自業自得

真鉄

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愉悦

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  ビジネスホテルのような内装の部屋に通されるなり、俺は龍に抱きつきキスをした。悔しいが龍の方が背が高い。それでも開いた唇に舌をねじ込み、パニエの下、手触りのいい下着に包まれた尻肉をゆったりと揉んだ。一瞬固く引き締まったが、じわじわと力が抜けてもっちりとした尻肉が掌に委ねられた。何度も角度を変えて上顎や舌の裏をくすぐってやると腕の中の身体がかすかに震えた。

「はぁ……」

  唇を離すと、繋がった唾液の銀糸を指で拭いながら、龍が目の縁を赤く染めて顔を背けた。俺は上着を脱ぎ、ネクタイに手をかけながらベッドを顎でしゃくる。

「脱がなくていいからそこに寝ろよ」

  龍は靴も脱がずにベッドに腰掛け、無言のままそこに寝転んだ。ネクタイを放り出し、俺は龍にのしかかる。股間は痛いほどに張り詰めていた。突っ張った股間を見せつけるように龍の腰を跨いで大股で座りこみ、エプロンを引き下ろしてワンピースの胸元のボタンに手をかけた。徐々に白い肌が見え始める。

「あ、はは……すんげー」
「……っ」

  龍は羞恥に顔を背けたまま唇を噛んだ。鍛えられた胸板の端には赤茶色に変色した乳輪が艶々と輝き、豆粒ほどに肥大した乳首がころんと飛び出していた。ワンピースの前ボタンを全て開け、乳首がちゃんと見えるように身頃を体側に押し開く。いかにもこれから胸を愛撫しますといわんばかりのビジュアルに興奮で目眩がした。

「もうこれ女の子並みに乳首大っきくなっちゃってるよな。ぱねえ。で? 感度もそれ並みになったんかな?」
「………」

  龍の目が泳ぐ。俺はニンマリと笑った。

「ま、あん時からめちゃ感じてたもんな。それに触ってみりゃ分かるか」
「……う、くっ」

  盛り上がった大胸筋をまるでおっぱいのように両手で包んでもっちりと揉んだ。力のこもっていない筋肉は弾力があってマシュマロのようだ。掌で肥大した乳首ごと撫で回してやると、眉をしかめたままひくひくと腹筋が震え、上に座っている俺にまで振動が伝わった。

「じっくり可愛がってやるから安心しなよ」
「ンっ……!」

  そう言って人差し指と中指で尖りを挟み、薄い皮膚を引っ張りあげながら親指でくりくりと転がす。ただそれだけで龍は目を潤ませ、声を殺すために手の甲を口に当てて懸命に耐えているようだった。弱いところを見せまいとするその姿が酷くそそる。泣かせてやりたくなる。

「……っ! ふ、……ンン……、う、は」

  俺は勃起した乳首に吸いついた。唇で吸引しながらしごくようにしてやると、びくびくと身を震わせ殺しきれない甘い声を漏らし始めた。舌先で弾き、乳輪ごと吸いつき、甘噛みし、俺は徹底的に片方の乳首に愛撫を施した。ちゅば、と音を立てて唇を離すと、そこには真っ赤に腫れ上がり、乳輪ごとふっくらと立ち上がった乳首が唾液に濡れてぬらりと光っていた。

「やっべ、やらしすぎんでしょ、これ……」
「ンあ……っ! ふ、う……っ」

  いやらしく変形した乳首を指でもてあそび、今度はもう片方にかじりついた。口元は押さえつつも潤んだ龍の瞳は俺の行動をしっかりと追っていた。じゅるじゅると音を立てて吸い立て、わざと大きな口を開けて舌先でくにくにと弾いてやると身をひくつかせて甘く呻いた。吸いつき、噛み付いていやらしい形に変え、口を離して両指でつまみあげた。唾液でぬるつく乳首をくりくりとよじり上げる。

「あっ、あ、んんっ、……や、あっ」
「龍ちゃん気持ちよさそー。そんな乳首いじられんの好きなの?」

  ぶるぶると龍が首を振るが、頬に血を昇らせ荒い息をついているその扇情的な顔では説得力にかけらもなかった。何より、スカート越しに俺の尻に当たっている固いものが何よりの証拠だろう。何ていやらしいんだろう。

  俺は我慢できなくなり、膝立ちになってスラックスの前を寛げた。ぶるんと飛び出た剛直を驚いたような顔をした龍の眼前に突きつけて笑った。

「舐めて」
「………」

  鼻先に突きつけられた雄竿に、蛇に睨まれた蛙のように固まってしまった龍の唇から鼻先にかけて先走りに濡れた亀頭を擦り付ける。龍の鼻息が亀頭に当たり、潤んだ目が細められた。一日下着の中で蒸れ、汚れた俺のペニスの匂いにあの龍が興奮しているのだと思うと、それだけでもイキそうだった。

「……ンぐぅっ!」

  俺は龍の口をこじ開け、強引に剛直をねじ込んだ。暖かい粘膜が俺を包み込む。舌がぐねぐねと裏筋や幹に這う血管を舐め始めたが、今はそんなまどろっこしいことをしたい気分じゃない。俺はただこの目の前の男を精液便所にしたいだけなのだ。俺はカチューシャがずれるのも構わず龍のこめかみの辺りを両手で押さえ込んだ。

「まずは一発ヌくわ。大丈夫、俺が絶倫って龍ちゃんもよく知ってるっしょ? 後でおまんこもいっぱい可愛がったげるかんね」
「んぐっ! んっ、ぐっ、うっ、うぅっ!」

  龍の口を性器に見立てて俺は腰を振り立てた。苦しげな声。荒い鼻息。強く閉じた目。しかめられた眉。たまらない。あの龍が。この男には何もかも敵わないと思っていたのに、あの龍が、俺の――。締まった喉の筋肉をこじ開けてじゅぽじゅぽと先端が行き来する。強引な口淫に閉じられた龍の目尻から透明の雫がこぼれ落ちた。ゾクゾクと愉悦が背筋を走り抜ける。

「……あああああ! イクイクイクッ!」

  ただ衝動のままに叫び、龍の喉の奥まで剛直を突っ込んだまま俺は全てを解放した。びゅっ! びゅるびゅるっ! と尿道を灼きながら精液がほとばしる。きっと今、龍の喉の肉に熱い飛沫が勢いよくぶちまけられ、とろとろと食道を流れ落ちて行っているのだ。その光景を想像するだけでたまらないものがあった。えずき、時折びくんと身体を震わせていた龍の喉が、ごきゅ、と鳴った。俺のザーメンを飲み込んだのだ。自然と唇が吊り上がる。

「……全部飲めたかなぁ? ザーメン美味しいね?」
「……う、ぐ……」

  鼻先まで俺の下生えに埋め、苦しげに見上げてくる龍の髪を撫でてやる。未だに硬度を失わない剛直をぬらりと引き出し、先端で上顎の窪みをくすぐったり、頬肉に押し付けて端正な顔を変形させて散々楽しんだ後、ようやく解放してやった。

  顔全体を真っ赤に染め、髪は乱れ、目は潤み、鼻水まで少し滲んでいる。相当苦しかったのか、それだけの屈辱を感じたのか。どちらにせよ、俺にとっては愉悦でしかない。頬に半勃ちの肉茎を擦り付けながら、俺は目を逸らしたまま荒い息をついている龍に言った。

「ごちそうさまは?」
「……っ!」

  瞬間、眉根をきつく寄せ、射殺すような強い眼差しが俺を貫く。だが、それはすぐに伏せられた長い睫毛の下に隠れた。震える息を数度吐き出し、小さな声が発せられた。

「――ごちそうさま、でした」

  ゾクゾクと背筋を駆け上る愉悦に自然と唇の端が吊り上がる。早くこいつを犯したい。犯して絶頂に泣かせてやりたい。俺は龍の上からどき、ベッドから降りて、ついでに下半身に身につけていた衣服を全て取り去った。ワイシャツを羽織っただけの姿で仁王立ちし、ベッドに寝転んだままの龍の脚を軽く蹴った。

「床に立って、ベッドに手ェつきな」
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