病弱らしい幼馴染がそんなに大切ですか。――ならば婚約破棄しましょう。……忠告はしましたよ?

銀灰

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【下】

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 その後、懸念していたとが、予期そのままに起こりました。

 吉報です。

 ロレディの幼馴染ローズが、お金持ちの伯爵と婚約を結びました。

 ……まあ、こんな報でも一応、吉報です。
 ロレディが私を失ってから、僅か一月後の知らせでした。

 ……こうなるだろうとは思っていました。

 そもそもロレディは、私と婚約を結ぶ以前は、どのようにしてローズの面倒を見ていたのでしょう?
 ……答えは簡単。私が婚約者になってから、ローズが要求頻度を激増させたから。

 なんの謎もない明白です。

 そこからは完全な悪循環。
 ロレディの気を引くために、それまでより遥かに頻度を上げロレディを拘束し始めたローズ。慈善に酔い、ただでさえ元々少なかった働きを減らすロレディ。……別れたほうが彼のためという気持ちも、ほんの僅かにですが、ありましたね。

 ――まあ、そのロレディは。
 ローズの(彼にとっての)裏切り(?)に絶望して、今はお家に籠り切りになってしまったようですが。

 ですがまあ。
 そこまでは、知ったこっちゃありません。

 私の忠告にまったく耳を貸さなかった、ロレディが悪い。
 女のその程度に騙される男など――見下げ果てられて然るべきかと。

 私はそこまで情に厚い人間ではないのです。

 悪役令嬢のようだ、と思うのならば、ご勝手に思っておいてくださいませ。
 それで結構です。

 ――その後の状況は、そんなものですかね。

 あとはまあ――私の婚約破棄を知った、が、それを機にお付き合いを申し出てきたことくらいです。

「――君はきちんとした人だ。君はあの婚約を機に、僕との関係にはっきりと線を引いた。けれど――今であれば……。……僕の誠意をきちんと伝えるには、きっと時間が必要だろう。だから最初は、消極的だけれど、君とただ会う機会が欲しい。時には家族を交えて……」
「――本当はずっと想っていた」
「考えて、もらえないだろうか……?」

 彼の言葉を受け取り、驚いてから――。
 悪役令嬢のような私だけれど? と言ったら、彼も驚いた後――「それでいい」と、苦笑のような微笑みを浮かべて、言いました。

 どうしましょう?

 幸い、考える時間はあるようですし――私も少し、楽しみましょうか。

 お役目故に線を立ち切った、もう戻ることはないと決意した親愛の、思いがけぬ再び――。
 せっかくの、逢瀬ですしね――。

 
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