我が子と間違われて拐われた孤児と、病んでる公爵

ミクリ21

文字の大きさ
24 / 53

24◆ルーナ視点

しおりを挟む
お茶会は、ジェノさんの屋敷の庭で、僕とパパとジェノさんの三人でするみたい。

丸い机には、カップが三人分とお菓子と軽食にサンドイッチもある。

だけど、椅子は四人分あった。

まるで、後でもう一人来るみたいな空き方だった。

ちなみに、僕の座る場所はやっぱりパパの膝だったよ。

最初の挨拶の時から思ったんだけど、ジェノさんは口調がすごく個性的だった。

パパの言いたかったことが理解できた瞬間だったよ。

それでね、最初はパパとジェノさんが雑談とかしていたんだ。

でも、みせたいモノがあるって言っていたのに中々それをみせてくれないんだ。

なんか………まるで時間稼ぎしているみたいだなって僕は思った。

なんだか不安になって、お茶もお菓子も口にするのを止めたんだ。

一度不信感を持つと、口にするのが怖くて。

そんな不安、きっと気のせいなのにね。

二人には、もうお腹いっぱいって言っておいた。

時間だけが過ぎていって…………。

………そして、僕の不安が現実になったんだ。


パパが突然倒れた。

その際に、僕ごと椅子から落ちて………そこそこ痛かった。

でも、今は僕よりパパだ!

「パパ!!」

必死に呼び掛けても、パパは起きてくれない。

パパ……まさか死ぬの?

………嫌だ!!

「ルーナよ、そう慌てるでない。寝ておるだけじゃよ」

「パパに何をした!!」

呑気にお茶を飲んでいるジェノさん。

いや、こんなことするならクソジジィって言ってやる!

年齢が若くても、お爺ちゃんみたいな人だから、意地悪お爺ちゃん……呼びやすくクソジジィ!

「茶に睡眠薬を混ぜただけじゃよ。3時間程で起きるじゃろうな。お主の茶にも混ぜたんじゃが、あまり飲まんかったからのぅ……」

「睡眠薬………?眠くなる薬だったかな……。そんなのを盛って、何が狙いだ!」

パパに悪さする気なら、僕が全力でパパを守るんだからな!

非力な僕でも、肉の盾にぐらいなれるんだぞ!

ガルルッ!!

まるで野生の獣が威嚇するみたいに、僕はクソジジィを睨み付けた。

「ダージスタ公爵には何もする気はないのじゃがの。まぁ、薬が効かないなら仕方ないの。お主はそこで見学すると良いじゃろ。ジュエル、こちらにおいで」

そうクソジジィが言うと、机の下から仮面をつけた子供が出てきた。

………えっ!?

そこに人がいたの!?

ちなみに、机にはテーブルクロスがされている。

でも普通、そこに人がいるとは思わないよね?

というか、クソジジィのお子さんかな?

「ルーナよ、ジュエルの顔をみて何を思うかの?ジュエル、仮面を外してあげようかの」

「ハイ、マスター」

クソジジィが、ジュエル……君?ちゃん?……えっと、お子さんの仮面を外してあげた。

すると、そこには僕に良く似た男の子の顔があった。

「………僕?」

「違うぞ?なんじゃ、お主はパルマの姿絵をみたことがなかったのかのぅ」

「え……ない……けど………え………?パルマ………?」

パルマ。

パパの本当の子供で、亡くなった人。

僕に似ているって………パパの職場の人のひそひそ声で聞いた。

え………パルマは………生きているの?

じゃあ………僕は………?

パパに………偽物の子供は………捨てられる?

僕は、目の前が真っ暗になったような気持ちになって、深い絶望に立っているのがやっとだった。


しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

【完結】弟を幸せにする唯一のルートを探すため、兄は何度も『やり直す』

バナナ男さん
BL
優秀な騎士の家系である伯爵家の【クレパス家】に生まれた<グレイ>は、容姿、実力、共に恵まれず、常に平均以上が取れない事から両親に冷たく扱われて育った。  そんなある日、父が気まぐれに手を出した娼婦が生んだ子供、腹違いの弟<ルーカス>が家にやってくる。 その生まれから弟は自分以上に両親にも使用人達にも冷たく扱われ、グレイは初めて『褒められる』という行為を知る。 それに恐怖を感じつつ、グレイはルーカスに接触を試みるも「金に困った事がないお坊ちゃんが!」と手酷く拒絶されてしまい……。   最初ツンツン、のちヤンデレ執着に変化する美形の弟✕平凡な兄です。兄弟、ヤンデレなので、地雷の方はご注意下さいm(__)m

この世界は僕に甘すぎる 〜ちんまい僕(もふもふぬいぐるみ付き)が溺愛される物語〜

COCO
BL
「ミミルがいないの……?」 涙目でそうつぶやいた僕を見て、 騎士団も、魔法団も、王宮も──全員が本気を出した。 前世は政治家の家に生まれたけど、 愛されるどころか、身体目当ての大人ばかり。 最後はストーカーの担任に殺された。 でも今世では…… 「ルカは、僕らの宝物だよ」 目を覚ました僕は、 最強の父と美しい母に全力で愛されていた。 全員190cm超えの“男しかいない世界”で、 小柄で可愛い僕(とウサギのぬいぐるみ)は、今日も溺愛されてます。 魔法全属性持ち? 知識チート? でも一番すごいのは── 「ルカ様、可愛すぎて息ができません……!!」 これは、世界一ちんまい天使が、世界一愛されるお話。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

平凡な俺が完璧なお兄様に執着されてます

クズねこ
BL
いつもは目も合わせてくれないのにある時だけ異様に甘えてくるお兄様と義理の弟の話。 『次期公爵家当主』『皇太子様の右腕』そんなふうに言われているのは俺の義理のお兄様である。 何をするにも完璧で、なんでも片手間にやってしまうそんなお兄様に執着されるお話。 BLでヤンデレものです。 第13回BL大賞に応募中です。ぜひ、応援よろしくお願いします! 週一 更新予定  ときどきプラスで更新します!

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

アプリで都合のいい男になろうとした結果、彼氏がバグりました

あと
BL
「目指せ!都合のいい男!」 穏やか完璧モテ男(理性で執着を押さえつけてる)×親しみやすい人たらし可愛い系イケメン 攻めの両親からの別れろと圧力をかけられた受け。関係は秘密なので、友達に相談もできない。悩んでいる中、どうしても別れたくないため、愛人として、「都合のいい男」になることを決意。人生相談アプリを手に入れ、努力することにする。しかし、攻めに約束を破ったと言われ……?   攻め:深海霧矢 受け:清水奏 前にアンケート取ったら、すれ違い・勘違いものが1位だったのでそれ系です。 ハピエンです。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。 自己判断で消しますので、悪しからず。

お兄ちゃんができた!!

くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。 お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。 「悠くんはえらい子だね。」 「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」 「ふふ、かわいいね。」 律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡ 「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」 ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。

処理中です...