー・ヴァレンタイン。表情を変えず、社交辞令を口にせず、誰に対しても必要以上に親しくならない彼が、婚約者の前でだけは別人だった。
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「……私に、そこまでしてくださらなくても」
「君だからしているんだが?」
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一方のエドガーは、婚約が決まるずっと前から、リディアに惹かれていた。大切だからこそ、気持ちを押しつけられない。けれど、遠慮されるたびに、彼女が遠ざかっていく。
「リディア。君は、私が誰にでもこんなことをする男だと思っているのか?」
ようやく届いた、不器用でまっすぐな本音。そして想いが通じ合った翌日から、氷の公爵様の甘さは、もう隠しようもなく加速していく。
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